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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第七話 同じ自然として 同じ魂として
111/154

(12)




 ライリーは痛みに顔を歪めていると、降り続ける細かな欠片が身体を叩きつけた。

どういう訳か、それらの衝撃を受けている内に、やり場のない感情が抜け、心身が軽くなっていく。

震える手で汗を拭いながら、打ちつけてくる1つ1つの欠片を見つめた。

涙は乾き、体温が下がっていくと共に、欠片が燻んで灰色の光を灯していく。

それらは弱々しく浮遊すると、コアへ引き返していく。




(ああ……そう……あんたは、どうしようもない馬鹿よ……)




攻撃されながらも、大地はまだ、吸い取ろうとしていた。

気付いたライリーは、もうコアから目を背ける事をしなくなる。




(あんたは優し過ぎた……良い物ばかり残そうとして……でも、どうしてもそうしたかった……本当は、人の幸せが好きなんでしょ……)




縋る事や甘える事は、何ら悪い事ではない。情けない事などあるものか。




(あんたは弱いんじゃない……助けるのは、未来に繋げるため……)




レックスの肩を掴んでいる両手を震わせながら、背中を伸ばしていく。




(消えなくていい……こんな私が生きてるの……だからあんたも、生きていて……)




再び涙を堪えながら、歪み果てた姿と向き合おうとつま先立ちになった。




「さっさとしてよ!

ちっとも追いつかないじゃない!」




ライリーは目を尖らせると、レックスを叩きつけた。




「しょぼいエンジンしかねぇんだ、分かってんだろ!

向こうだって、おっかねぇ力で走ってんだぞ!」




一定の範囲を巡るコアの周りを、宙を走り抜ける3人の鏡の路が取り囲もうとしていた。

合間で飛び交う青い炎や白銀の閃光の数々に、多くの獣の威嚇の声が混ざり合う。

事態を治めようと向けられる多くの刃に、ライリーの息が震える。




(あんたを(ゆる)す者は、そうはいない……それでも私は、真っ先にあんたに触れてあげる……そしてあんたを(ゆる)す……未来のために……)




自分のための決断を(ようや)くできたのだろう。

やっとの想いで、人類を消すという、愚かでありながらも快楽な決断を下したのだ。




(ずっと綺麗な心で在れるわけないでしょうが……そう在る事を目指すにしても……傷つかなきゃ分かりっこない……)




コアの擦れた悲鳴を耳にした時、ライリーは零れた一筋を拭うと、脆くなりゆく闇に目を光らせる。




(あんたに生かされてきた。

だから共存しましょうよ。

姿が違うなんて関係ない。

これは、そう……必要な事よ……)









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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