隠居宣言
思いつきで書きました、書いてる時気分良かったです、書き終わったあとに読み返すと謎の恥ずかしたがありました
むかしむかし、あるところに極悪非道の魔王がいました
その魔王はとても凶悪で人間を殺しては支配するという行為を何回も繰り返しました
その被害はとても大きく一夜にして大きな村や街を滅ぼしたほどです、この被害に我慢の限界が来てしまったとある王様は騎士達にこう命令します
「勇者と共に魔王を討伐せよ!」
すぐに討伐部隊が編成されました、勇者は全員で4人、男1人と女2人、ドラゴン1匹、騎士達は200人程の数を揃えました
数が揃うと部隊はすぐに魔王討伐を目指し魔王城へ出発します
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戦いは時間が経つにつれ大きくなっていきます
魔王城につく一本道、その中間地点には大量の悪魔が待ち構えていました、手先が鎌の形をしている者、体がゴリラのように大きい者など様々な悪魔が待ち構えています
するとドラゴンの勇者は約200人の騎士を連れて悪魔達へと突撃します、突破口を開くためです
数多くの悪魔を倒すドラゴンと騎士達、その後ろに出来る道、残った勇者3人は出来た道を無駄にしないと走り出し魔王城を目指しました
走り出し遠くなっても鳴り止まぬ戦闘音と咆哮、大きな爆発音は途絶える事はありません、それでも勇者3人は走ります、魔王討伐を目指して・・・
やっと着いた魔王城、扉を開け中に入ります、不気味なくらい静かです、赤と白のシマシマ模様の壁と床、真っ白に光る黒いシャンデリア、勇者達は慎重に歩き始めます
1階・・・2階・・・3階へと上がり続けます、ここまで来て何も無いのは流石におかしいと勇者達は警戒し始めますがそのような警戒心は邪魔な展開になってきました
扉です、とても大きな扉です、25メートルはあるでしょうか、勇者達に緊張が走ります、すると1人の男勇者が口を開きます
「ここまで来たんだ、勝って帰ろう!」
この一言に女勇者2人は元気が戻ってきました、ここまでくぐってきた修羅場など数知れず、一緒にいた時間は父や母より長い・・・そんな長い時間を過ごしてきた勇者達
ドラゴンの勇者が囮になったのです、その覚悟を無駄にはしないためにも勇者達は歩き始めます、すると扉は自動的に開き始めました、それぞれ武器を構える勇者達、戦闘態勢に入りました、扉が開き終わったあと野太い声が聞こえてきます
「こちらに来い、勇者達」
この声は・・・!、声の主は誰なのか、そう考える事は必要がないほどの威圧的な声と殺気、思わず汗が出てきます
しかしここで引く事はありえない、勇者達は覚悟を決め再び歩き始めます
「よく来た、勇者達よ、我を含めた気高き悪魔達が歓迎しよう!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
そこには悪魔が大量にいました、道中と比べると少ないですが部屋の大きさを考えれば多いと言えるでしょう
大量の悪魔の奥には階段がありその上に目標はいました、そう・・・魔王です
地肌は紫で爪は鋭く、3メートルはあるであろう身長に加え強靭な肉体、頭には王冠を被り手には黒き剣が1本、そして王を証明する玉座、勇者達は確信した、こいつが魔王だと!
「無駄話はしない!さっそく殺し合おう!、お前達は手を出すなよ!」
悪魔達は道を開けた、その奥からは重い音がする、ズシン・・・ズシンと、魔王と勇者の距離はどんどん近づきやがてそれが一定の距離になると戦闘は始まった
豪腕が剣を振って来た、男勇者は剣で受けるが体格差のせいで壁に吹き飛んでしまう、それに合わせて魔王は追撃する、剣が届いてしまう刹那、見えない壁がそれを防いだ
「障壁か・・・我の剣を防ぐとは中々の魔法使いだな、女共」
男勇者に向いていた視線は女勇者に向いた、そう、女勇者2人の得意分野は魔法だった、攻撃と防御はもちろん治癒も高いレベルで魔法を使う事が出来る、人間側が用意できる最強の魔法使いだ、1人の女勇者は魔法を唱える
魔王の後ろで緑色の光が勇者を覆う、次の瞬間男勇者は剣を取り魔王に斬り掛かる
「いい!いいぞ!貴様ら実にいい!」
魔王と勇者達の気分は色んな意味で最高潮になり激戦は10数分続きました
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激戦が終わり最後に立っていたのは勇者達でした、魔法で気を引き後ろから斬るというシンプルなやられ方で魔王は倒れました、しかし勇者達はとてもボロボロでとても残りの悪魔達を相手に出来るほどの体力も魔力もありません
