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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第九話 伝説にするために
137/154

(7)




子ども達の話はいつだって可笑しく、これまで4人は、笑って聞き流すのが殆どだった。

だが、彼等と似た夢を自分達も確かに見た以上、じっと意識してしまう。




 その夢は、手や肌に触れる様に生々しかった。

未だ、筋肉が仕事を終えたばかりの様に疼いている。

手首もだるく、まるで長い時間、何かを振り回したり、掴んでいた様な感覚があった。

そして、身体に残ったままの違和感と、夢で自分達が激しい動きをしていた事に目を見開いていく。




「槍をやたらと振り回してたんだ。

真っ暗でどこだか分かんねぇけど、相手は目が真っ赤に光ってて、小せぇくせに、でっけぇ鎌とか剣なんか持ってやがった。

殺されると思って、追っ払うのに苦労したぜ」




ジェドは、椅子の背凭れに腕を掛けたまま、宙に目を向けて思い出す。




「俺は、幽霊を銃で撃ち落としてた。

そいつ等も目が真っ赤だったな。

でも、お前が言う様な武器は持ってなくて、手ぶらだった。

幽霊なんだから、持てやしないんだろうな。

だから簡単に追い払えたのか……」




ビクターの話に、ジェドとフィオは眉を顰める。

扱った事がないものだというのに、それこそまるで夢だ。




「これに書いてある事を見て思ったの、ほら」




フィオは、薄く削った木の皮でできたページを数枚、皆の前に差し出す。




「青い森とか、綺麗な透明の岩を見たって書いてあるけど、同じ様なものを夢で見たわ。

あと、自分じゃ絶対に潜れっこない深い海の景色も見た。

そこにいる生き物は、普段見るものよりもうんと大きいの。

ケビン達が言う、光る(ヒレ)を持ってた」




 4人は、文字の勉強を目的に書いていた本を綴じ直すために、内容を思い出している内に、互いを見合う。

どうやら、浜で眠っている間に見た夢と、記してきた内容が同じではないかと首を傾げた。

しかし、記憶は断片的で、昼間に覚えていた筈のものも、今では上手く表現できなくなっていた。

それらもまた、何かとても大切な事だった様な気がしてならず、皆は顔を曇らせていく。




「お前はどうなんだ、シェナ。

さっきからずっと静かだな」




ビクターは、指で転がすペンダントから音を立てながら、彼女を見つめる。




 シェナは、散り散りになった夢の記憶を搔き集めようとしていたが、今は止めてしまっていた。

皆が共通の夢を見て、それが中途半端な記憶になってしまっている。

その様になってしまう理由が、他にある様な気がしていた。

だが、そう思うだけで答えは見つからず、黙っている事しかできなかった。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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