偶然で必然の出会い。
私には幼馴染がいた。といっても私には彼しか友人と呼べるような友達がいなかったが。しかし、ある日突然私の両親の都合で引っ越すこととなってしまい、彼との突然の別れが訪れた。
私は引っ越しがとても嫌だった。大切な友人である彼と別れたくなかったからだ。そして、引越し当日。私は人目を気にせずに全力で泣いた。わめいた。そんな私をみて彼は
「次に合うときは結婚するときだかんな!! ぜえええええったいに忘れるんじゃねーぞ!! だから泣くな!」
彼は私にハンカチを差し出しながら、そう言ってくれた。とても私はそれが嬉しかった。
「本当?」
「本当だとも!」
「次あったとき絶対に?」
「そう、次あったとき」
「いつ会える?」
「うーん。そこまではわかんねーけど……」
「じゃあ嫌だ!!」
「でも大丈夫だよ! 僕達なら絶対に会える! そんな気がする!」
この言葉を言った彼は多分根拠も何もなかったのだろう。しかし、私はそんな無責任な彼の言葉を信じた。
「わかった!絶対に。ぜえええええったいに約束だからね!」
「おうよ!」
彼はグッドのポーズをする。今のこのときまでそのことを忘れる日はなかった。
そして、偶然彼を見つけた。仕事終わりの帰り道、彼が仕事している姿を見つけた。奇跡なのか、夢なのか。現実が信じられなくて顔のお化粧がぐちゃぐちゃになるまで顔をつねったりした。痛い。これは現実だ。
しかし、彼と別れてからもう何年立つのだろうか。どうやって彼の目の前に現れようか。こんな私でも大丈夫だろうか。彼女ができていたりするのだろうか。
とりあえず、私は彼の現状を調べることにした。身の回り、勤務形態、何時に彼が仕事を終えていつが暇なのかを完璧に調べ上げた。そして、私は彼の目の前に現れる。
あたかも偶然あってしまったかのように。そして、奇跡の出会いかのように。
「あの。覚えているかな……。久しぶりだね」