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第一次ソロモン海海戦1

日本海軍軍令部はニューカレドニア、フィジー、サモア方面への進出作戦であるFS作戦を計画していたが、ミッドウェー海戦に大敗北によりFS作戦は延期という名の中止に追い込まれた。南方の前線基地トラック島の防衛の為、ソロモン諸島のガダルカナル島に飛行場を建設し、制空権、制海権を堅守する志向だった。これはSN作戦(ソロモン諸島・ニューギニア島東部における航空基地獲得設営のための作戦)と呼ぶ。また中断されていたポートモレスビー攻略を行う作戦を開始しようとしていた。


ここで、現地の井上成美以下司令部は米軍は外南洋ソロモン・ニューギニア伝いでの反撃は無いと判断した。しかし、現地の予想とは裏腹に連合国軍は同方面を重要視、ガダルカナル島の日本軍飛行場を脅威とみなし、連合国の絶対防衛圏と考えた。その為、ソロモン諸島と近隣の諸島の奪還と確保を計画した。


7月の上旬にはフレッチャー中将指揮の空母 エタープライズ、サラトガ、ワスプ、戦艦 ノースカロライナ、重巡洋艦 ニューオーリンズ、ミネアポリス、ポートランド、サンフランシスコ、ソルトレイクシティを基幹とする空母機動部隊、ターナー少将指揮の約19000名の海兵隊と巡洋艦8隻、駆逐艦15隻からなる上陸部隊と支援艦隊がフィジー諸島に集結した。


昭和17年1942年8月7日、米軍海兵隊約3000名を主力とする米軍がガダルカナル島及びツラギ島を奇襲上陸した。ツラギ島日本軍守備隊は当日玉砕、ガダルカナル守備隊は島内に撤退した。この奇襲を日本軍は全く察知できなかった。


日本軍は基地航空隊で敵機動部隊を、第八艦隊で残る水上部隊と輸送艦を撃滅戦と欲した。この時日本軍は1個大隊1200名程度で奪還できると目算した。完全に敵戦力を見誤っていた。


直ちに基地航空隊が発進したが、この攻撃は失敗に終わる。そもそも基地航空隊、特に一式陸攻等中型攻撃機の敵撃破はあまり記録されていない。戦争初番で英海軍のプリンス・オブ・ウェールズ、レパレスを撃破するという華々しい戦果を挙げたため、大いに期待されたが、米軍に関してはほとんど戦果がなかった。英軍は有力な対艦爆撃機、雷撃機を所有しておらず、単純に対空練度不足であったとしか思えない。英軍の雷撃機が複葉機のソードフィッシュであった事から、おそらくそうなのであろう。


第八艦隊はガダルカナル島への殴りこみ作戦を計画する。敵機動部隊を警戒しての夜間攻撃となるが、幸い、敵機動部隊は退避していた。日本軍の基地航空隊の攻撃隊に零式艦上戦闘機が混ざっていたため、日本軍の機動部隊の待ち伏せを警戒したのだ。この第八艦隊の殴り込み作戦に関しては、米軍の慎重論が災いした。米軍は航空攻撃で第八艦隊を圧倒できた可能性もあったが、ひたすら存在しない日本軍航空母艦を求め彷徨った。


8月8日三川軍一中将率いる第八艦隊重巡洋艦 鳥海、青葉、加古、古鷹、衣笠、軽巡夕張、天龍、駆逐艦夕凪と共にブーゲンビル水道に向かって進撃を開始した。同日午後1時30分過ぎに水道を無事通過すると一路ガダルカナル泊地を目指した。


日没後三川長官より戦闘前訓辞が発せられた。


『帝国海軍の伝統たる夜戦において必勝を期し突入せんとす。各員冷静沈着よくその全力をつくすべし』


午後10時20分第八艦隊はガダルカナル泊地に突入した。米軍は第八艦隊を察知していたが、泊地に殴りこむとは予想だにしておらず、奇襲となった。また、迎え撃つ米艦隊は連日のガダルカナルへの揚陸艦隊援護で疲弊していた。


第八艦隊の奇襲で連合国軍南方部隊は壊滅し、豪重巡洋艦キャンベラ、米重巡洋艦アストリア、クインシー、ヴィンセンス沈没、重巡洋艦シカゴ、駆逐艦ラルフ・タルボット、パターソン大破。サボ島沖は鉄鋼海峡(アイアンボトム)と呼ばれた。しかし、この戦いにおける戦術目標であった敵輸送船団の撃破には至らなかった。敵機動部隊を恐れ、反転再突入は見送られた。敵迎撃艦隊がいる事は事前に予想できた筈だ。にも拘わらず再突入しない点は艦隊保全を優先したのだろう。戦術目標は完遂すべき目標だった。例え重巡洋艦多数を失ったとしても…悲しい事に日本軍は船に余裕がなかったし、情報戦にも劣り、ガダルカナル泊地にどれだけの敵戦力が集中していたかを知らなかった。みすみす勝機を譲ってしまった。


ここに第一次ソロモン海海戦は終了する。結果は敵艦多数を撃破した日本軍の戦術的大勝利、何もいいところがなかった連合国軍の一方的な敗北だった。しかし、米輸送船団壊滅の絶好の好機を逃し、後にガダルカナルにて失われる損害を考え見ると、戦果は拡大できる時に拡大すべきという原則論に対して艦隊保全に走った日本軍の後悔は後を絶たないだろう。


その他、この戦いでの問題は旗艦鳥海が探照灯照射により被弾が集中し、探照灯照射の危険性を検証すべきだった。しかし、鳥海を襲った弾丸は大半が不発弾であった為、味方の油断を抑止する為、三川長官が緘口令(かんこうれい)を敷いてしまった。損傷より日本軍の大勝利に溺れ、再考される事はなかった。一方連合国軍はこの戦いの損害と弾丸の不備に気づき、改良に努めた。結果的に日本軍が得た物より連合国軍が得た物が大きかった。

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