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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第九話 伝説にするために
136/154

(6)




挿絵(By みてみん)




 波風が冷たくとも、満月は、夜に温かい光を落としていた。






 子ども達の皆は、グリフィンの家に集まり、テーブルに噛りついていた。

どんなに時間が経っても、夢中で話し込んでいる彼等に、グリフィンはやれやれと肩を竦め、白湯を口に含む。




「まるで学校だな。

いつか他の島が見つかって、子ども達がいたなら、ここで学べるな。とはいっても、通学に苦労するけど。

こんな事なら、セーリングでもしておけばよかった」




共に過ごしていたレオの発言に、グリフィンは、白湯を吹き出しかける。

子ども達が懸命にヨットを漕いでくる画が、何ともいえなかった。




「ところで、ゴーグルだと不便だろう。

いい物が作れたらいいが……」




グリフィンは、レオが子ども達から譲り受けた作業用ゴーグルを、今でも大事に着用しているところを気にかける。




「いいさ。

ガラスを焼いて試すのもまた、楽しくてね。

眼鏡職人にでもなるよ。予想外の転職だけど」




レオは、自身の未来を面白がりながら水を飲む。




「“日陰のレオ”とか言ったな。一体、何者だ?」




だがレオは、すぐには答えず、子ども達が懸命に話し込む姿を眺めていた。

そして、自分が有名であったのは、あくまでもその界隈だけだったという事を改めて認識すると、それを敢えて言わずに、小さく笑いを溢すのだった。




「……俺は、目の悪いただのおじさんさ。

まぁ、君と似たところと言えば、体育(PE)なら指導できる自信はある。無免許だけどな!」




グリフィンは目を瞬くと、レオの、指導ができるという点に食いつく。

未来を担う子ども達はスポンジそのものであり、多くの経験や知識を吸わせる絶好のチャンスなのだと熱く語った。

大人になってからでは遅いとまでは言わないが、脳の容量が圧倒的に違う事で、吸収に差が生じるのだ、と。

レオは、そんなグリフィンを、母校にいた熱血教師を重ね、笑い飛ばした。






 片や、懸命に語り合う子ども達の耳には、大人の会話など一言も届いていない。

テーブルに広がるのは、昼間に見つけた書きかけの本のページの数々だ。




 海水や泥に浸って使い物にならなくなったページから、乾かして綺麗にできたページもある。

だが、墨で書いてきた文字は、滲んで読めなくなっているところが幾つもあった。

そこをどの様に記していたか、また、どう記そうとしていたのかと、延々話し合っている。

そして飛び込んだのが、子ども達が浜で寝ている間に見た夢の話だった。




「あおいめだまをした りゅう に、つれていかれそうになったの。

でも とぶのが へた で、よじのぼって のっかってやったら しまに おろしてくれたわ」



「ぼく でっかい さめ を みたよ。

つき みたいに め が ひかってた。

あと ひれ も!」



「おんなじだ! おれも そいつら みた。

すんげぇ おっかねぇんだ!

そいつらじゃないか? ゴミもってきたの」



「そうなんだわ。

だってpitter(パ ラ)-patter(パ ラ)って、ぎょしぇんに おっことして こわそうとした。

しゃかなたち、おこってたの?」









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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