マリアナ沖海戦 3
昭和19年、西暦1944年6月18日、日本軍機動部隊はマリアナ沖に展開した。
日本軍は第三航空艦隊の小沢中将率いる第一航空戦隊 空母大鳳、翔鶴、瑞鶴、第二航空戦隊 蒼龍、雲龍、祥鳳。前進部隊として栗田中将の第二艦隊、戦艦大和、武蔵、金剛、榛名と軽空母千歳、千代田、瑞鳳、龍驤。後衛に小型空母中心の城島少将の第五航空戦隊、空母隼鷹、飛鷹、龍鳳を配置した。
日本軍の機動部隊は米軍に比べて攻撃隊の航続距離に勝る点を利用し、敵艦隊の攻撃圏外から攻撃するアウトレンジ作戦を立案した。
日本軍は実に40機以上の索敵機より、昼過ぎに米機動部隊を発見した。直ちに前進部隊の空母千歳、千代田、瑞鳳、龍驤の4隻から攻撃隊が発進した。しかし、帰投が夜間になる事が判明すると、攻撃中止の命令が直ちに下された。史実では昼間の着艦にも関わらず、数機が事故で失われたが、今回は無事故で帰還を果たした。
この間に基地攻撃隊が米機動部隊を攻撃するが、満足な直掩機もなく、零戦に250kg爆弾を搭載し、爆戦として出撃させた為、多大な被害が出た。
こうして、18日はただ、日本軍の基地航空隊が一方的に消耗していった。
6月19日、米機動部隊は日本機動部隊が発見できず、グアム島の航空基地を襲撃した。しかし、日本軍は雷電や紫電等の局地戦闘機が活躍し、グアム上空で激しい航空撃滅戦が展開された。そして、史実と異なり、グアムの制空権を辛うじて保った。日本軍は史実より1.5倍近くの基地航空隊を整備していた上、電探による誘導まで行われていたのだ。
その頃、日本機動部隊は索敵に成功し、直ちに攻撃隊を出撃させた。前衛部隊から84機、主隊小沢艦隊から212機が発進した。グアムの攻撃隊も60機を出撃させた。3つの攻撃隊の内、先ず基地航空隊が攻撃を開始する。しかし、満足な直掩機もなく、爆戦や一式陸攻の攻撃は簡単に撃破された。この頃の米軍艦隊の迎撃は、レーダーによる正確な誘導が可能となっており、日本軍は絶えず上空から敵戦闘機の奇襲を受け、なすすべもなく撃墜されていった。
しかし、グアムの攻撃隊は無駄死にでは無かった。基地攻撃隊への迎撃で一部の戦闘機隊は補給を余儀なくされ、また、グアムでの航空撃滅戦により疲弊した米艦載戦闘機群は稼働機が400機まで落ちていた。そして日本軍攻撃隊を迎撃できたのは補給をしなかった300機あまりだった。
空母千歳、千代田、瑞鳳 、龍驤の第一次攻撃隊は米第58任務部隊正規空母7、軽空母8に攻撃を敢行するも僅か84機の攻撃隊は基地攻撃隊に引き続き、多大な犠牲を払い、戦艦一隻小破、重巡洋艦中破の損害を与えたに過ぎなかった。だが、第一次攻撃隊の直掩機は十分な活躍をし、米艦隊は日本軍主隊の空母大鳳、翔鶴、瑞鶴、蒼龍、雲龍第二次攻撃隊212機の攻撃を完全に食い止める事が出来なかった。そして空母バンカーヒル、重巡洋艦ミネアポリスを撃沈された。
更に後衛の空母隼鷹、飛鷹、龍鳳の第三次攻撃隊48機も発進しており、更に軽空母一隻を撃沈された。続き、主隊の第四次攻撃隊128機により更に正規空母ワスプIIを大破。それに後衛隊の第五次攻撃隊50機がワスプII止めをに止めをさした。
日本軍攻撃隊が死闘を演じていた頃、僕達祥鳳の魔法小隊も戦闘を繰り広げていた。擬人化兵器の空母加賀、軽巡夕張、駆逐艦雪風、艦上爆撃機彗星、艦上攻撃機九十七式攻撃機により対潜哨戒作戦を行っていた。
時系列は索敵機が発進する直前からだ。未だ未明に僕の魔法小隊は敵潜水艦を求めてさすらっていた。
「加賀先生、索敵をお願いします」
「了解、葵君、任せてね」
ホントメンドクサイな! この設定。僕と加賀先生は先生と生徒という設定だ。擬人化兵器には個性というより設定があり、それを尊重しないと怒られるのである。
「ユキとユウも周囲の対潜哨戒任務を頼む」
「葵君、任せてね! 潜水艦見つけたら激しい凌辱をお願いね!」
「……」
ユウは相変わらずエロい事を言っている。だから艦内でそんな事する勇気、僕にはないからね! それにユキ! 少しは喋れよ!
「私は何をすればいいの? 葵ちゃん?」
「羽黒か? 羽黒は対空監視を厳として頼む」
「お姉ちゃんの対空索敵能力を期待してるのね?」
「頼む、ユキとユウが対潜哨戒中は対空は羽黒が頼りだ」
「もう、葵ちゃんはいつまでたっても子供なのね!」
羽黒も相変わらずだ。
「レイ達航空兵への指示が未だよ。この怠け者! 早く指示を出しなさい!」
レイのドS口調が心地よい。何故か癒されるのだ。僕、最近変態が濃くなってきたかな?
「レイ、レイは前方対空哨戒任務についてくれ。羽黒から敵機情報があったら、迎撃を頼む」
「あら、命令なんて生意気ね? 葵はレイに豚の様に踏まれているのがお似合いよ!」
いや、僕も肯定したいんだけど、それしちゃうと駄目なやつな事ぐらいはわかる。
「俺様も前方哨戒任務でいいのか?」
紫電改だ。紫電改の個性は中二病だ。それ、個性? と疑いたくなる。
「紫電改は艦隊上空に待機して、レイの撃ち漏らした敵機をお願い」
「……フッ。我の『封印されし左目』から逃れることなど不可能……! 我は唯一無二にして絶対的な存在。何人たりともこの艦隊に傷つけられることなどできぬ……! 対空攻撃あまり得意じゃないけどな!」
我とか言い出しちゃった。
「頼んだよ…」
大丈夫かな? その…頭…
「彗星とナナはそのまま飛行甲板で待機を続けて」
「は~い、お兄ちゃん、ナナ待機してます」
「葵君、いいけど、今日は委員会よ? 忘れてない?」
いや、委員会とか学校的なものはここにはないから…
「葵君、敵潜水艦らしきもの感あり、方位10時の方向、距離30浬」
「ありがとう、加賀先生」
「どういたしまして、葵君、せ、先生ね、じ、実は葵君の事が、ハアハア…」
ぶち、加賀先生がこれから僕に愛を告白しそうだったので、一方的に魔法通信を切る。
「ナナ、彗星、10時の方向、距離30浬、対潜攻撃頼む」
「ヤー、葵君」
「お兄ちゃん、任せてね、えへへ」
彗星とナナが10時の方向に飛び立っていく。おそらく史実で空母大鳳に魚雷攻撃した米潜水艦アルバコアだろう。
その後、朝10時頃にも潜水艦を一隻撃沈した。これは翔鶴を撃沈した米潜水艦カヴァラだと思えた。こうして僕達魔法小隊は米潜水艦隊の攻撃を完全に防いだ。
こうして僕達魔法小隊の出撃がここに始まったのである。
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