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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第九話 伝説にするために
131/154

(1)




 肌が焼かれる様な感覚に目を開けると、強い日照りの元に横たわっている自分達に驚いた。

4人や人々は、(おもむろ)に身を起こし、辺りを見回す。

風が強く、波が岩を賑やかに叩いていた。

久しぶりに晴れ渡った海景色を見て、子ども達の喜ぶ声が、浜を転がる。




 家や作業場は部分的に崩壊しており、漁船は損傷していた。

船内や、島の至る所には、多くの瓦礫が散らばっている。

酷い有様を見た人々は、とんだ嵐だった、命が助かって何よりだと、口々に零した。




 しかし本当にそうだろうかと疑うのもまた、皆、同じだった。

取り分け4人は、胸騒ぎがするあまり、波打ち際へ飛び込むと、忙しなく辺りを見渡してしまう。




 何かが起きていた筈だった。

そして何かがもっと沢山、この場にいたのではないかと探してしまう。

目覚めた途端に現れた景色があまりにも美しく、肌が粟立ってならない。

すっかり見慣れたこの景色を、長い間、恋しく思っていた。

その訳は、震災と津波によるものではあるが、どうもそれだけでは説明がつかない。

と、今度は身体に触れていく。




 日焼けと打ち身による痛みが所々に感じるだけで、これといって大きな怪我は何もない。

違和感の原因を、どうしても見つけられなかった。




 ビクターは、首のペンダントに慌てて触れた。

リーンと鳴って揺れたそれは、眩しい朝陽を受けて輝く。

それは、目の前に広がる真っ青な大海原と同じ、地球としての鮮やかな青さを増していた。




「ああよかった……失くしてなくて……」




大切なこれは、両親からのものだろうと言われている。

だから、むやみに外に晒さず、服の中へ仕舞っている。

だが、自分がしていた心配はこれだけだろうか。




 ジェドは、海鳥の声に大きく振り向く。

遠くの海で群がり、騒ぎ立てるそれらに、目を凝らしてしまう。

海蛇を虐めた時の様に、彼等が何を考え、どんな風に生き、どんな身体をしているのか。

人と同じ言葉を持たない生物が、どうやってコミュニケーションを取るのかに興味があり、惹かれてしまう。

それは、失ってしまった両親がどの様な人達だったのかを考えるのと、近いものがあった。

しかし今は、父を失った出来事に関与していたマージェスの事を想い、視線を彼の方に向ける。




 やはり、どこかあっさりとし過ぎている気がしてならなかった。

複雑な過去を知るために、経てきた事がある様に感じるのは、全身に圧しかかる疲れのせいだろうか。

続けて起きた地震が呼び起こした津波に、どれほどまで体力を使ったのかは計り知れない。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月6日 完結


当日は 以下の3投稿です


・第十話 最終ページ

・エピローグ 1投稿

・あとがき


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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