限りなく青い空4
「何だ? これ?」
僕は呟いた。そして、ステータス画面の中のメールボックスの中を覗いた。中にはメールが一通。
『葵君、どうも私のバランス調整がまずかったみたい。特別に救済措置あげるから、許してね。添付のものはもれなく重巡洋艦の擬人化兵器が出現する特別ガチャのチケットよ。召喚する程の魔力無いと思うけど、魔力消費無しよ、感謝して。お礼は激しい罵りの言葉を返信メールでくれると嬉しいわ』
女神様からだった。暇とは言え、僕の事を見ていてくれたのか? SSR確定ガチャ券か、確かに凄いな。しかし、維持の魔力消費量はどんなもんだろう? もし、魔力消費が激しい時はしばらく僕の中で眠ってもらう事になるが、戦力アップは嬉しい。
僕はしばらく考えて、ガチャ券を使った。虹色の輝き、魔法陣が現れ、そして、重巡洋艦が現れた。
「重巡洋艦羽黒です。あなたが私のご主人様? それなりに期待してるわよ」
重巡洋艦羽黒か。羽黒は何度かの戦いで直撃弾を受けるもことごとく不発だったという幸運艦だ。駆逐艦雪風と違い、最後は沈んでしまったが、かなりの期待を込めていいじゃないだろうか?
「葵ちゃん、ちゃんと朝ご飯は食べたの? 駄目よちゃんと食べないと、ホント葵ちゅんは羽黒がいないと駄目なんだから」
ミディアムボブの髪の女の子が僕の目の前に現れた。例によっと、女子高生風のピンクが基調のブレザー、チェックのスカートだ。もちろん、スカートはこれでもかと短い。どうもおせっかいキャラか? それもどうも年上ッポイ、見た目、どう考えても僕の方が上だけどね。擬人化兵器は全員18歳だ。だけど、見た目は結構ばらつきが多い。レイは18歳位のちょっと大人な感じだけど、キュウはもう少し幼く見える。後輩キャラだからかな? ユキとユウはレイとキュウの間位か…羽黒はどうみてもレイより年上の女子大生位にしか見えない。
「それでね、葵ちゃん、朝ご飯の前に、パンツ頂戴」
はぁ? 今、何て言ったの? この人?
「もう、とぼけないでよ。夜の間の恥ずかしいシミや汗がしみ込んだ葵ちゃんのパンツを早く頂戴!」
洗濯してくれるという意味なのかな?
「ええっと、洗濯してくれる?」
「何を言ってるの? せっかく香ばしい香りがついたパンツをなんで洗濯するのよ!」
ええっと、意味が…
「洗濯しないと臭いし、汚いよ、5月とはいっても南方の気温は高いから」
いや、それ以前にどういう事?
「やだ、もう、意地悪しないでよ! 知ってるでしょ!」
いや、初めて会う人の事はさっぱりわからん。
「もう、実力行使!」
そう言った瞬間、羽黒の目が艶めかしく光った様な気がする。
「あ? ちょ、ちょっと、待って!?」
僕は慌てた。だって、羽黒が僕の寝間着のズボンに手をかけて、脱がそうとするんだもん。嘘だよね? 女の子が男のズボンをずり下すのだなんて?
「もう、葵ちゃん! 諦めて覚悟しなさい。お姉さん怒るわよ」
「いや、ちょっと、怒るの僕の方だよね!?」
しまった。僕は油断してしまった。それに羽黒の力が以外と強い。
「ふふふ、お姉さんに任せなさい」
「いやぁぁぁぁあああああ、駄目」
羽黒は僕のお腹の上の乗って来てしまった。これだと羽黒の大きなお尻で体重かかってしまっている上、羽黒をどけるには羽黒を触らないと無理で、羽黒は僕にお尻を向けていて、何処を押したらいいの? ああ、ズボンが脱がされて…パンツが降ろされた。ぐすん、僕、汚された。
「きゃぁぁぁあ、久しぶりの葵ちゃんの生パンツだ~」
「ちょっと、返してよ!」
僕はパンツを脱がされて心もとない下半身を毛布で隠しながら言った。でも、こんな事して羽黒は一体どうするの?
