リアル3Dシューター (変夢奇譚 ~くだらない夢のよせ集め~ 第5夜より)
変な夢を見た。
私は、どうやら、あるゲーマーの話を聞いているようだ。
・・・・
俺は・・・3Dシューターが好きだ。
撃って、撃って、撃ちまくる! あの感覚。
そして、相手をぶち殺す感覚。
もちろん、架空の世界だからそう思うわけで・・・現実の俺は、ふつうのゲー
ムオタク。暴力なんて、とんでもない。人に手を出したことなんて一度もない。
温厚、実に温厚な性格さ・・・。
俺は、最近、すげえ3Dシューターを手に入れた。海外のやつだから、字が読
めない。でも、ほら、3Dシューターだから、別に字なんか読めなくても問題な
い。とにかく、撃てれば・・・それでいいのさ。
で・・・なにがすげえって?
いや、マジ、これやべえ・・・。
まず、ゲーム画面が超リアル。というか、現実のまんま。見たまんま。超高性
能PCでないとダメなんじゃないかって思ったけど、ぜんぜん、そんなことない。
昔のやつでもサクサクなのが信じられないくらい・・・。
んで、音がすげえ! 銃をぶっ放した時の音が、超リアル!
正直、ゲームみたいな迫力はないさ。乾いた感じの音。
でも、現実ってそうなんだろ? すげえよな!
最後に、言いにくいんだけどさ。相手の死に方が、超リアル!
過激すぎる・・・。ゲームとはいえ、ちょっと引くくらい・・・。
俺には、刺激が強すぎるから、できればオフにしたいけど、設定ないんだよ
ね。これ、ちょっと残念な部分ね。
と、まあ、こんな感じさ。
えっ、ゲーム内容?
まあ、普通のミッション攻略型。
なんか、目標を与えられて、そいつらを殺すみたいな・・・。
えっ、説明が雑?
しょうがねえだろ、俺、字読めないんだよ。
英語だかなんだかで・・・わかんないんだよ!
で、途中で死んでも、すぐにリスポーンできる。
何回死んでも、ペナルティなし。
ミッションの制限時間が決まってるみたいだな。
要は、ミッション攻略するか、制限時間が過ぎるまで、ゲームを続ける。
とまあ、こんな感じ。
ただ、変わってるのは、そのゲームの時間がさ、リアル時間で固定されて
るってことかな。アカウントを作って、ユーザー登録すんだけどさ、ゲームの
時間がメールで通知されるんだ。何日の何時から何時ってな・・・。
で、その時間しか、ゲームが出来ない。
えっ? メールは読めるのかって?
いちいちうるさいね。日時はほら、数字だからさ、なんとなくわかるよ。
まあ、その日にとりあえずゲームを起動しておけばさ、ゲームできるしね。
ただね。気になるといえばさ、前は、そんな頻繁にメールの通知来なかった
んだ・・・。残念ながらさ、週に1,2回とか・・・。
でも、最近は、毎日来るんだ。まあ、楽しめるからいいけど・・・。
あとさ、メールの表題が「CALL-UP PAPERS」ってあるんだよね・・・。
なんだろ?
・・・・
最近、A国とB国の間で、戦争が始まった。はじめは、小競り合い程度の小規
模戦闘だったが、規模は拡大し、全面戦争になった。
A国は、B国にくらべ、兵力不足。しかし、兵器レベルは格段に上だった。
そこで、兵力不足を解消するため、秘密兵器を投入する。
全世界のゲーマーたちにオンラインを通じて、3Dシューターを配布したの
だ。その3Dシューターは、殺戮ボットを操作するインターフェース。
ゲーマーたちは、メールで召集令状を受けとり、ボットを操作し、戦争に参
加する。
リアルなのは、ボットのカメラとマイクを通しているから・・・。
彼らが、PCを通して見聞きするものは、すべて・・・。
そこで目が覚めた。