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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第八話 愛を育み続けられるように
125/154

(7)





……


………




「棘を宿すものじゃないぞ、シャン……」



「だが、さっきの発言は毒針に打たれたようなものだ。無理もないだろ」




オルガは髪飾りに触れると、昏い視線を封印の蓋に向ける。

2人は大地の神を地中に沈める事で、その暴走を止めていた。




「だが、根本の解決は最早、我等の力だけでは不可能だ……」




シャンは、オルガの言葉が信じられなかった。

封じた事で弱っている大地の神が、封印を蹴破る未来など。

例え先代が、それを見通しているとしても。




「聞け、シャン……これは訪れてしまう真……あらゆる術を持ってしまった大地は、いずれ、空にも手を伸ばす……」




シャンは目を見張り、鋭い眼光を向けた。

空など太刀打ちできない。

そこまで分かっていながら一族で止められない事に歯を鳴らし、焦燥を隠しきれなかった。




「募る闇の払拭は時がかかる……大地は我々と同じ神であれ、最も人間と共に在った……よって、人間の様なものだ……コア……その者が伸ばす根は、地球の血の道であり、心、身体そのもの……大き過ぎるそれを相手にする事は、即ち、我等だけでは届かん……」




シャンは封印の前を行き来し続ける。

魔力で止め切れないという事実に絶望する上、早くも自らが筆頭を務める事に、懸念しかなかった。




「苦労をかける……だが、これは抗えん……鎮めるためには、それなりの責務を全うするまで……その先に光る未来があるのもまた、真だ……」




大きく振り向いたシャンに、オルガは微笑を浮かべる。

そして、外した髪飾りに寂し気に触れながら、瞳を明るく灯し始めた。




「傷は痕を残すが、それは語り継がれ、未来の予防線になろう……私が見るものが、お前にも見えるとよいが……」




先代の眼力には誰も及ばず、遠過ぎる先の未来など、シャンには分からなかった。

また見えたとしても、今の様に首を振るばかりで落ち着かない。

僅か先の未来しか分からない自分にもまた、腹立たしかった。




「お前が頑なであるのもまた、深い愛故のものだ……信じておる、シャン……世の生命を託した……」




………


……




……


………




 先代オルガの最後を、忘れた事はない。

その後、人の子を産んで消えた彼女の姿を見る術などなく、彼女の飾りが独りでに一族に戻った事で、この世を去った事が証明された。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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― 新着の感想 ―
どうもです♪ 戦いが終わった傷痕も辛いものです(--;) それぞれが再開した人たちと喜び合いながら支え合うシーンは考え深いものでした! ジェドたちはこの後、何を残し何を見つけるのか! それから長老無…
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