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マリアナ沖海戦 1

マリアナ沖海戦、昭和19年、西暦1944年6月1日から6月20日にかけてマリアナ諸島沖で行われた日本海軍と米海軍の海戦。 日本軍の正式作戦名はあ号作戦だった。


マリアナ諸島に侵攻する米軍を日本海軍が迎撃した作戦で、日本はアウトレンジ戦法による航空攻撃を行うが、アメリカから「マリアナの七面鳥撃ち」と揶揄される壊滅的敗北を喫した。実に正規空母3杯の搭載機のほぼ全てを一度の出撃で失ったのだ。 この戦いを機に、日本軍は機動部隊による戦闘能力を喪失した。これ以後、マリアナ諸島は米軍がのものとなり、西太平洋の制海権と制空権は完全に米軍が掌握した。


僕達祥鳳はタウイタウイ泊地沖にいた。


「加賀どうだ? 索敵にひっかかったか?」


「葵君、先生に呼び捨てはいけませんよ?」


あ~メンドクサイな~。僕達魔法小隊はケ号作成以来、大きな作戦には参加してこなかった。というより、空母を運用する作戦が全くなかった。全ては空母機動部隊再編の為だった。その為、僕達祥鳳は対潜哨戒任務ばかりを延々とこの1年やっていた。


「わかりました。加賀先生。それで敵潜水艦の感はありましたか?」


「よろしい。葵君、教えてあげましょう。感あり、10時に1、3時に2、9時に2です」


「そ、そんなに?」


「どうも、この付近は潜水艦だらけな様です」


「わかりました。彗星やナナを向かわせます」


「彗星、 ナナ! 3時と9時の方向に分かれて対潜哨戒作戦を実施して!」


「ヤー! 葵君、了解! ちゃんと今日の委員会さぼっちゃ駄目よ」


「お兄ちゃんわかった。必ず沈めてくるね!」


は~、加賀は航空母艦加賀の擬人化兵器だ。個性は高校の先生という設定だ。当然、僕に惚れているエロゲーみたいな設定だ。いや、それを言ったら、ナナなんて妹という超エロゲー設定だ。この設定考えた女神様は絶対エロゲーを参考にしたとしか思えない。先生というくせに、えらく若い加賀先生…レイと大して変わらない容貌だ。その癖、ナナは妹らしく、高校低学年位? という見た目だ。もっとも、擬人化兵器は全員18歳だそうで、完全にエロゲー設定である。


