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戦争と戦争の間8

ふぅ、僕は過去にもの思いに耽っていたが、急に現実に引き戻された。そういえば、ユキの変態を止める様に言わなければ。先日キュウから鍵を奪いとったが、鍵はまだある様だ。だからユキは僕の部屋の合い鍵を持っていたんだ。キュウはどうも前の珊瑚海海戦にあたり、何本も合い鍵を作った様だ。


僕はユキの部屋へ向かった。朝の食事は終わって、自室で休んでいる筈だ。彼女達擬人化兵器って有事でも、何もする事がない。仕事は戦闘の時だけなんだ。祥鳳の先代の艦長が何も職務を与えなかったんだ。多分、艦内に18歳の女の子達が出歩くとヤバいと思ったんだろう。それはそうだ、何か月も女の子を見ていない男性が、これでもかとスカートの丈が短い女子高生風の彼女達を見たら、理性を失い、事件になるかも…それは正しい判断だろう。彼女達は士官室を与えられているが、下士官や一般兵の部屋の近くには行かない様厳命されていた。


ユキの部屋をノックして、ユキの部屋に入る。僕はユキに単刀直入に言った。


「なあ、ユキ、僕のロッカーに忍び込むの止めてね。ホント怒るよ」


「ユキ…そうしないと死んじゃう」


だからどうして死んじゃうの? おかしいよね?


「我慢して、性癖なんだろうけど、僕だっていつも我慢できるかわからないよ」


「小隊長になら…」


ユキは頬を赤らめた。こっちが恥ずかしいわ!


「駄目だよ。僕にはレイがいるし、艦内でそんな事したら、軍法会議だよ」


「でも、ユキは見られてないと…」


ユキは露出狂か…ホント残念な子たちばかりだな。見かけは完璧な美少女なのに… ユキは茶髪で毛先は青いショートボブ。制服もどきは薄い青と白を基調としている。胸元には赤のリボン、チェックのスカートは薄い青が基調。ハイソックスは白だ。


ユキは背は低いが、顔立ちは意外と大人びていて、無表情がトレードマークだ。 稀に見せる笑顔がとんでも無く可愛い。ただ、ユキが笑顔を見せるのは性癖全開の時。つまり、裸を誰かに見られた時だ。あ~アウト過ぎる!


「でも、我慢して」


「他の人に見てもらお…」


ちょ、ちょっ!! 絶対それ襲われるから! 駄目、それ!


「ユキ、それ、絶対駄目、それ、駄目なやつ」


「じゃあ、時々小隊長が見て…」


「全裸は駄目!!」


「なら…」


ユキはスカートをたくし上げた。ユキはゆっくりスカートをあげて、ショーツが露わになっていく。薄い青のヤツだ。意外とセクシーなのを履いている。


「ちょ、ちょ…」


ユキは更にショーツも下ろそうとした。もちろん、制止した。ユキの手と僕の手がパンツを巡って攻防をおこす。


「小隊長の意地悪…」


「いや、パンツだけにして、それ以上は僕の理性が持たないから…」


「じゃ、毎日なら…」


「わかった。毎日、パンツ見るから!」


僕、何て約束してるの? ユキはまた素敵な笑顔で笑った。普段笑わないユキが変態な性癖を見せると笑う。とても素敵な笑顔だ。やっている事はド変態だけど…




自室に戻ると、ユキと変な約束してしまった事に後悔する。僕、毎日ユキのパンツ見なきゃいけなくなった。普通、ご褒美かもしれないけど、襲ったら駄目なやつだから、とてつもなく辛いミッションの様な気がする。


それはそうと、僕は自分がこの世界に与えた影響を考えてみた。僕はあまりこの世界に影響を与えられなかったと思っていた。戦艦大和と武蔵は戦艦として建造される。大和計画時には戦艦派と航空機派に齟齬が生じた。戦艦派は当然大和建造を推し、航空機派は翔鶴型建造を推した。当時海軍大臣だった永野はこれを大和型2隻、翔鶴型2隻で手打ちとした。これは僕が転生前の事だ。


