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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
最終話 地球と人の未来のために
144/154

(6)




「戻りの事も考えろ。

ただ進むだけじゃ、漂流と同じだ。

引き返して出直すのも策だぞ」




グレンはどうしても、目先のものに突っ走る4人が、頭から離れなかった。

無茶苦茶な動きをするお陰で、山ほど悩まされてきたが、今はもう、その心配も殆どない。

そう素直に認められない自分が、どこか情けなかった。




「だから、大丈夫よ。

どれだけしごかれたと思ってるの!」




フィオは、今日まで漁師達に散々腕試しをされてきた事を思い出す。

この新船を完成させるまでに、膨大な時間と労力をかけた。

漁船と違い、自然災害に打ち負かされ、幾度となく修理を繰り返した。

海に出る度に、漁師の誰かが付き添い、動きも見られてきた。

あまりに横槍を入れられるものだから、放っておけと怒鳴り、大喧嘩もした。




 だが、彼等の力が無ければ、この時間は訪れていない。

そして、自分達がいかに自然を軽視し、見えているものを安易に捉えているかという事が、身に沁みた。




「俺達はもうやれる。

帰って来るなんてそんなもん、決まってる」




ビクターが余裕の笑みを見せても、漁師達の表情は、ぱっとしない。




「で、他には? どんな目的があるんだ?」




この時グリフィンは、4人と揃って目を見開き、黙り込む。




 不意に出た問いかけに、何故か、時を止められた。

そんな確認など、この子達にはもう必要ない筈だというのに。

口煩い事を言うつもりはなく、笑顔で送り出そうと思っていた。

しかし、何かがそれを妨げてきた。




 4人は、共に何かを振り返ろうとするグリフィンから、互いを見合う。

先走りかける心の裾を引く様に、彼の言葉がブレーキをかけた。

厳しいものではない、無事に戻るための大切な確認に思えた。

ここまで様々な知識をくれた彼は、いつだって心を整えてくれた。




「生き物の命や自然の力は必要だって思うから、他の世界を見ながらその事をもっと考えてみたい。過度な消費を生まないためには、どうすればいいのかって」




フィオは両肘を縁に預けると、頭の中で繋がった言葉を慎重に伝える。




「決めたらそれきりとか、貫き通すばっかじゃなくて、状況の変化に目を向けたい。植物とか生き物は喋って教えてくれる訳じゃねぇが、それを見たり聞いたりしようとする事はできる」




ジェドは背中を向けていたところ、正面を向き、先ほど放った海鳥を思い出す。




「自然が多くの手間と時間をかけて材を作り上げるなら、俺達も、もう一度この世界で生きるために、そうする事を惜しむ訳にはいかない。形にするためには面倒はつきもんだが、本当は、面倒なもんこそ重要なのかもな」




ビクターが考えを口にする際は、決まってペンダントが手の中で転がり、小さく鳴っている。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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