「加賀先生、10時のヤツお願いしていいですか?」


「もちろんよ、葵君の為なら先生頑張ってしまう!」


「はい、お願いします…」


加賀の方を見ると、矢を振り絞っていた。あっ! このシーン見た事あるな。矢を引き放つと、それは妖精が乗る九十九式艦爆撃隊となり大空に飛んで行った。


「ふ~、今日も潜水艦がうじゃうじゃですよ」


「ご苦労様です。不知火中尉」


「ここ一年で20隻は沈めたけど、今日だけで5隻以上行きそうだよ」


海老名中尉だ。僕をねぎらってくれる。彼は僕の最大の理解者だ。


「それにしても魔法兵の対潜能力は凄いですね」


「ああ、空母の加賀が参加してからは入れ食いだね」


「確かに、正規空母がもう一隻あるという訳ですから、凄まじい戦力ですね?」


「そうなんだけど、残念な点もあってね」


「何ですか?」


「射程だよ。空母なのに攻撃半径100浬って何なんかな~て感じなんだ」


「戦艦よりは長いですけど、普通の空母攻撃隊なら500浬はいけますね」


「そうなんだ。それに索敵距離も200浬なんだ」


「それだと、空母としては使用できませんね」


「そうなんだ。火力はここだけの話だけど、正規空母2杯位はあるんだ。だけど、空母としてはね、使えそうにない」


「でも、護衛空母としてなら最強なんじゃないですか?」


「そうなんだよ! 多分、防空能力は以前の数倍にあがっているよ!」


「そうなんですか? それは期待してますよ」


「…いや」


「わかってますよ。あまり期待し過ぎると、買い被りしすぎだ、なんて言うんでしょう? 安心してください。米軍に勝てとは言いませんよ。祥鳳だけでも守ってください」


「わかってもらえて嬉しい。僕の魔法兵は微妙に戦況に影響を与える程の威力はないみたいなんだ」


「そんな都合のいい話は無いって事でしょう。むしろその方が当たり前の様に思えます」


「まあ、そんなところだよ。あっ! 彗星から連絡が入った」


「葵君、敵潜水艦2隻撃破よ」


「ありがとう。流石彗星、早いなぁ」


「速度は任せて! レイにも負けないからね!」


彗星は水冷発動機搭載の艦上爆撃機彗星の事だからか、速度はレイとほとんど同じだ。


レイは最高速度850km、巡航速度も850kmだ。急降下時1000kmと、ほとんど亜音速機だ。


おそらくは、レイ達の様な航空機の擬人化兵器が空母艦載機に当たるのだろう。それに対して加賀やユキの様な船の擬人化兵器は水上打撃部隊の扱いなんだろう。重巡洋艦の羽黒の射程は10浬位だから本物とあまり変わらない。空母の加賀だけが射程が大幅に違う。確かに加賀が正規空母と同じ射程なら、日本軍にもう一隻正規空母が増えた事になる。


マリアナ沖海戦に際して僕の知っている史実と異なるのは、空母の数だ。史実では正規空母3軽空母6だったのに対して、この世界では正規空母5、軽空母8だ。


空母の数だけだと米軍15隻に対して接戦だが、米軍は正規空母が7、それもエセックス級を中心とする大型空母ばかりだ。艦載機は900機近い。


実は悲観的な事ばかりではないんだ。僕が昔提案した事が幸いして、航空機搭乗員の練度は史実とは雲泥の差の筈だ。史実では搭乗員の育成が追い付かず、マリアナ沖海戦に参加した艦載機は離発艦さえどうかという練度だったが、この世界では、十分な練度だ。かつての一航艦とまでいかないが、珊瑚海海戦の翔鶴、瑞鶴隊程度の技量はある。


それに加えて、直掩隊の数だ。空母に搭載される機体は半数が戦闘機だ。従って、直掩機は史実の倍にはなる。マリアナ沖海戦はVT信管によって撃墜された訳では無く、レーダーに誘導された戦闘機によって撃墜されている。攻撃隊の直掩機が多ければ攻撃隊の損耗率は大幅に下がる筈だ。


更には、戦闘機は零戦53型なのだ。1500馬力の零戦はグラマンF6F程ではないが、かなり善戦するだろう。ちなみに零戦53型はほとんど新設計で、翼の折り畳み機能を有し、それ程攻撃機や爆撃機の数を減じなくても大幅に搭載数を増やせた。何せよ、幅が5mしかないのだ。


零戦53型は発動機に金星62型を装備し、最高速度580kmを記録。ライバルのF6Fワイルドキャットに比べると最高速度では負けているが、海面上昇率は上回る。その他の性能でも互角だ。2000馬力級のワイルドキャットに対して中々のものだ。


それに、現在、日本軍は戦闘機隊の基本戦術は一撃離脱戦法へとシフトしている。この戦法だと熟練度の差は出づらい。そして53型は20mm機関砲を排して13mm機銃を翼内に6丁装備している。弾道特性の良い13mm機銃を6丁。一撃離脱戦法の場合、弾をばらまく方が使いいい。もちろん局地戦闘機型の53型も存在するが、零戦の主敵は敵戦闘機だ。だから20機関砲は搭載しない。局地戦闘機の雷電が20mm機関砲を装備する。雷電の主敵は米陸軍の爆撃機なのだ。


「…史実よりはやれるかな」


僕はそう呟いた。

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