(1)
肌が焼かれる様な感覚に目を開けると、強い日照りの元に横たわっている自分達に驚いた。
4人や人々は、徐に身を起こし、辺りを見回す。
風が強く、波が岩を賑やかに叩いていた。
久しぶりに晴れ渡った海景色を見て、子ども達の喜ぶ声が、浜を転がる。
家や作業場は部分的に崩壊しており、漁船は損傷していた。
船内や、島の至る所には、多くの瓦礫が散らばっている。
酷い有様を見た人々は、とんだ嵐だった、命が助かって何よりだと、口々に零した。
しかし本当にそうだろうかと疑うのもまた、皆、同じだった。
取り分け4人は、胸騒ぎがするあまり、波打ち際へ飛び込むと、忙しなく辺りを見渡してしまう。
何かが起きていた筈だった。
そして何かがもっと沢山、この場にいたのではないかと探してしまう。
目覚めた途端に現れた景色があまりにも美しく、肌が粟立ってならない。
すっかり見慣れたこの景色を、長い間、恋しく思っていた。
その訳は、震災と津波によるものではあるが、どうもそれだけでは説明がつかない。
と、今度は身体に触れていく。
日焼けと打ち身による痛みが所々に感じるだけで、これといって大きな怪我は何もない。
違和感の原因を、どうしても見つけられなかった。
ビクターは、首のペンダントに慌てて触れた。
リーンと鳴って揺れたそれは、眩しい朝陽を受けて輝く。
それは、目の前に広がる真っ青な大海原と同じ、地球としての鮮やかな青さを増していた。
「ああよかった……失くしてなくて……」
大切なこれは、両親からのものだろうと言われている。
だから、むやみに外に晒さず、服の中へ仕舞っている。
だが、自分がしていた心配はこれだけだろうか。
ジェドは、海鳥の声に大きく振り向く。
遠くの海で群がり、騒ぎ立てるそれらに、目を凝らしてしまう。
海蛇を虐めた時の様に、彼等が何を考え、どんな風に生き、どんな身体をしているのか。
人と同じ言葉を持たない生物が、どうやってコミュニケーションを取るのかに興味があり、惹かれてしまう。
それは、失ってしまった両親がどの様な人達だったのかを考えるのと、近いものがあった。
しかし今は、父を失った出来事に関与していたマージェスの事を想い、視線を彼の方に向ける。
やはり、どこかあっさりとし過ぎている気がしてならなかった。
複雑な過去を知るために、経てきた事がある様に感じるのは、全身に圧しかかる疲れのせいだろうか。
続けて起きた地震が呼び起こした津波に、どれほどまで体力を使ったのかは計り知れない。
代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~
シリーズ最終作
2025年 2月6日 完結
当日は 以下の3投稿です
・第十話 最終ページ
・エピローグ 1投稿
・あとがき
Instagram・本サイト活動報告にて
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インスタではプライベート投稿もしています
その他作品も含め
気が向きましたら是非