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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第八話 愛を育み続けられるように
129/154

(11)




「私達は1つだ……この先も共に在る……ずっと……だから信じて、前に進みなさい……」




リヴィアは重々しく4人から離れると、涙に濡れた顔を向け、青い眼光を強く灯した。

まるで誓いを立てる様に、4人は、真剣な彼女に真っ直ぐ向き合うと、深く頷いてみせる。




 リヴィアがそっと浮かび上がると、シャンディアもまた、浅瀬に引き返していく。

それを見かねた大人達が波打ち際まで出ると、神々は視線を向けた。




「戦えてよかった。

それに……俺達もまた、救われた……感謝する」




マージェスは、一帯に輝きを放ちながら佇む神々を見渡す。




 目から鱗な事態は、失われた西の島から空島へ昇り、東の島へ戻ったグリフィンから始まった。

そこから次々と紐解かれた大地の存在によって、強引なやり方だが、痞えていたものが解消された。




 また、神々は、離れたところから見つめる長老に向く。

身体をどうにか杖で支えながら、彼は、何もするなと静かに手だけで示した。




「この子等の幸せは、わし等の幸せであり、其方等の幸せだ……いずれ、より広く世界を巡る……」




彼の言葉に、神々はただ頷くだけだった。




 やはり離れてしまう。

そう思った矢先、シェナはリヴィアの元まで走った。




「お願い……あたしは……これが、あたしなのっ!」




飛び出すシェナに、3人は慌てて向かおうとする。

だが、それよりも先にリヴィアが降り立ち、シェナの手を取りながら向き合った。

3人はその光景に足が止まる。

それ以上、先に進めなかった。

金に輝くシェナの喉が、少しばかり自分達を遠ざける様だった。




 2人の時間はあっと言う間で、リヴィアは再び、今度はより高く飛び立ってしまう。

これに焦る3人や、後の人々は、波を蹴ってでも近寄ろうとした。




「この地球(ほし)は……」




ふと飛び込んだシャンの声は、緩やかでありながらも、槍を投擲する様に人々の騒ぎを止める。




「命と共に廻り……再び、新たな姿を織りなす……」




声に呼び寄せられた波が、岩や浜を強く打った。

その場の海洋生物達は沖へ引き返し、ミラー族は次々と背を向ける。




「命ある限り語り継がれ……不死の伝説となろう……」




雲が朝陽に吸い寄せられ、流れを見せた時、リヴィアは声と共に更に天に遠ざかると、大気に薄れていく。




 4人の手が追いかけようとするのも束の間、傍のシャンディアの涙が、風に拭われて光った。




「守り、守られながら、永遠に……」




言いながら、彼女が優しく手を組んで微笑むのを最後に、人々の視界は、白銀の光の波に呑まれた。




挿絵(By みてみん)




 目が眩んで立ち上がれず、先ほどまで聞こえていた自然の音が消え、神々の姿が捉えられなくなる。

人々が零す目の痛みを聞きつけた竜は、太く、長い咆哮を放ち、周囲一帯を覆い尽くした。




 真っ白に染まる無音の世界で、4人は、聞きつけた声にはっとする。

柔らかいそれは霧の様で、形を成さない、知らぬ言語で紡がれていく。四方八方から降り注ぐ青白い光の雨に手を翳すと、その隙間から空を仰いだ。

そこには、たった独りで歌うリヴィアが見えた。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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