表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/30

03 ピンクブロンドの恐ろしい義姉

 アタシとマカロン嬢は、異母姉妹。


 侯爵家の婿に入った男が、奥さんの目を盗んで侍女に仕込んだ子種がアタシ。

 そして男が正妻に仕込んだ子種がマカロン嬢。


 だからマカロン義姉(ねぇ)さまぁ、とか御義姉(おねえ)様と呼ぶべきなのかもしれない。


 でも、アレは姉じゃない。


 アタシより圧倒的に強力な相手。

 アタシを破滅させようとしてくる相手。

 そんな存在を姉とは呼べない。

 向こうも同じ、アタシを妹だなんて思っていない。

 婚約を潰す道具、潰したあとで処分する道具としか思っていない。


 あの人は貴族で、『ピンクブロンドの呪い』を信じてる。

 アタシの事はそういう目でしか見ていない。


「でも、君がマカロン嬢をいじめてるって話もあるよ。本宅から追い出して離れへ追いやったとか色々」

「はぁ……そうね」


 そっちは、あの屋敷の奉公人どもが蒔いている。


「しかも君と君の実母の我が儘で辞めさせられたことになっている奉公人達がね」


 アタシは彼らの誰も辞めさせていないし、愚かな両親にそういう事はするな、と何度も釘を刺した。

 でも、バカにつける薬はなかった。バカが好き放題わがままを通せる環境ならばなおさらだ。


 かあちゃんは、ちょっとしたことで奉公人達を次々と辞めさせた。

 侯爵夫人を敬ってないとか、目つきが悪いとか、そんなことで。


 バカかと。


 あの奉公人達は、かあちゃんの前で、()()()()()()()()()()()()()()


 その証拠に、辞めさせられた奉公人達は、誰一人生活に困っていない。

 普通、当主や当主夫人の不興を買って辞めさせられたら、次の奉公先探しに苦労するものだ。

 なのに、みんな即日再就職している。

 しかも、マカロン嬢の知り合いのお屋敷ばかりにだ。


 辞めさせられた奴等は、アタシ達母娘の悪口をせっせとばらまいてる。

 アタシは何もしていないのに、ワガママで恩知らずなピンクブロンドってことにされちゃってる。

 さっきのパーティ会場でもさんざん陰口叩かれた。

 ホントあいつら、聞こえるように陰口言うのお上手。


 せめて、部屋を奪ったくらいは事実無根で通したかったんだけどね……。


 昨日、強引にお屋敷へ呼び戻されてビックリ。

 アタシの部屋は本宅に、マカロン嬢の部屋が離れにチェンジされていた。


 ああ、ついにやっちまったよ!


 なぁにが『もう遠慮しなくていいのよ、アンタこそがこのお屋敷のお嬢さんなんだから』だ。

 ザッハトルテを、アタシの婚約者に出来そうだからって、勝ったつもりだったんでしょうけど。

 ヤバイから! もうほとんど詰まされてるから!


 あの瞬間、アタシは、かあちゃんを見捨てる決断をした。


 そもそもかあちゃんは侯爵夫人なんかになってない。

 だけどそれは、言いたくても言えなかったのよね。

 本当のことを知ったら、思慮の浅い親どもが、何かしでかすに決まってるんだから。


「何か事が起こって、あの屋敷のことを調べられたら、君達母娘の悪行が暴露されるってわけだ。

 屋敷にほとんど帰らない君が、どうやっていじめてるのか謎だけどね」

「アタシだって知りたいわよ。でも、それが事実」


 そう。

 事実なのだ。事実でなくても事実になるのだ。


 呪われたピンクブロンドのアタシは、異母姉であるマカロン嬢を虐げているロクでなしの義妹(アバズレ)

 卑しい母娘が結託して、マカロン嬢から何もかも奪い取ろうとする。

 宝石もドレスも部屋も婚約者もお屋敷も!


 それが貴族という名の蛇どもが信じることにする事実(たわごと)だ。

 それこそが『ピンクブロンドの呪い』なのだ。

もし読んでみて面白いと思われましたら、ブクマ・評価・感想などお願いします!


お暇でしたら、他のお話も読んでいただけると、更にうれしいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