「最後まで付き合ってくれてありがとうな、2人共」
「何言ってるの、今更じゃないそんなの」
「そうですよ・・・、最後まで足掻きましょう」
大量の悪魔は笑みを浮かべながらこちらに走ってきます、3人とも覚悟を決めたその瞬間でした
「止まれ」
不穏な空気が流れ始めます、悪魔達と勇者3人はその一声に震え上がります、ゆっくりと視線を玉座に向けました、そこには勇者達と見た目が変わらなそうな・・・人間と見た目が全く同じの若い見た目をした黒髪の悪魔がいました
「父上が死んだ事で自動的に俺が魔王になる、指示に従ってもらおう」
勇者達は話が全くわからなくなってきた、なぜ止めた?俺達はお前の敵なのに・・・と、不安が心を埋め尽くすと一体の悪魔が口を開きます
「うるせぇ!こいつら殺すのが俺たちの目的だろう!」
「それは父上がお前達に植え付けた怨念のようなものだ、あれだけ言えばお前達程度の悪魔だと脳裏に焼き付いて洗脳されたように動くだろうからな」
悪魔同士が喧嘩を始めた、勇者達は事が静かになるまで聞き流す事にした
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父上が勇者に負けた、全くもってシンプルで小細工一切無しのやり方で負けた、内心はすごく恥ずかしい
でも魔王の息子なのでそれ相応の態度は取っとかないと、今後の計画に支障が出る・・・ん?、あいつら歩き始めた・・・あぁボロボロの勇者をなぶり殺すのか、俺の前で気分の悪くなる事するなよ、俺は怒りと殺意を声に乗せて「止まれ」と一言、すると面白いようにピタッと止まってこっちを見た、こっち見んな
「父上が死んだ事で自動的に俺が魔王になる、指示に従ってもらおう」
「うるせぇ!こいつら殺すのが俺たちの目的だろう!」
「それは父上がお前達に植え付けた怨念のようなものだ、あれだけ言えばお前達程度の悪魔だと脳裏に焼き付いて洗脳されたように動くだろうからな」
1日3回、悪魔を玉座の間に集めては「我々の目的は勇者共を殺す事だ!」がとーたらこーたら言ってたからな、嫌でも脳裏に焼き付いて精神が弱いこいつら程度の悪魔だと洗脳が出来てしまうだろう、こいつら枯葉メンタルだからな
「なんだと!魔王様の息子だからって調子に乗るな!」
あーこれあれだな、言い返したら長くなるやつだな、今この瞬間を見ているどっかの誰かさん、引き際を見極めろってのはこういうことだぞ、これに言い返したらそこから話が繋がって長くなる、それが分かった瞬間俺は部下達に任せる事にした
「クロ、みんなを呼んでゴミ掃除だ」
「かしこまりました、外の方はどうしましょう?」
「ちょっと待て・・・、善戦してるがほとんど死んでるな、アーサーを向かわせろ」
「かしこまりました、ではそのように」
こいつはクロ、元人間の悪魔だ、シスターのような服を着ているのは雰囲気に似合う服がこれしか無かったという僕の絶望的なファッションセンスの無さにある、許せクロ
俺に向かって深くお辞儀をすると今度は悪魔達の方を向き、足を少し前に出し地面を強く踏んで一言
「門」
玉座の前に黒い縦長の円が複数現れた、そこから出てきたのはそれぞれ雰囲気が違い髪型も服装も肌の色も違うしかし目だけは赤い、そんな奴らが8人出てきた
「我らが主のご命令です、ゴミ掃除をなさい、4つを省いて」
クロが一声掛けた時、8人の悪魔は消えその後すぐに悪魔達の断末魔が聞こえた、赤い血しぶきが壁と床を塗り尽くす
バラバラになったり首だけ斬られたり頭から両断されたりする奴もいたけどそんなのはどうでもいいんだ
僕はみんなが掃除する間を静かに歩き始めた、床は既に血だらけでピチャピチャと音を立てながらゆっくり歩く
間を抜けちょっと歩くとボロボロの勇者が3人、床に倒れていた、血まみれの俺を見上げて、だからこっち見んな、いや無理な話か血まみれ出しな
「今すぐ逃げるなら見逃してやる、今後の計画にお前らは邪魔だ」
後ろのゴミ掃除はしばらくかかる、じっくり話し合おうぜ、勇者達よ
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「み、見逃す・・・だと」
男勇者は唖然とした、先程の魔王とは違う、野太く頭に響く声とは違い今目の前にいるこの若い悪魔の声はすごく頭に入ってきて思わずはいと言ってしまいたくなる、そんな優しい声をしていた、戦いに疲れ余計そう聞こえるのだろう
「ふ、ふざけないで!、今更私達を見逃すなんて信じるわけないじゃない!、お前達がしてきた事を考えれば当たり前の事でしょう!」
