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レイテ沖海戦5

19時、連合艦隊司令長官より全軍突撃の電信が西村司令の元に届いた。おそらく栗田艦隊は反転しているだろう。突入するのは自殺行為だ。作戦などではない。しかし、軍人は死んで来いという命令を受けた場合、受けるしかないのだ。通常は作戦の為に行われる。しかし、この突撃は悪銭等ではなかった。もうやけっぱちなのではないだろうか?


25日午前3、夜戦が始まった。大和の電探で米軍駆逐艦3隻を発見すると僕は大和、羽黒に命じた。


「大和、羽黒、砲撃戦用意、目標前方の敵駆逐艦隊、射撃始め!」


「了解よ。葵君。終わったらデートしてね」


「もう、葵ちゃんたら、またお姉ちゃんの事呼び捨てにして!」


「二人共ごめんよ。危険な事させて…無事帰還したらご褒美をあげるからね」


「えっ? 葵君が大和に結婚を申しこんでくれるの?」


「えっ? 葵ちゃんが私といけない事するのね?」


二人共、そこまで言ってないからね。


二人が敵駆逐艦へ射撃を開始する。3隻の駆逐艦は数分で沈黙した。史実違い、敵艦は魚雷を発射する事も無く撃沈された。電探が無ければおそらく被害を受けていただろう。


その後も2隻の駆逐艦を撃沈すると、更に6隻の駆逐艦が接近してきた。


「西村司令、敵艦隊主力もうじき接敵します。ご準備を!」


「わかった。敵艦隊の位置は? 扶桑を始め、この艦隊の戦艦には電探が搭載されていない」


「わかりました。魔法小隊で照明弾をあげます。敵艦を補足したら、射撃開始お願いします」


僕は魔法小隊に連絡した。


「大和、羽黒、敵駆逐艦を殲滅したら、敵主力艦隊に向けて照明弾をお願い」


「わかったわ。葵ちゃん、お姉ちゃんに任せて」


「葵君が大和にプロポーズだなんて」


「大和、お花畑咲かせてないで、しっかり頼むよ」


ぶちっと魔法通信を切られた。怒ったらしい。女心は難しいな。


大和と羽黒の方から曳光弾が見てとれる。たちまち6隻の駆逐艦が撃沈されると、羽黒が敵主力に照明弾をあげた。そこには旧式とはいえ、威風堂々とした米戦艦部隊が姿を現した。距離、30000mだ。


「射撃準備始め、徹甲弾揚弾始め! 艦隊! 丁字陣形へ!」


西村司令が敵艦隊に対して射撃準備を命じる。この距離だと敵戦艦は未だレーダー射撃不能だろう。それに対して西村艦隊は照明弾で位置を把握している。直ぐに射撃開始されるだろう。


僕も大和や羽黒達に射撃開始を連絡する、射撃開始は西村艦隊と同調する。魔法小隊の威力を必要以上に知られる訳にはいかない。


「大和、羽黒、艦隊が射撃を開始したら、射撃始め! ユウ、ユキ! 突撃、敵艦隊主力に接近して雷撃頼む!」


「「「「ちゃんとご褒美くださいよね」」」」


全員に突っ込まれた。最近僕の使い魔は言いつけると直ぐにご褒美を要求する様になった様だ。特にユウのご褒美の要求は頭が痛い、彼女は幼馴染だから自分を性のはけ口に使わなくていけないというおかしい信念の元、僕に迫ってくるのである。しかも、はけ口として使った後、ものすごい侮辱的な言葉を吐いて欲しいというドMぶりだ。絶対無理。あんな可愛い子にそんな鬼畜な事できるか!


午前3時50分、西村艦隊は丁字陣形でオルテンドルフ艦隊を迎え射撃開始した。距離20000mでだ。


「試射開始! 一斉砲撃」


「着弾! 狭挟! 実射撃開始!」


扶桑の練度は抜群だった。夜戦にも関わらず、初手でなんと教唆である。じき、命中弾が出るだろう。僕の魔法小隊も射撃を開始した。曳光弾が敵艦隊に吸い込まれていく。


大和から一分間に10発は射撃がされたろう、飛んでもない射撃速度だ。そして、命中弾が出た。


凄まじい爆発音が20000m先から見えた。敵先頭艦はたった一発の命中弾で轟沈した。


「なぁ!?」


「轟沈?」


西村司令や他の参謀、砲術長たちが目を見張る。当然だろう、扶桑36cm砲では轟沈は余程運が良くないとと無理な筈だ。


「当たり所がよかったか?」


「弾薬庫に砲弾が入ったのかもしれません」


「うむ」


良かった。先程の轟沈が大和の仕業と思わなかったらしい。僕は戦いを見守った。


西村艦隊は戦艦 扶桑、山城、伊勢、日向、最上という陣形だ。駆逐艦隊は既に突撃を開始している。僕の魔法小隊、ユウユキも突撃している。途中、敵駆逐艦隊と交戦する事になるだろう。


「照準始め、目標、敵2番艦!」


西村司令は照準を2番艦に定めた。多分、大和は3番艦あたりを狙うだろう。西村艦隊の射撃は始まっている。2番艦は西村艦隊に任せて大丈夫だろう。


しばらくすると曳光弾は敵3番艦に向かっていた。日頃の鍛錬のおかげだ。僕は一般教養だけでなく、みんなに軍学校でならった事を教えていた。異なる艦隊は別の目標を狙った方がいい。着弾観測が難しくなるからだ。大和は電探射撃だが、扶桑をはじめ、西村艦隊の戦艦はそうではない。


「命中弾!?」


扶桑はようやく敵艦隊に命中弾を出した。すると、たちまち敵2番艦に命中弾が出た。残り3隻の練度も十分な様だ。夜戦という困難な中、こんなに早く命中弾を出すとは、素晴らしい。


西村艦隊が次々と命中弾を出すと、5発目ぐらいで既に2番艦の足は止まっていた。そして、遂に11発目の命中弾は既に粉砕した2番砲塔のターレットの奥底の弾薬庫に達した。2番艦は爆炎を吐き、次々と誘爆していった。おそらくもうじき撃沈だろう。そして、次の瞬間、大和からの曳光弾が敵3番艦に吸い込まれた。やはり轟音をあげて3番艦は燃え盛る。艦速は急激に落ちたのだろう。3番艦を4番艦以下が抜いていく。しかし、大和は3番艦への射撃を止めない。こちらも直撃沈だろう。


しばらくすると、戦艦群と違う処から曳光弾が見えた。ユウとユキが敵駆逐艦隊と交戦始めたのだろう。敵駆逐艦隊にユウやユキを補足できる筈もない。何度か曳光弾が見えるが、やがて曳光弾は炎で燃え盛る敵駆逐艦の屍を次々と作って行った。

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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