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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第七話 同じ自然として 同じ魂として
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(6)




 棘に貫かれたコアが、高波の攻撃で漁船を弄ぶ様を目の当たりにした人々は、声を上げずにはいられなかった。

しかしそこに、突如として吹きつけた熱風に身を揺さぶられた。

意識的な風は、ミラー族の体勢までもを崩させるほどだった。




 それからというもの、コアの激しい反撃が更に人々を不安に陥れていく。

襲いかかる守護神の竜の限界を悟ると、放つ言葉もなかった。




 周囲の騒ぎから状況を察するのが精一杯の長老は、簡易的に設けられた高台で仰向けになっていた。

傍のアリーやアイザックは、今にも気を失いかけている彼を叩き起こし続ける。

瓦礫の下敷きになった影響で、呼吸が不安定になっていた。




 その時、麓から子ども達の騒ぎ声がした。

皆は、彼等が指差す方を仰ぎ見ると、先程まで沖で暴走していた守護神の竜が近付いて来る。

その後方には使者の竜達が連なり、島の真上を旋回していく、と




「ジェドだ! こっちだ、おりてこいよ!」



「ああ! むこうに いっちゃうわよ!?」




ケビンとクロイが声を合わせて飛び跳ねる横では、ウィルとリサが、ジェドの指示で降下する使者の竜達に飛び上がる。




「うわああっ! まただ! あいつら、またくるぞ!」



「はやくっ! ちっちゃくなって!

しゅかーとがたいへん!」




リサは両膝を服の中に捻じ込み、攫われないよう丸くなる。

しかし竜達は、島を囲む様に低く旋回し続けるだけだった。

時折、青い火を細く吹きながら、真っ青な眼光を点滅させている。

まるで互いに会話をする様で、飛行の位置が上下に順に入れ替わっていった。

そのまま、波打ち際のミラー族に、眼光に強弱をつけて何かを訴えている。




 ミラー族は、手早く鏡の結界を上げ始めた。

レックスや他の皆は焦るのだが、引き上げられた結界は薄く、沖の様子が眺められる。

ミラー族は人々に小さく頷くと、結界の外で武器を構え、竜達と共に守る態勢に入った。




 片や、高台での騒ぎが、浜に備えていた者達を振り向かせる。

涙ぐんだアリーと、冷静さを欠いたアイザックが、長老をひっきりなしに呼んでいた。

彼は息をするものの、目を開けず、胸を押さえている。




「まずいぞ……ライリー!

島の長が死にかかっとる!」




声を上げたスタンリーもまた、高台に避難していた。

その木の真下を、既にライリーが走り抜けていく。

近くのレオがそれを見兼ね、半ばまで木を下ると飛んで着地し、彼女の後を追った。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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