戦争と戦争の間5
ユキがロッカーから全裸で出てきたけど、僕は何とか理性を保って、ユキに服を着る様に促した。正直自分の理性に敬意さえ覚える。多分、レイのエロいドM発言やキュウのエロい攻撃に慣れてしまった結果だと思う。
「ユキ、早く服着て自室に戻れよ」
「……」
無言かよ…僕はユキが服を着るのを待った。ユキはロッカーの中に自分の服を隠していたみたいだ。ロッカーの前で下着を身に付け始める。僕達なんか事を終えた男女みたいな感じになった。この雰囲気に困惑していた。
「(こんな処、誰かに見つかったら…)」
そうなのである。未だ早朝だが、こんな時間に僕の自室を訪ねるヤツ、いや女の子が一人いるのだ。キュウだ。ウザいキュウは時々早朝に僕を起こしにきたりする。いつ来るかわからない。突然早朝に何度か朝眠い中起こされた事かある。その時、まるで同棲中のカップルみたいですね~とかふざけた事を言っていたな。ユキには早く出て行ってもらおう。キュウに見つかったら、何の因縁つけられるかわからん。
「(?)」
僕は突然思いついた。そういえば、何故ユキは僕の部屋に入れたんだ? 考えられる事は一つだ。入手経路は不明だが、キュウと同じで、僕の部屋の合いかぎを持っているとしか考えられなかった。僕はユキに聞いた。
「ユキ、僕の部屋の合いかぎを持ってるんじゃないか?」
「持ってる」
ユキは短く正直に答えた。僕は合いかぎを返してもらう様頼む事にした。
「ユキ、合いかぎ、僕に返してくれる?」
「うん。わかった」
意外にもユキは簡単にうんと言ってくれた。返してくれるんだ。だけど、
「ええっ!?」
僕は驚いた。ユキは突然、スカートを下した。そして鍵を出した。鍵はパンツに挟んであった…ユキはとんでもない処にに鍵を隠していた。
ユキは取り出した鍵を僕の手に預けると、笑顔を僕に向けた。これ絶対計算だよね? ユキはエロさというか、痴女具合がレイやキュウより酷い様だ。僕は彼女のレイの裸なんて見た事ない。キュウだって、お尻は生で見たけど、それ以上は見ていない。お尻は叩いてしまったけど…ドMで色情狂の二人も流石にそこまでエロくはないんだ。でも、僕はユキの全てを見てしまった。無理やり、強制的に見せられた。その上、とんでもなくエロいシーンまで見せられた。正直僕は鼻血がでそうだった。
ユキはその後も黙って、服を着始めた。でも、その時、
「せ~んぱい☆」
ガタン
ドアの音と共にキュウが入ってきた。しまった、ドアの鍵は開いていたのか? 鍵の音もせず、突然ドアが開いた。そして、キュウが僕の部屋に入ってきてしまった。
「あらあらあららららら???」
「いや、違うんだ! キュウ!」
「なんでキュウにそんなに言い訳するんですか? あれ~? 先輩はキュウの事、好きなんですかね~? だから、こんな処見られて、焦ってるんですね?」
「ち、違うぅ!? これは事故なんだ!? 本当なんだ」
「どうやったら、こんな事故起こるんですか? それにイケないですね。部下に手を出すなんて。キュウは先輩がそんな人とは思いませんでしたよ」
「いや、僕はユキには指一本触れてないから! マジで! ホントなんだ、信じてくれ!」
「この状態で信じる人いますかね?」
「でも、ホントなんだ。だから信じてくれ」
「信じませんけど、口はつぐんであげてもいいですよ」
「ホ、ホントか? 黙っていてくれるのか?」
「ええ、キュウの言う事、一つだけ聞いてくれたら、黙っていてあげます」
「わ、わかった。何でも言う事聞くから、頼む」
僕は手を合わせて、キュウを拝んだ。キュウは二へらと笑った。僕は多分罠にかかったんだろう。だって、良く考えたら、ユキが僕の部屋の鍵もってるのって、絶対キュウの仕業だよね? 絶対キュウの陰謀だよね? 僕がこの事に気がついたのは、ユキもキュウも出て行った後だった。
キュウとユキが出て行って、ようやく落ち着いて、僕は士官服に着替えた。だが、未だ朝食までに時間がある。僕は少し、感慨にふけった。僕がこのパラレルワールドに転移してしまった頃の事を思い出した。
僕は2021年の日本の東京に住んでいた。ごく普通の高校一年生。少し違った処は軍事お宅だった事位だろうか。そんな僕が異世界転移なんぞに巻き込まれたのは一年生の3学期の期末テストを終えて帰る道すがらだった。かなり早目の帰宅中の僕に向かって、暴走トラックが向かってきた。もう、僕を殺す為に爆走しているとしか思えない感じだった。実際そうだったんだろう。だって、トラックのフロントボディには大きく〇印に女神、乗務員の帽子には〇印に女神と書いてあった。そして、あっさり跳ね飛ばされたものの、辛うじて咄嗟に避けて、もろにトラックの質量をもらわないでいた。そう、僕は助かる可能性があった筈なのだ。でも、トラックはバックして来て、僕を丹念に何度も轢いた。どんなけ殺意あるの? て、思っている内に僕の意識は途切れた。後はベタな展開だった。
気がつくと、周りは一面、白い世界だった。そして、目の前には一人の金髪碧眼の女神様? としか形容のし難い存在がいた。白い服を着て、あまつさえ、背には白い翼が生えている。典型的な女神様像が目の前にいた。そして、彼女は言った。
「きゃはぁ~意外といい男! ホント意外! 普通、お宅ってキモいものなのに!」
きゃぴきゃぴとおおよそ威厳も何もない声が頭に響いてきた。僕はとんでも無く嫌な予感しかしなかった。絶対、これ、駄女神のフラグだよね?
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