表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
最終話 地球と人の未来のために
141/154

(3)




 グリフィンの家の玄関では、島で留守番を担う子ども達が群がっている。




「なぁジェド、どうせ獲って食っちまうんだろ?」




装備ベルトに槍を仕舞いながら言うケビンに、ウィルが大きく振り向いた。




「そんなすぐに食べたら増えないよ。まだ子どもだし。それに、肉を食べるより、こいつらには卵を産んでもらわないと」




ウィルは、植物を刈るための鎌の位置を動かしながら、ずっと無口のまま集中するジェドを見下ろす。




「本当に飛べるようになったのかしら?」




髪を綺麗に纏められるようになったリサは、丁寧に編み込み、まるで短髪の様だ。

その様子だと、4人を見送った後は、漁の手伝いに出るのだろう。




「小魚をよく食べてたわ。

それに、暇さえあれば羽を動かそうとしてたもの」




クロイは、怪我をしていた頭黒カモメをじっと見つめる。

1週間ほど前、皆と海で遊んだ帰りに見つけた。

林の中でじっと動かず、弱々しい威嚇だけを放っていた。

当時、(ようや)く飛べるようになったばかりだったかもしれず、翼を動かす以外に、身体は無事の様だった。




 ジェドは細かく観察し、痛がる箇所を洗い出すと、折れているかもしれない部分を布で巻き、しばらく固定していた。

長い間、羽を広げられずに不格好で過ごしていたが、患部に触れても痛がらなくなったので、布を解いている。




 他に悪いところはないかと、ジェドは、頭黒カモメの嘴を下から掴み、首を左右に動かす。

カモメは、水掻きのついた脚で蹴って抗った。

だが、ジェドの、静かにと細く漏らす息に、ふと大人しくなる。

いつかライリーに、動物を診る医者がいるという話を聞いた。

それ以来、生き物を見つけては、生態を調べるようになった。




 ジェドは立ち上がると、両手に海鳥を立たせ、高く差し出す。

羽の広げ方に異常はなく、痛みに妙な声を上げる事もない。




「ほら。行け」




その場で羽ばたいたカモメは、僅かに彼を振り返ると、飛び立った。

子ども達は顔を輝かせ、賑わう声が、忽ち森を満たしていく。




 見えなくなるまで空を仰いでいたジェドは、踵を返すと、纏めていた荷物を担いだ。

譲り受けた武器や着替えに、残していた薪や、作りかけのナイフと弓矢がある。

出航してすぐは、西の島の点検を任されており、必要であれば風車の修理と補強をする事になっていた。




 横から、子ども達が4人分の水をタンクに汲んで、彼の後に続く。

その時、枕を担いだフィオと鉢合わせると、その足で長老に顔を見せに行こうと促された。

手持ちの荷物で全て支度を終えてしまうため、発つ前にもう一度、彼に顔を見せる約束だった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