「クンカクンカクンカ、あ~、汗臭い男の子の匂い…素敵…」
羽黒は僕のパンツの匂いを嗅ぎ始めた。羽黒はどうもそっちの方向の変態らしい。
「ちょっと、駄目だよ、羽黒、返してよ」
「葵ちゃん、未だ、羽黒お姉ちゃんは汗の香りにか楽しんでないのよ、なんでそんなにケチな事言うの?」
「これ以上、何するの!?」
「決まってるじゃない。汗の香りを楽しんだ後は……葵ちゃんの恥ずかしいシミの香りを楽しむのよ!?」
「止めて~!? お願い、止めて~!? 女の子はそんな事しないから!? 僕に恥ずかしシミなんてないから!」
「あら、このシミは何かしら? それに女の子だって、男の子の汗や嫌らしいオスの香りにときめきものなのよ」
「それは羽黒だけだろ? 普通の女の子は絶対そんな事ない!?」
「あら、それなら、他の女の子に聞いてみる?」
僕は考えた。この祥鳳に乗っているのはレイ、キュウ、ユキ、ユウ…駄目だ。みんな変態ばかりだ。多分、癖無い子も新たに目覚めるだけだ。止めて、これ以上変態な癖を増殖させないで!
「じゃあ、合意、した処で」
いや、僕合意なんて全然してないよ? 何を和姦だみたいにエロい事言ってるの?
「クンカクンカクンカ…ああ、やっぱり生のパンツは違うわ!」
「止めて、僕の女の子への幻想が崩れ、て…」
いや、もうとっくに崩れ去っていた様な気もするが、この癖は何故か僕には嫌だった。
「…パンツの次はやっぱり」
「えっ?」
羽黒はパンツを自分のスカートの中にもそもそ隠すと、目線をこちらに向けた。目が黒豹みたいで怖い。
「葵ちゃん、ご褒美よ」
羽黒は僕に抱き着いてきた。いや、確かにこれはご褒美かもしれない。羽黒の女の事の柔らかい身体や胸があたって、ちょっと、これ、いいかもしれない。
「葵ちゃん?」
「何、羽黒?」
「クンカクンカクンカ」
羽黒は僕の首元に顔を寄せると直接僕の香りを嗅いできた。
「パンツもいいけど、やっぱり本物の男の子の直の香りが一番ね…」
僕はちょっと、涙目になったけど、羽黒の身体の重みと柔らかい肢体と僕の胸にあたっている羽黒の胸の感触にドキドキした。だって、変態でも羽黒は美人なんだもん。
「羽黒、もう止めて」
「うん、葵君成分をたっぷり満喫できたから、今日はこれ位かしら」
「お願い、ついでにパンツも返して」
「嫌よ、そうだ。これからも羽黒お姉さんに葵ちゃんのパンツを売って? 葵ちゃんのパンツなら、三万は下らないわよ」
JKの生着替えパンツかよ!
「売らないから!」
「そんな事言って、お小遣い欲しいでしょ?」
JKから生着替えパンツを購入する変態中年オヤジですか?
そんな事をしている時、ドアが開いた。
「あらあらあら~、せんぱ~い。キュウという者がいながら堂々と浮気だなんて、キュウ悲しいです」
「なんで、キュウに対して浮気が成立するんだよ」
「いいんですか? そんな事言うと、レイ先輩に言いつけますよ?」
「それは止めて、レイには知られたくないし、それに僕の方が被害者なんだ。僕、パンツを奪われたんだ」
「そうですよね、レイ先輩も毎日先輩に夜這いをかけてパンツを狙いますね」
えっ? やっぱり?
「キュウ、取引だ。何か一つ、何でも聞くから、羽黒を引きはがして、空いている部屋に連れて行って」
「先輩わかりました。その代わり、キュウの言う事、何でも言う事聞いてくださいよ」
僕は嫌な予感がした。
「なあ、何を要求する気だ?」
「やっぱり先輩の生パンツでしょうかね」
「それは絶対だめ!」
「じゃ、キスしてください」
「わ、わかったから」
えっ? 僕、何を約束しちゃったの? キュウ相手に?
「さあ、羽黒お姉さんの部屋に連れて行ってあげますから、先輩のパンツはまた明日にしてください」
「キュウちゃん、わかったわ。それに、葵ちゃんの生パンツもう1枚手に入ったし」
忘れてた…返して、僕のパンツ…
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