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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第一話 東の島の出来事
14/154

(12)



※1330字でお送りします。






 (いかだ)は昨夜の内に岩に縛り付けており、後は岸まで押し出すだけだった。

そんな時だというのに、ジェドが何やら奇妙な生き物を見つけた様だ。

海に入る前にそれを追い払おうと、先日見つけた長い枝で激しく飛沫(しぶき)を立てる。




「なにが いんだよ」



「うみへび!」




ビクターとフィオは目を見張る。

2人の後ろから覗き込むシェナは、それが何かを分かっていない様だ。




 筏を固定していた岩の隙間に、白黒の(まだら)模様をした何とも不気味な海蛇がいる。

何故こんな浅瀬にいるのかと、ジェドは引っ叩いて追い払った。




「かまれない!? かまれないの!?」



「ジェド、それ くえないのか」



「え!? くうの!?」




その言葉にシェナが激しく首を横に振る。




 海蛇はジェドの攻撃を恐れたか、透けた真っ青な海の奥へ姿を消していった。

それを見送ったところで、4人はやっと作業に取り掛かる。




「「せーの!」」




煌びやかに陽光を弾く飛沫の中、浮かんだ筏に3人の喜ぶ声が合が上がる。

未だ声が出ないシェナは静かに笑みを浮かべ、共に暮らすようになったフィオの後を懸命について行った。




 次は乗船だと、ビクターが最初に乗ってみたところ、しっかり安定している。

ならば皆が乗っても平気だろうと、ジェドからフィオ、シェナと次々によじ登った。

乱暴な乗り方に筏が揺さぶられ、先に乗っていたビクターはバランスを崩して転倒する。




「みんな のれたぞ!」




ジェドが調子に乗って2度も3度も飛び跳ねた次の瞬間――ビクターは、彼の足元が歪んで見えた。

いつしか、ところ構わず見えるようになったそれは、火が燃え盛る時に見る透明な揺らめきだ。

だが声をかけるのも束の間、筏のロープが断裂し、ジェドは丸太と丸太の間に足を突っ込んでしまう。

筏は早くも分裂し始めた。




「ジェド、足!

なにやってんだ、水が上がってくるだろうが!」




慌てて吠え飛ばすビクターは、落ちかかるジェドを引き上げる。

分断されたもう片方の筏に残されたフィオとシェナは、徐々に遠ざかってしまう。




「たいへん! シェナおりて!」




フィオは、ここは浅いので平気だとシェナに言って聞かせるも、緊急事態を恐れる彼女は首を横に振ってびくともしない。

仕方がないと、フィオは先に飛び下りてロープを引き、シェナごと岸まで運ぼうとした。




「ちゃんと むすべよな!」



「むすんだっ! ロープがほそかったんだっ!

もういっかいだ。そしたら、あっちにいけるだろ」




ジェドは修理を急ごうと必死だ。

ずっと前から目指そうとしてる、すぐそこの小さな無人島に早く出かけたかった。

一方ビクターは、先ほどジェドの足元で目にした揺らめきの行方を目で追う。

が、もうどこにも見当たらなかった。

幽霊の様なそれは何なのか。

気にするよりも、ジェドの発言に眉が寄っていく。




「バカだな、まだいけるかよ。

こぎかた わかんねぇのに」



「え!? これから いくんじゃないのか!?」




何をとぼけているのかと、ビクターは腹を抱えて笑った。

そして、早く岸に引っ張るようジェドを促す。




 その時、悪戯な波が4人を大きく浮かび上がらせた。

その拍子にフィオが引いていた筏が更に解けてしまう。

乗ったままのシェナは滑り落ち、丸太を瞬間的に抱えて大きな悲鳴を上げた。

急な波に水を飲んでしまったフィオは(むせ)る。

ビクターとジェドは危険を察し、2人を助けに向かった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
どうもです! 子供の行動はとても勇ましく、また恐ろしいですね。 まさか海蛇を見ても動揺しないとは。 しかも食べようか考えている所が、ドキドキしました。 無事に島に着けるかハラハラです。 引き続き読ませ…
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