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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
最終話 地球と人の未来のために
146/154

(8)




「ビビらせんなよ」




ジェドがつい、零すと、その場は再び賑わっていく。




「さ、風が吹いてるうちに」




シェナは3人を促すと、帆を巻き上げているロープの結び目に向かった。




 ロープが解かれると、真新しい帆が風を受ける。

係留ロープを代わりにマージェスは、フィオとジェドに投げ渡した。




「しっかりやれ!

転覆なんかしたら、承知しねぇぞ!

よく目ぇ光らせるんだな!」




4人は、ただ額に了解の合図を示し、海に向く。




 見張り台に登ったシェナは、船の押し出しが足りないと見て、縁に腰を乗せると、帆を見ながら息を吸い込む。




(行くよ。押せ!)




力強い息が、喉に金の光を呼び起こすと、顔や首に、光の根が迸る。

柱の軋み音と共に、帆が太く鳴ると、急な追い風が、みるみる船を押し進めた。






 早くも秘密基地の孤島を通過し、漁網を仕掛けている位置まで来る。

進みが安定すると、4人は島を振り返り、皆に手を振った。

桟橋の先では、自分達に変わって留守を任せられた子ども達が、飛び跳ねている。




「止まる準備は?」



「問題なし」




フィオの確認に、ジェドが、西に停泊する支度を万全に整えながら返す。

彼は、網を掴んで船縁に立った。




「草が増えたな。何か生ってるかも」




ビクターは、相変わらず船首に腹這いになって呟く。




「……ヤマモモの事? まだ早いでしょ」




フィオは言いながら、緑が増えた西の島の風車を見上げた。




「曇ってんな。雨でも降るのか、シェナ!」



「ご心配なくー」




張り上げたジェドに、彼女の声が、見張り台から真っ直ぐ落ちた。




 何年と繰り返してきた動きやコミュニケーションだが、いざ自分達だけとなると、身体は落ち着かない。




 ジェドは、気の焦りで、早々に係留ロープを掴んでおりる。

フィオはアンカーの元へすぐに駆け付けられるよう、階段の半ばに座った。

ビクターは、西との距離を何度も目だけで往復する。

シェナは、直ぐ帆を巻き上げられるようにと、もう見張り台から着地していた。




 そんな、互いの動きに気付いた途端、船内に長い爆笑の渦が巻き起こった。




 風が雲の隙間を抉じ開けていくと、太い光の柱が、幾つも辺りに射し込み、光の中へ彼等を誘った。




挿絵(By みてみん)









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
こんにちは(^∇^) ジェドやフィオたちの船出はまだ、不安要素があるんですね! 成人になったとは言え、社会に溶け込んだ事があまりないと伺えるシーンでした! ジェドたちも焦りましたよね、長年居た兄貴分…
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