(3)
コアは飛行しながら、海に引き摺り込もうと接近する海洋生物達の攻撃を打ち払っていく。
背後から放たれるシャンの鏡の刃や、散り散りになる鏡のブーメランは、間一髪で躱されていった。
そこへ、リヴィアによって雷が瞬く間に落とされる。
コアの仮面を打ち砕こうと集中的に降りかかるも、素早く翻られて不発に終わる。
コアは飛行を止めると、3人と神々を迎え撃つ姿勢になる。
眼光を放つと同時に、顔の真正面にまで詰め寄っていたビクターが閃光を撃った。
熱で焼き払う手前、閃光による鏡に呑まれていくと、互いに消滅して破片が舞う。
ビクターは、片目だけのコアの攻撃力が半減しているのを見て、仮面に向けて1発射撃した。
コアは、黒い陽炎を揺らすビクターを哂いながら、彼の足場を呆気なく打ち砕いてしまう。
ビクターの悲鳴が尾を引き、着水しかけたのも束の間、1人の精霊が彼を受け止めて飛翔した。
大気に溶け込もうとする柔らかな衣を棚引かせる精霊は、剣を咥えたままビクターを抱えて高く舞う。
ビクターは、白銀の髪を結い上げているその者を見て、空島で再生の歌を歌っていた精霊を思い出した。
相手は彼の視線に振り向くのだが、大きな青い目を瞬いて首を傾げるだけだった。
ビクターは足元にコアを見た途端、発生する攻撃に顔を覆い、後の2人を覗き見る。
フィオとジェドがコアの腹に迫るものの、打ち砕いた光は1つがやっとだった。
コアの激痛による反動で、2人は足場ごと大きく跳ね返されてしまう。
俊敏なジェドは、跳ね返された際にフィオに飛びつくと海面に落ちた。
全身で転がるのに合わせて鏡の床が広がり、海に沈むことなく片腕の支えだけで止まってみせる。
彼の止まりたいという強い意思が踵に出っ張りを生み、ブレーキをかけていた。
すぐに立ち上がれないフィオを横に、ジェドは息を荒げてコアに目を尖らせ、低く身構える。
怒りと焦燥が滾り、燃える様に熱い血が全身を素早く巡るのを感じた。
この勢いに呑まれまいと胸で意識しながら、切り出す機会を探る。
コアはその異変を静かに面白がると、再び彼を指先で招いた。
腹を立てたジェドは視界を灰色に変え、瞳孔を縦筋に変えると獣の威嚇を放って突進する。
走り抜けるにつれ全身の筋肉が膨張し、体格が一回りほど大きくなっていく。
脚力が増し、目にも留まらぬ速さでコアの仮面を目指した。
代表作 第3弾(Vol.2/後編)
大海の冒険者~不死の伝説~
シリーズ最終作
2025年 2月上旬 完結予定
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