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*完結* 大海の冒険者~不死の伝説~  作者: terra.
第七話 同じ自然として 同じ魂として
104/154

(5)



少し遡って、島での様子をお送りします。







 島では、戦える者達で武器を取り、沖の事態に目を凝らしていた。

波の攻撃に備え、速やかに行動できない者は高台で身を潜めている。




 子ども達は、高台の麓で拳を握って立っていた。

空と海の神々と共に戦っている4人やグリフィン、漁師達をただ見ている事しかできない自分達に、歯痒さばかりが増していく。

両親や周りからの指示を、どうしてもきけなかった。

きいていられなかった。

自分達の足や、登る力を、甘く見ないでもらいたかった。

共にもっと外へ連れ出してほしい。

小さいからといって、奥へ仕舞われる様に追いやられたくなかった。

この島の番をするのは、同じ小さな仲間同士の約束だ。

そして、帰って来た4人を見返してやりたい。




 コアの攻撃と共に鮮やかな煌めきを散らす神々の光に、釘付けになっていた。

合間に響く地鳴りや、足を取ってくる地震に、もう怯えはしない。

コアに打ち勝つためにも転げてばかりではいけないと、誰1人涙を流さず沖を睨んでいた。






 その時、波打ち際から颯爽と飛び出しては(ヒレ)を仕舞い、着地したのは複数のミラー族だ。

何事かと人々が目を見張るのも束の間、厚い鏡の結界が引き上げられていく。

皆はそれに慌て、現れたミラー族に迫った。




「眩まさないでくれ! 俺達の仲間が命張ってんのに、せめて見守らせろ!」




レックスは鏡の鎧を纏ったミラー族の肩を掴み、訴える。

本来ならば自分も向こうに参戦できていたところだが、足が言う事をきかないままだった。

困難が立て続けに起きた事で、患部に巻かれた布に血が滲んでいる。

それでも、痛みなどそっちのけに駆け回り、人々の安全に尽力し続けていた。




 レックスに術を阻まれ、鏡の結界が半身の位置で止まる。

この時、鎧を纏うミラー族がレックスの足の怪我を見ると、瞬時にそこに触れた。

白銀の光が患部を包んでいくと、その者はあっさりと布を剥ぎ取ってみせる。

回復した足が露わになると、レックスは顔を一変させてミラー族の手を握った。




 だがミラー族も人々を守ろうと懸命だ。

声を持たない彼等の表情が険しくなると、結界を張らない選択はないと訴える様に首を振り、人々を押し退けてしまう。




 その刹那、沖からの破壊音に皆が身を弾ませた。

真横に傾いた漁船の麓から、幾千もの太い鏡の棘が長く伸び、コアを貫いていた。

人々や子ども達はこれに声を上げ、この場に駆けつけたミラー族すら呆気に取られている。

彼等が鏡の双眼を見開き、唇と共に震わせる様は、恐れ戦いているそれだろうと、レックスは半ば足を竦めた。




 ミラー族の手は、じきに、其々の肩や胸にある装飾に徐に触れられると、まるで祈る姿勢を見せていく。

ふと、レックスは、彼等にとっても信じ難い術であると察すると、再び、沖の事態に向けて心構えをした。









代表作 第3弾(Vol.2/後編)

大海の冒険者~不死の伝説~

シリーズ最終作


2025年 2月上旬 完結予定


Instagram・本サイト活動報告にて

投稿通知・作品画像宣伝中

インスタではプライベート投稿もしています


その他作品も含め

気が向きましたら是非




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