僕の知識が多いに参考になったのなら、大和型二隻は一隻を空母に改造し、もう一隻は建造中止にして、空母を建造した方がいいだろう。しかし、そうはならなかった。僕は永野連合艦隊司令長官の元、色々な知識を永野に話したが、僕が永野以外の人と話す機会は得られなかった。だから、何処まで影響を与えられたか、全ては判らない。でも、いくつか確認できる事はある。典型的なのが、戦闘機の小隊が3機では無く2機な事だろう。これは間違いなく、僕の影響だと思う。


それ以外では、丸四計画だ。丸四計画とは昭和十四年度より同十九年度までの六ヵ年計画の事だ。目玉は大和型二隻と装甲空母一隻を主とする艦艇80隻、航空隊80隊整備という途方もない計画だ。だが、海軍大臣経験のある永野は軍政のコネを利用して、大和型二隻を作る訳だから、空母も装甲空母の他に雲龍級空母一隻の建造を認めさせた。戦艦二隻と大型空母一隻、中型空母一隻だと戦艦派と航空派でバランスできる。おそらく、前の世界では永野が海軍大臣から連合艦隊司令長官になった為、バランスがおかしくなったのだろう。もし、日本が装甲空母一隻だけでなく、他に空母を建造していたら、少しは楽になっていたかもしれない。もちろん、気休めにしかならないが…


だが、その後の丸急計画では、残念ながら何も変化がなかった。雲龍級一隻の建造と消耗する艦の補充程度の建造計画だった。これは僕自身、この戦いの終わり等見えないから、やむを得ないと思った。当然、日本軍は短期決戦で考えており、空母が全滅する事を前提に考えていない。そもそも、そんな状態では艦載機も満足に用意できないだろう。僕の知っている歴史でもそうだった。雲龍級がまともに大型戦闘機烈風や大型攻撃機流星を運用できたとは思えない。カタパルトを開発出来なかった日本軍の中型空母、雲龍級がまともな艦載機を用意できたとしても、実質艦載機の運用は無理だったと思う。烈風や流星を運用するなら翔鶴級の様な大型空母が必要な筈だ。


この丸四計画の事は山本五十六長官から聞いた。珊瑚海海戦の後、一時トラック島に補給の為寄ったが、なんと山本五十六長官がねぎらいに直々に祥鳳を訪ねてきたのだ。中尉の僕の処に挨拶に来るのだなんて異例もいいところだ。山本長官が来たのは、もう、僕を秘匿する必要がないからだそうだ。実は永野はかなり僕の言う事を信じてくれていたらしい。だが、僕の存在があまり大っぴらにする事を躊躇った。つまり、米国に僕の存在を知られると、折角のアドバンテージが消滅する。最悪、ハワイ奇襲が上手く行かなかった可能性がある。僕は太平洋戦史をかなり正確に覚えている。これは日本軍だけでなく、米軍にとっても重要な情報だ。もし、知られれば、僕は攫われたかもしれない、米国に。


僕は日本に勝ち目はないと思っていたが、一方で少しでも被害を減らして欲しいと思った。特に特攻だなどという戦術になり得ない愚行は何が何でも阻止したかった。論理的にはかなり戦果をあげた作戦だが、日本人を守る為の軍が日本人を殺す事を前提に戦術をたてるのはどう考えてもクレージーな話だ。それ位なら、さっさと白旗を上げるべきなのだ。


それで、永野には航空機搭乗員の重要性を伝えた。海軍は航空機搭乗員に対する考えを改めるべきなのだ。海軍において、軍艦が沈むと乗員は必要なくなる。だが、軍艦が戦闘を行って、軍艦が生き残ると乗員も大半が生き残る。これは空母航空機搭乗員と大きく異なる。空母艦載機は一度使うと半数が使えなくなる兵器だ。空母が生き残っても空母は使用不能になるのだ。従って、戦闘に投入した航空機搭乗員の生存率は極めて重要だ。生き残りが多い程、補充の新兵は少なくていい。日本軍は空母を使用した場合の航空機搭乗員の生存性の重要性について良く考えるべきだったのだ。航空機搭乗員は育成に3年はかかるし、費用もゼロ戦が一機買える位は金がかかるのだ。人命だけで言っても、この時代には伝わらないだろうから、僕はそういう説明をした。

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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