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エピローグ

第二次日本海海戦は日本国の勝利となった。超ド級護衛艦 やまと、航空護衛艦 あまぎは引き続き、北海道への揚陸支援を続けた。開戦時、奇襲攻撃を受けた、青森県の三沢基地が復旧して、函館への揚陸支援が可能になると、先行していた特殊部隊に続いて、陸上自衛隊中央即応集団が揚陸した。続いて、第二師団が揚陸する。函館上空では激しい航空撃滅戦が行われた。北日本は既にジェット戦闘機MIG15を配備しており、激しい消耗戦が起きたが、様々な戦術で削っていった。戦術は僕が源田さんに伝えていた。戦闘機の性能に劣る航空自衛隊は2020年代の戦術を実践していた。早期警戒機すらあるのだ、航空自衛隊には。


更に僕の魔法兵も善戦し、函館はほんの1週間で奪還した。そして、続く第五師団、第七師団と航空自衛隊のレシプロ機で戦線を徐々に広げ、戦いは有利に進んだ。この戦いで重要だったのは、北の艦隊が負けるのだ等と思いもよらかった点と、北の陸軍の兵力が意外と少なかった事だ。日本と北日本の国力差を考えると当然だろう。北の陸軍は装備こそ優秀なソ連製の兵器をそろえていたが、数が圧倒的に足らなかった。容易に函館に揚陸されるなどとは思いもしなかったんだろう。


北海道での戦いは激化していったが、それは朝鮮半島も同様だった。侵攻する方が犠牲は多い、北日本は数は少ないが、装備は優秀だったのだ。結局北海道の半分位で、侵攻を止めざるを得なかった。補給線が限界に達したのだ。日本もまた、北海道を占領する程の兵力を整えてはいなかったのだ。しかし、


1953年7月に朝鮮半島で休戦協定が結ばれるのに呼応して、日本も北日本との休戦協定を結んだ。北海道は北緯43度20分で分断され、朝鮮半島は北緯38度で分断された。


「救国の英雄様は奥さんが10人もいるなんて、羨ましい限りですよ。それもあんなに綺麗な娘達ばかりで」


「からかわないでよ、僕も結構大変なんだよ。先日、ようやくレイとの10回目のデートを終えて、次回は告白をしようかと思っているんだ。他の娘はまだ、デート5回位で…」


上官の海老名が???という顔をすると、


「まさかと思いますけど、不知火1佐は未だに彼女らに手を出していないんですか?」


「それはそうだよ。物事には順序というものがあって、10人もいると、進まないんだ」


「このヘタレ!?」


「ええっ!?」


海老名にヘタレ呼ばわりされた。何で?


「僕、ヘタレなの? 何で?」


「あの子達、あからさまに不知火1佐の事が好きじゃないですか? それなのにデートをしているだけの段階って…僕なら今頃子供が30人はいますよ」


「ええっ!? そんなふしだらな!?」


「はぁっ!」


何故か海老名は嘆息すると、


「不知火1佐のそういう処はむしろ好きですよ。でも、ホントに頑張らないと、彼女達をがっかりさせてしまいますよ」


「面目ない…」


僕は自衛隊で順調に出世して、上官となった海老名に説教を食らっていた。海老名が昇進を重ねて、僕があまり昇進していないのは、無理もない事を理解して欲しい。僕の魔法兵は日本とアメリカの極秘事項なんだ。


第二次日本海海戦を勝利に導いた僕は英雄とさえ言われた。ただし、自衛隊の中だけで…それも僕の事を知りうる人だけが…


日本人の大半が僕の活躍を知らない。だから、僕は英雄なのに、僕の事は秘匿されている。だから昇進はない。第二次日本海海戦のご褒美は、僕と魔法兵、つまりレイ達との重婚の許可だ。でも、実際のところ、婚姻届けは出していない。そんな事をすると多くの人の目に触れ、僕の存在が知れてしまい、秘密がバレる。だから、婚約届けは出していない。


「なあ、海老名? 僕って、唯の事実婚を10人としているだけじゃないか? これ、別にご褒美になっていないような気がするんだけど?」


「あれ、気がついてしまいましたか? でも、大きな間違いがありますよ。不知火1佐…あなたは、誰とも結婚に至るだけの進捗状況にないです。全員と高校生みたいな唯の淡い恋」


「ええっ!? 僕、奥さん10人いるんじゃないの? そう言われて、英雄なのに我慢していたのに!? それじゃ、なんで海老名が海将で僕は未だ1佐なの?」


海老名はその顔に刻まれた皺を歪ませて、こう言った。


「人前に出る高級将校が高校生にしか見えないとおかしいでしょう? 一体、不知火1佐はいくつになったのですか?」


「40だけど?」


「どう見ても高校生にしか見えません」


そう、僕はどうも女神様の恩恵で、歳をとらないらしい。魔法兵のレイ達も同様だ。今なお彼女らは美しい10代の美貌を保っている。銀河に至っては、ほぼ中学生のロリだ。


「そんな事より、次はどんな戦いになるのですか? 不知火1佐、説明しなさい」


くそっ、海老名め、上官である事をいい事に命令だよ。昔はあんなに僕を慕っていたのに、今じゃ完全に上官としてしか接してくれない。


「次はベトナム戦争だよ。僕の知っている史実では、日本は参戦しない。だけど、多分この世界の日本は国連軍として参加する事になると思う」


「なるほど、ベトナム戦争ですか、それで、どんな戦いになるのですか?」


僕は海老名にベトナム戦争の事を説明した。アメリカが初めて負ける事。戦闘機のミサイルが事実上使えない事。


「それで、日本軍も参加する訳ですね。ベトナム戦争に? 空母『しょうかく』と『ずいかく』が活躍しそうですね」


ニヤリと笑う海老名。彼はまた僕の力を利用して、昇進するつもりだろう。既に藤沢艦長は退役していて、海老名は第二次日本海海戦の大勝利の恩恵を一人受けている。


また、戦いになるのだろう。自衛隊は現在、2隻の空母を保有している。アメリカ軍程の大きさの空母は持てないけど、中型の通常動力型空母を2隻保有している。全ては北の豊原の艦隊が空母を建造し始めたからだ。


超ド級護衛艦やまとはモスボール化されて、退役している。戦艦の維持費はとてつも無い。戦後の経済復興に成功したものの、流石に自衛隊にやまとを維持するだけの予算はなかった。


そして、湾岸戦争、イラク戦争…僕は戦い続けるのだろうか?


「21世紀までには不知火1佐の奥さんに子供ができる事を期待していますよ。この世界一幸せ者のヘタレさん」


「海老名、酷くない? それ?」


海老名はくくっと笑いを押し殺した。


僕には夢がある。それはレイ達と結ばれて赤ちゃんを授かる事。女神様からメールが届いて、再調整が行われた。レイ達は赤ちゃんを授かる事ができる。生まれてくるのはやはり魔法兵。だから、キュウが僕の子供として生まれる可能性がある。


いつかキュウに会いたい。もちろん、キュウは僕を愛したりはしない。変態の女神様も流石に空気を読んで、僕の子供は魔法兵でも、僕を愛する事はないそうだ。


「…それでも、いつか遇いたい、キュウにもう一度」


僕は一人呟いた。


挿絵(By みてみん)


おしまい

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底辺回復術士Lv999 ~幼馴染を寝取られて勇者に追放された僕は王女様達と楽しく魔王を倒しに行ってきます。ステータス2倍のバフが無くなる事に気がついて今更戻ってこいと言われても知りません~

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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