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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
最終話 地球と人の未来のために
149/154

(11)




 夕方に南を発ち、長い夜の航海が続いていた。

月明かりは、緊張している4人を見守る様だった。




 風に耳を(そばだ)てるシェナは、見張り台で丸くなっている。

何かが見えてこないかと、瞬きも忘れ、待ち構えていた。

風は冷たく、ローブを内側に引く。




 ふと、月を見上げると、近くを瞬く星を1つ1つ、視線で結んだ。

晴れた空が味方してくれており、北斗七星が、くっきりと浮かんでいる。

柄杓に当たる部分の2つ星を結んだ長さを、5倍に伸ばす。

そこに光る北極星を、何度確かめたか、数えきれない。




 風の変化にも、神経を研ぎ澄ませていた。

運ばれてくる香りで、陸の接近を感知し、温度の変化で、天候を判断してきた。

誰よりも素早く。




 独りで過ごす間は、喉に触る癖が出る。

ここに共存するものを理解し、有りの儘でいられるのは、この島に来て、友達ができたお陰だ。

そんな素晴らしい彼等は、自分の故郷へ、ついて来てくれる。




 皆は、其々にやりたい事を見つけている様だが、自分は、そういったものをまだ見つけられていない。

何にでも興味があるが故に、決められない。

だが、この声があるからこそ、できる事を見つけたいと思っている。

今、それが何となく叶っている様な気がした。




 仲間を、安全に目的地へ導く事。

それがいつしか、多くの人々や物事を導く事になるならば、自分の務めなのかもしれない。




 考えが途切れ、目を見開く。

姿からしてちっぽけな自分が、随分と大きな未来を見ているものだと、小さく笑い飛ばした。






 ビクターとジェドは、先ほど、ボードゲームで騒いでいたが、落ち着いている。

旅の殆どを海の上で過ごすのだから、遊び道具も必要だと、フィオが積んだものだ。

誰が使うのかと言っていた当の2人が、結局、最も楽しんでいた。




 カラハという、先読みと駆け引きが発生する世界最古のゲームを、グリフィンから教わった。

6つの穴が横2列に並ぶ板があり、その両側に、互いのゴールポケットである受け皿を置く。

12個の穴に貝殻を4つずつ仕込み、手前半分を、自分の手持ち分とする。

1つの穴の中身を全て取り出し、決まった方向に円を描く様に、隣の穴に1つずつ分配させていく。

そうして、端に備えたゴールポケットを目指し、貝殻を集めていき、手持ちを全て集め切った方の勝利だ。




 これは大人も食いつくものであり、彼等がやる場合は、ルールが少し複雑に変わる。

今や、そちらのやり方にのめり込む2人だが、頭の疲れに、ビクターが降参した。




 今は、皆が静かな時間を感じている。

互いが見えない場所で過ごしていても、背を向け合っていても、気持ちは楽だった。

背後を任せ合える関係を太く築き上げられたからこそ、この旅に、そこまで大きな恐怖はない。

だが、今夜は落ち着かず、まだ誰も寝床に就こうとしなかった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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