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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第八話 愛を育み続けられるように
127/154

(9)




 レオは、ビクターの身に起きている事に驚いていた。

ゴーグルを上げてさらされた、微かに白く濁った瞳が震えている。




「何だよ、どうした? 何で泣いてんだよ……」




ビクターは動揺するも、レオは聞こえていないのか。

彼はやっと瞬きするが、まだ、黒い陽炎(かげろう)が揺れるビクターの身体から、水色に光る片目を眺めて黙っている。




 眼光が意識的に弱まる事で、確かに目が合っていると感じさせられていた。

そのまま、信じられないものを見る様に、首を弱々しく振る。

ビクターの勝気な言葉や、決まってるという話し方が好きだった。

昔、似た言葉に助けられ、自分もそれに影響されて口にするまでになった、同じ口癖。

酷く、懐かしい気持ちにさせられていた。




 陽炎に触れると、冷たい風に当たるのと同じ感覚がする。

緊張や恐怖に汗ばんだ影響で、その温度は心地よかった。

陽炎はそのまま、レオの腕を細く緩やかに這い進むと、肩に止まる。

まるで掴んでくる様な動きに、そこだけが温められていく。

暫しその温もりを感じていると、陽炎は、再びビクターに吸い込まれていった。

 レオは目を瞬くビクターを改めて見つめては、これ以上はよそうと、静かに彼から手を放す。

昔の自分や相棒を重ね過ぎて、彼を同じ者として見ようとしていた。

見たいように見てしまう自分を振り解き、彼は、自分が求める人物や思い出とは違うと言い聞かせる。

それだけ陽炎には、どうしてもそんな気にさせてくるほどのものがあった。




「いいや……何でもないさ……無事に戻って来られてよかった……俺はまた救われたよ……君の様な人に助けてもらえて、嬉しいよ……」



「何だそれ! 分かんねぇな。

ったく、大人がそんなに泣くなよ」




言われてみればと、レオは慌てて顔を拭い、ビクターに微笑んだ。




 そこへ、まるで振り向かせるかの様にあの美しい音が鳴る。

陽炎が、ビクターの手を動かしてペンダントを揺らした。

ビクターは驚くと、頭に何かが乗せられたような感覚がし、そこに触れて頭上を仰いだ。

だが、そこには早朝の空が広がるだけであり、じきに、リヴィアが視界に舞い込んだ。






 4人は降り立ったリヴィアに向くと、その後からシャンディアが脚を持って現れる。

浅瀬には、淡い白銀の眼光を灯しながら、島の皆を見つめるミラー族とシャンがいた。

傍には着水した守護神の竜がおり、その頭上一帯には、精霊達が青い眼光を灯して見下ろしていた。




 彼等の硬い表情から、4人は、はっとした。

空島から戻った時と同じ気持ちが沸き起こると、胸が騒めく。




 この時フィオは、慌ててリヴィアとシャンディアの手を掴んだ。

以前の様に、すぐに発たれては困る。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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