(11)
「私達は1つだ……この先も共に在る……ずっと……だから信じて、前に進みなさい……」
リヴィアは重々しく4人から離れると、涙に濡れた顔を向け、青い眼光を強く灯した。
まるで誓いを立てる様に、4人は、真剣な彼女に真っ直ぐ向き合うと、深く頷いてみせる。
リヴィアがそっと浮かび上がると、シャンディアもまた、浅瀬に引き返していく。
それを見かねた大人達が波打ち際まで出ると、神々は視線を向けた。
「戦えてよかった。
それに……俺達もまた、救われた……感謝する」
マージェスは、一帯に輝きを放ちながら佇む神々を見渡す。
目から鱗な事態は、失われた西の島から空島へ昇り、東の島へ戻ったグリフィンから始まった。
そこから次々と紐解かれた大地の存在によって、強引なやり方だが、痞えていたものが解消された。
また、神々は、離れたところから見つめる長老に向く。
身体をどうにか杖で支えながら、彼は、何もするなと静かに手だけで示した。
「この子等の幸せは、わし等の幸せであり、其方等の幸せだ……いずれ、より広く世界を巡る……」
彼の言葉に、神々はただ頷くだけだった。
やはり離れてしまう。
そう思った矢先、シェナはリヴィアの元まで走った。
「お願い……あたしは……これが、あたしなのっ!」
飛び出すシェナに、3人は慌てて向かおうとする。
だが、それよりも先にリヴィアが降り立ち、シェナの手を取りながら向き合った。
3人はその光景に足が止まる。
それ以上、先に進めなかった。
金に輝くシェナの喉が、少しばかり自分達を遠ざける様だった。
2人の時間はあっと言う間で、リヴィアは再び、今度はより高く飛び立ってしまう。
これに焦る3人や、後の人々は、波を蹴ってでも近寄ろうとした。
「この地球は……」
ふと飛び込んだシャンの声は、緩やかでありながらも、槍を投擲する様に人々の騒ぎを止める。
「命と共に廻り……再び、新たな姿を織りなす……」
声に呼び寄せられた波が、岩や浜を強く打った。
その場の海洋生物達は沖へ引き返し、ミラー族は次々と背を向ける。
「命ある限り語り継がれ……不死の伝説となろう……」
雲が朝陽に吸い寄せられ、流れを見せた時、リヴィアは声と共に更に天に遠ざかると、大気に薄れていく。
4人の手が追いかけようとするのも束の間、傍のシャンディアの涙が、風に拭われて光った。
「守り、守られながら、永遠に……」
言いながら、彼女が優しく手を組んで微笑むのを最後に、人々の視界は、白銀の光の波に呑まれた。
目が眩んで立ち上がれず、先ほどまで聞こえていた自然の音が消え、神々の姿が捉えられなくなる。
人々が零す目の痛みを聞きつけた竜は、太く、長い咆哮を放ち、周囲一帯を覆い尽くした。
真っ白に染まる無音の世界で、4人は、聞きつけた声にはっとする。
柔らかいそれは霧の様で、形を成さない、知らぬ言語で紡がれていく。四方八方から降り注ぐ青白い光の雨に手を翳すと、その隙間から空を仰いだ。
そこには、たった独りで歌うリヴィアが見えた。
代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~
シリーズ最終作
2025年 2月上旬 完結予定
Instagram・本サイト活動報告にて
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インスタではプライベート投稿もしています
その他作品も含め
気が向きましたら是非