女勇者の言い分は当たり前の言葉でした、殺し支配して遊ぶ、それを散々繰り返した前魔王の極悪非道は許されることではないない、あまりの優しい声に勇者達は騙されそうになった
「確かにな、だが俺は違う」
「誰がそんな事信じるの!」
「信じる信じないはここでは話さない、お前の言う通り父上がした事を考えればこんなことでは許されると思ってない、だから行動で示す」
「行動・・・?」
「あぁ、手始めに後ろの奴らと外にいた奴らを全部始末する、その後は時間をかけて各地にバラけてる悪魔を1匹1匹始末するかここで保護する、そうする事で俺の計画はようやく完成する、今までは父上がいたせいで出来なかったがここから始まるだ」
「な、何がですか・・・」
「隠居」
「「「は???」」」
「俺の計画は俺に従わない悪魔を全部殺してこの城で静かに暮らす事だ!」
勇者達は唖然した、隠居・・・?魔王が・・・?人間達を攻撃するのではなく・・・?、思考が巡る、なんでこうなったとさえ思った、だが1人だけ冷静な勇者がいた
「誰が信じるの・・・そんな話」
言葉が悪い女勇者だ、彼女は口が悪いもののその魔法の腕は世界最強と言えるだろう、だからここにいた
「それを話をしたら長くなる、だから今は帰るか帰らないか決めてくれ」
「ふざけるな!誰が悪魔の言う事なんか━━━」
「頼むよ・・・なぁ」
言う事なんか聞くかと言う所だったが勇者は目の前の悪魔の殺気に気づいた、今まで倒してきた敵よりも強い殺気だ、さっきの魔王なんて比にならないくらいだった
あまりの威圧感は殺気と勘違いしてしまうほど強く数秒耐えたが女勇者達は気絶してしまった、この小さな空間だけ時間が止まっているみたいに時間が進むのが遅く感じた
「どうせお前らが万全で俺に四人がかりで攻めても勝てねぇんだからさ、大人しく帰って魔王は倒しましたって言えば解決なんだよ、その後はこっちで上手くするからさ、ね?」
とてつもない威圧感から放たれる慈愛の声に疲弊しきった勇者は頷くしかなかった・・・、目の前の若い悪魔はそれを見ると勇者に近づきしゃがんで肩を軽く叩く
「お前が話わかるやつで助かったよ」
そう言うと威圧感は消え男勇者も気絶してしまった
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パタンと本を閉じた女性がそこにいた、隣には2歳ほどの子供がいて寝ていた、読み聞かせていたのだ
子供とは不思議なもので母親が話しかけ続けるだけで寝てしまうのだ、安心できるからなのだろうか
真っ暗な部屋をランプの光が照らす、寝た子供を母親は頭を撫でる
「それにしても人気ね、この本」
何千年も前、悪魔が当たり前のように生きていた時代の話を綴った物語なのだが最近やけにこれが人気だ、はぐれ悪魔が活発化してきたせいなのだろうか
初めて聞いた時母親も気になり本を購入して読んでみると人間と悪魔の戦争が終わった理由は次代魔王の隠居宣言が原因であるという結末だった
その時の記憶を思い出し母親はくすくす笑う、その直後だった
チリンチリンと鈴の音が鳴る、こんな遅い時間に誰だろうと思った母親は玄関に向かい扉を開けた、そこには若いシスター服を来た女性が1人立っていた
「夜遅くにすみません、最近はぐれ悪夢が活発化しているとの事でしたので何が被害が出ていないかと思って聞き回っているものです」
「あ、あぁそうでしたか、お気遣いありがとうございます、この辺りはまだ大丈夫ですよ」
「そうですか、良かったです、ではこれで」
女性は深くお辞儀して暗闇に消えていった、一体なんだったのだろうか・・・、母親は怪しみながらも扉をパタンと閉めた
場所は変わり林の中の少し開けた場所に1人の男が立っていた、足元には異形な見た目をした生物が細切れになっておりその隣には上半身がない人間の死体があった
「ちっ・・・、人間が攻めてくると思ったらこれが原因か」
黒い剣についた血を振り払うと鞘に収める、周りを見渡し目撃者がいないことを確認すると後ろから足音がしてきた、しかし男はその音に大してゆっくり振り返る
それは歩いてくるその女が仲間だからである
「周りはどうだった」
「この方以外には被害がありません、一応家がありましたので確認も取りましたが問題ありませんでした」
「そうか、助かったよクロ」
「すべては敬愛なる主のために」
クロと呼ばれるその女は深くお辞儀をした
これは次代魔王であるオネストが数人の配下と共に数千年隠居した後の物語である
適当に書いたので面白いか分かりませんがもしそうなら良かったです