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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
最終話 地球と人の未来のために
143/154

(5)




「心配すんなよ」




口数が減ったジェドの低い声は、長老に届きにくかった。

しかし、この時は違った。

長老は、彼の声を一度で聞き入れると、口元を綻ばせた。




「大丈夫、すぐ戻るわ。お土産話もしたいしね」



「美味しい物が見つかるといいけど」




フィオとシェナは、互いを見合って笑うと、4人は長老を抱き締める。




 アリーは逞しくなった彼等を見て、込み上げる寂しさを呑むのに、鼻や喉を鳴らしてしまう。






 岸辺や桟橋に集まる人々は、4人を励まそうと、肩を叩いていく。




「旅なんて大袈裟な。ちょっとした出張だ。

仕事、忘れんなよ」




釘を打つレックスに、当たり前だろうと、シェナが跳ね返す。




 島の皆は、海や、余所の島を4人に任せられるようになり、時の流れの速さを痛感した。




 4人が航海を決めたと言い出した時、少々言い合いになった。

浅い知識と技量だけで、出来るなどと生意気な事を言ったものだから、尚更だった。

海を、自然を馬鹿にするなと、説得して止めようとした。

そうしてしまう一番の理由は、彼等の決断による衝撃を、無かった事にしたかったからだった。

一時的とはいえ、この子達がいなくなる現実を受け止められる自信が無く、戻らないのではないかと冷や汗が流れた。

また、その様な恐ろしい夢を、大人達は実際に見た事がある。

彼等が見知らぬ世界へ行ったまま、戻らない。

それも、ただ船で出かけたきりなどではなく、雷や海に存在を消されるという、奇妙な夢だ。

信じ難い、馬鹿げていると口に出すものの、心からそうは思えなかった。




 だが、4人は成人と呼べる年齢枠に入った。

その姿を見ている内に、果たして、子どもなのはどちらなのか、と思うようになる。

嘗ての世界ならば、自分の目の届くところに、いつまでも子どもを置いていただろうか。

例えば、自分が子どもの頃は、どの様だったか。




 その考えは、次第に、手放してくれた誰かが近くにいた、という事に気付かせてくる。

ただ、その環境が、島から大海原へ行くというルートであるが故に、違和感をすぐに解消できなかった。




「星と風をしっかり見ろ。

教えたルート、忘れてないな?」




カイルが念押しで告げるのを、もう聞き飽きたと言わんばかりに、ジェドが宙を手で煽ぐ。




 漁師達は、行かせるならば、先に自らで確かめるといって強情だった。

送り出せる様に、徹底して未開拓の海を漁船で進み、ある程度の海図とルートを仕上げた。

とはいえ、何週間も空けた訳ではない。

間に点在する孤島がある事までは確認でき、途中停泊ができる地を押さえたまでだ。

人が住む新たな島には行き着いていなくとも、存在する可能性は否めなかった。

その理由の1つとして、比較的新しい樽など、ガラクタが浮かぶところを発見できたからだ。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
こんにちは\(^o^)/ まさかの五年後! 四人とも成人していてびっくりしました !!( ; ロ)゜ ゜ シェナも威風堂々とする姿がありながらも愛くるしい一面もあってホッとしました。 長老は体が不自…
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