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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第八話 愛を育み続けられるように
128/154

(10)




「今の私は、海も陸も行ける。

だから、皆の傍から離れたりしない」




フィオの温もりを噛み締めながら、シャンディアは口元を綻ばせた。

皆のためになる答えを探したフィオの気持ちに、胸が震えた。




「随分なキッカケだったが、また会えたんだリヴィア。

何かあったらいつでも来いよ。

言ったろ、俺達はもう仲間なんだ」




絆を強調するビクターの言葉に、リヴィアは僅かに口角を上げると、青い眼を閉ざし、ただ小さく頷く。

震える瞼を開く訳にはいかず、相槌を打つのに精一杯だった。




「あーでも、待て。

見ろよ、随分散らかっちまった。

片付けるの手伝ってくれるだろ?」




ジェドは、目の前の2人や後の神々を見ながら言う。

家もすっかり崩壊してしまったのだからと、彼等の力を求めた。




 リヴィアは、銀に輝く長髪に顔を隠してしまう。

それを覗うシャンディアは、眼が震えていた。

しかし、リヴィアよりも前に出ると4人の手を取り、更に、彼等の後ろに並ぶ共に戦った人々を見つめる。




「世界は救われました……あなた方の力が大きく働いた事で、未来が拓かれた……大地は返ります……そしてまた、世界は始まる……」




彼女の言葉に、人々は首を傾げる。

大きな戦いが終わった今、またこれまでの生活が始まるだろう。

だが、地球の大半は大海原と化している。

予定していた別の大陸を探す事にはなるだろうが、それも必ずあるとは限らない。




 シャンディアの視界は、映し出される更なる先の未来から、人々の今の様子に戻っていく。

大地が返るという意味に首を傾げる彼等だが、それに大きく頷くと、微笑んで見せた。




 そして彼女は、再び4人の目を順に見つめる。

勇ましい顔に滲む愛情や友情を感じるほど、握る手が強まり、突き上げてくるものを一筋の銀の涙に変えた。




「貴方達は沢山のものを見た……そしてその身に刻まれた……信じて、これからも進んで……どうか世界を……人を導いて……」




4人は顔を見合わせると、酷く悲しむシャンディアの顔や肩、腕に触れ、抱き締めた。




「どこへでも行けるって言ったじゃない。

また会いましょ。ねぇ、もう大丈夫だから!」




フィオに賛同する様に、ジェドとビクターがシャンディアの肩を叩いて励ました。

だがシェナは、先ほどからずっとシャンディアの横顔や、後の神々を気にしている。




「何だよ、リヴィアまで。

いっそ、泣いちまえよ!」




ジェドがリヴィアの腕を引いた次の瞬間、彼女は、4人を丸ごと抱き寄せ、咽び泣いた。




 4人は、あまりに唐突で、想像以上の涙を溢す彼女に言葉を失う。

その背中に、シェナがそっと手を回した。

丸くなる背中の向こうに佇む神々を、シェナは瞬きもせずに見つめ返す。

彼等の姿に違和感しかなかった。

その奇妙さに不安を覚えると、金の光が、熱くなる喉から身体の四方へ細く流れた。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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