限りなく青い空3
レイと彼氏彼女に戻れたあくる日、僕は熟睡した。それが敗因だった。いつも注意していたユウの毛布への侵入を許してしまった。
もぞもぞもぞもぞ
僕は起き上がると、思わず呟いた。
「何してるのユウ? 人の毛布の中に入ってきて?」
「ええ? おきちゃったの? もう少しだったのに」
「ああ、もう少しでパンツを降ろされる処だったよ」
「いや、私はただ、幼馴染としての役割をはたそうとしただけよ」
「幼馴染の役割って何?」
「毎朝葵君のほとばしる性のたぎりを満足させるの」
「僕、そんな事望んでないよ?」
「葵君、常識ないの? 普通、幼馴染はそうやって、性のはけ口として使われるのよ? 知らないの?」
「知らないよ!? 聞いた事ないよ」
ちなみに、ユウが僕のパンツをずり下げる事に失敗したのは、僕がユウの顔を足で押さえつけているからだ。
「それにしても、この扱い。ご褒美です」
「女の子が男に足で顔を押さえつけられるのって、ご褒美なの?」
「この酷い扱いがたまんない。私、ぞんざいに扱われているって、凄く実感できるの」
「普通、嫌だろ?」
「ユウにはご褒美」
「この、ドM!?」
「ああ、更にご褒美が!?」
「もう一回言うぞ、この変態ドM!?」
「ああ、たまんない」
「もう、変態は嫌!」
「…」
「どうしたの? ユウ?」
「ねえ、葵君、ユウって、そんなに魅力ないかな?」
「そんな事ないよ。ユウは可愛いじゃん」
「なら、なんで、ユウを性のはけ口に使ってくれないの?」
「だから、そんな鬼畜な所業は嫌なの、ユウは一体何を望んでるの?」
「決まってるじゃない。葵君にはレイさんがいる訳で…幼馴染のユウにできる事は、葵君がレイ先輩との初めての経験の時に恥をかかない様、練習台になってあげて、その後は、成り行きで性のはけ口として、爛れた関係を続けて、最後は信じられない位酷い言葉で嘲られて、ぼろ雑巾の様に捨てられるの…素敵…」
何処に素敵な要素あるの?
「いや、ユウ、幼馴染同士のカップルって素敵じゃない? そういう素敵な恋人同士になろうとは思わないの?」
「葵君、わかってないわね。幼馴染は負けヒロインのフラグなのよ。幼馴染同士がくっついてどうするの? 幼馴染は浮気するか、性のはけ口としての役割を全うするか、どちらかの選択を迫られるのよ」
誰に選択迫られるの? ユウはレイと一緒で脳が故障してるんだろうな。
「僕はユウと幼馴染同士のカップルになってもいいと思っているよ」
「ええっ! そ、それはもしかして、上げておいて、落とすという、ユウの事をいい気にさせた処を汚い言葉で罵って、馬鹿にして、ふるっていう、高度なドS?」
「ちがーう!!!」
「じゃ、一体どういう風にユウは傷付けられるの?」
「どうして、傷つけられる事前提な訳?」
「だって、馬鹿にされたり、傷付けられたりしないと、快感が得られなくて」
もう、ドMはこれだから…
僕は覚悟をした。キュウから聞いた事を総合すると、レイ達擬人化兵器は僕のハーレム要因だ。彼女達は僕の事を愛している。女神様がそう設定してしまった。頼んでもいないのに、勝手に…考えてみれば、彼女達は僕の傍でしか生きられない。僕の周囲にいないと魔力が補充できない。つまり、彼女らが僕の傍に自然にいるには、僕の彼女となると都合がいい。ただ、僕には複数の女性を彼女にするという、ハーレム志向という感覚がなかった。でも、僕は彼女達を彼女とするしかないのだ。それが僕の責任と思えた。僕が召喚士になったから、使い魔を彼女達にしたから…それは僕の責任だ。かなり背徳感は否めないが…
「もう、いい加減にして!」
ゲシ!
僕はユウの頭を押さえていた足を一旦上げると、ユウ頭をグイっとして突き飛ばした。
「いやん、ご褒美が、このぞんざいな扱い、いいです!」
普通、女の子がこれだけぞんざいに扱われたら引くだろ?
「あ?」
ユウはベッドから落ちてしまったが、なんとユウは全裸だった。
「あ、あのユウ、どういうつもり?」
「ええ? だから、練習台に、その」
「早く、服着て、服!」
ユウは僕に言われた通り、服を着始めた。そして、着終わると、
「普通、裸の女の子いたら、襲わないかしら?」
「知らない女の子だったら、襲っていたかもね、ユウの事は大切だから、そんな事しない」
「何? その迷惑な正義感?」
迷惑な正義感じゃないよね? 大切に想ってたら、普通そうなるでしょ?
「ユウ、明日も裸で僕の布団に潜り込んできたら、問答無用で蹴るからね!」
「ああ、ぞんざいに足蹴にされるのだなんて、是非お願いします!」
駄目だ、ドMは最強だ。どうも、僕は当分、ユウのこのエロい攻撃に耐えなければならないらしい。
「もう、もうじき、朝食の時間だし、僕、今日艦橋勤務だから!」
「ごめんなさい。明日は、気がついたらもう気持ち良くなっている様に頑張るわ」
「だから、そんなの望んでないから!」
「は! 葵君、これ、お預けなのね! わかったわ。私、普通、男の子が喜ぶしかない事をしようとしているにも関わらず、お預けを食らう位ぞんざいに扱われてるのね、ありがとう」
「いや、もう、嫌…」
「じゃ、ユウは自室に戻るね。明日も潜りこむけど、ちゃんとお預けは守るからね」
「…ああ、頼むよ」
何故かうまく、幼馴染設定のユウによる一方的なエロメイドサービスを回避する事に成功するが、ユウは毎日僕の布団の中に潜りこむ事は宣言した。僕、毎日、ちゃんと我慢できるかな?
ユウが僕の部屋を出て行った後、ステータスウィンドウを覗いた。すると、見かけない、物が見えた。それはメールボックスと書かれていた。
「何だ?」
僕はメールボックスを開いた。すると、そこには、SSS確定重巡洋艦ガチャ券と書かれていた。
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