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第二次ソロモン海海戦5

「レイ、キュウ、ナナもういい、帰還してくれ」


キュウは未だ2戦位戦える魔力を有していつが、レイとナナは未だレベル5なのだ。既に魔力は1/3位に下がっている。帰還させないと危険だ。敵機を50機は撃破したが、他の敵機は整然と進撃を続けていた。敵ながら大した勇気というしかない。半数を撃破されても尚、引き返さないのだ。


「後は祥鳳と龍驤の戦闘機隊で頑張るしかないか?」


祥鳳には24機の零戦、龍驤には零戦24機、九十七式艦攻8機が搭載されていた。龍驤には露天係止の設備がないため、史実とあまり零戦の数は変わらない筈だ。龍驤はガダルカナル島攻撃に零戦6機、艦攻6機を投入しているが、残りの零戦は18機も使える、祥鳳と合わせると実に42機もの直掩機が第三航空艦隊の防衛にあてる事ができる。


米軍の攻撃隊はサラトガ隊38機、エンタープライズ隊20機、ワスプ隊36機の構成だが、サラトガ隊は壊滅、エンタープライズ隊も残存は8機だけだった。


「葵ちゃん、撃ち漏らした敵機8機が11時の方向から近づいてくるわ」


「わかった。祥鳳の零戦隊で迎撃する」


既に祥鳳の零戦12機、龍驤の8機が直掩隊として第三航空艦隊上空に滞空していた。


「藤沢艦長、零戦隊に連絡、敵機8機接近、11時の方向、高度1000、お願いします」


「了解した。綾瀬中尉、頼む」


通信科の綾瀬中尉に指示が飛ぶ。


「相模原大尉、敵機11時の方向、高度1000、数8!」


『ざぁーーーーー』


「駄目だ、無線が…」


「私が下士官に頼んで、旗信号で伝えますよ」


「頼む」


僕は第三航空艦隊の実質的な防空指揮官を兼ねていた。大抜擢と言えるだろう。形の上は責任者は藤沢艦長だが、藤沢艦長は僕の意見に従う。南雲長官と源田実大佐がどれだけ僕に傾倒してきたのかが、わかる。


海老名が艦橋から伝声管で下士官に伝令を送る。旗信号で上空の相模原大尉に連絡を送る為だ。程なくして上空の祥鳳零戦隊は11時の方向を目指して飛び去って行った。


「葵ちゃん、敵機は全て撃破したみたいよ。でも10時方向から30機以上が接近中よ」


「敵機の正確な位置を頼む」


「12時の方向、高度2000、機数30機以上」


羽黒からの魔法通信で、新たな敵機が接近の報告が入る。


「藤沢艦長12時の方向、高度2000、機数30機以上です」


「綾瀬中尉、頼む」


「し、しまったぁああああ!?」


僕は失念していた、この時代の無線がほとんど使いものにならない事を! つまり上空の指揮官である相模原大尉と連絡がおそらくとれない。それどころか、龍驤の戦闘機隊と連絡が取れるのかすらわからない。つまり僕らは30機以上の敵機を祥鳳の待機戦闘機僅か4機を30機の米軍機に差し向ける事になる。史実と違い、敵機の数が多い、何か歴史が変わっている。どうする?


「どうしたんだ? 不知火中尉?」


「至急、相模原隊に無線で引き返す様に言ってください。何度も何度も、それと、祥鳳と龍驤の待機戦闘機隊全てを至急発艦させてください」


「どういう事だ? 無線が通じない訳です。迎撃は零戦隊の判断に任せてしかなく、奇襲ができないかもしれません。祥鳳の4機で30機の敵機群に突っ込ませる訳にはいきません」


「確かに、綾瀬中尉、至急龍驤に直掩可能な機体をあげさせろ、それと相模原大尉に至急引き返す様、何度も連絡してくれ」


「相模原大尉が直ぐに帰還するといいのですが…」


相模原大尉が艦隊上空を去ってから、羽黒の敵機8機の撃破報告に20分を要した。相模原大尉が帰還するのに20分程度必要と見るべきだろう。早く帰ってきてくれ、そうすれば全てかたがつく。


15分が過ぎ、ユウから連絡が入った。


「葵君、敵機10時の方向、感強し、至近距離よ。高度1000、数30以上」


「藤沢艦長、30機以上の敵機が10時の方向から来ます。至近距離です。至急待機直掩隊に連絡をお願いします」


「わかった。綾瀬中尉、駄目元で無線を、海老名君、旗通信で、直掩隊に敵機の方向を指示してくれ」


「了解しました」


程なくして、上空の祥鳳直掩隊8機と龍驤の直掩隊8機、計16機が敵機に向かって行った。おそらく奇襲となるだろう。何とかなるだろう。この時、僕は楽観的に考えていた。


ユウから魔法通信が入った。


「葵君、10時の方向の敵機、こちらの戦闘機隊を振り切って、10機程度が向かって来ているわ」


「わかった。ありがとう」


僕は思案した。それは敵機の迎撃に羽黒、ユウ、ユキを他の艦艇に差し向けるかどうかだ。三人は戦艦並みの防空力を持っている。しかし、祥鳳の防衛を第一優先に考えたい。そうすると差し向けるのは一人だけ…大丈夫か? 僕は判断に迷った。レイが亡くなった時の記憶が蘇る。


「艦長、もうじき、直掩隊を突破した敵機10機が接近してきます。艦隊の対空砲火と回避運動でどうにかするしかありません」


「わかった。旗艦に連絡する」


藤沢艦長が旗艦に連絡すると、直ぐに敵機の姿が見えた。そして、対空砲火が始まった。だが、勇猛な敵機は猛烈な対抗砲火をくぐり、空母龍驤に爆弾一発を命中させた。空母龍驤は火災を起こすも、直ぐに鎮火された。しかし、離発艦能力を失った。


その頃、日本軍第第一次攻撃隊(翔鶴隊)は米機動部隊に攻撃、エンタープライズに爆弾3発が命中した。しかし、第二次攻撃隊は敵艦隊を発見できず、燃料の残量からそのまま帰投した。


南雲艦隊は史実通り、敵空母撃破は一隻もなかったが、空母エンタープライズを中破させた。こちらは空母龍驤が小波となった。つくづく空母とは脆い兵器だ。たった一発の爆弾で空母龍驤は機能を喪失した。そして龍驤戦闘機8機を海中に投棄した、もっとも、ほとんどの零戦隊は他の空母に収容したので、損耗は少なかった。それに搭乗員の損耗は皆無だ。だが、翔鶴と瑞鶴の攻撃隊は損耗も多く、指揮官である第二艦隊近藤司令が残りは水上打撃戦力の夜戦にて決着をつけるという決定に伴い、南雲艦隊はこの海域を離脱する事になった。


その後、僕の知っている史実と異なり、潜水艦の活躍は伊26潜水艦による空母サラトガの大破だけであった。僕は少し茫然とした。空母祥鳳、蒼龍、龍驤は健在だが、米軍の空母ワスプは健在なのだ。この後に生起する南太平洋海戦の戦いが一層激しいものになる事は確実だ。


日本軍損害


空母:龍驤小破


艦載機:15機損失


駆逐艦:睦月沈没


輸送船:金龍丸沈没


軽巡洋艦:神通中破


水上機母艦:千歳中破


米軍損害


空母:サラトガ大破


空母:エンタープライズ中破


艦載機:79機損失

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