戦争と戦争の間6
女神様は随分な言い様だった。そもそも僕はお宅と言われる程お宅じゃないよ。軍事お宅だけど、一人で密かに勉強してるし、T〇ttterとかで同好の士とはつながりあるけど、リアルでは一切お宅である事を出していない隠れお宅なんだ。だから、見かけも普通だし、ファッションとかも人並みであるという自負はある。
「あの、ここは何処ですか? あなたは誰? それに僕はどうなったのですか?」
「顔はいいけど、質問がベタね…」
他にどんな質問するの? ここで女神様に彼氏いますか? とか、バストは何センチですか? て、聞けばいい訳? 少なくても僕はそんなに標準外の人間じゃなくて、至って標準人なんだ。今はひたすら、今の状況を確認したい。例え目の前に絶世の美女がいたとしても、普通そうだよね?
「変な事言ってないで、教えてください」
「私とじゃんけんして、あなたが負けたら、教えてあげる」
「僕が負けたら教えてくれるんですか? 普通逆じゃ?」
「いいの。その代わり、貴方が勝ったら、私はおしっこ我慢1時間ね」
何なの? この女神様? そもそもじゃんけんに僕が困る要素がないよね? それに女神様のおしっこ我慢て、そんなに対した罰ゲームじゃないよね? この時、僕はこの女神様のおかしさに気がつかなかった。
僕はじゃんけんをする事にした。そして中々僕は負ける事ができなかった。勝ってばかりだった。だけど、ようやく10回目にして負けた。こうして、女神様からいきさつを何とか聞けた。なんか、このじゃんけん意味無くね? って、思ったのは僕が未だ子供だったからだろう。
女神様は僕の状態と女神様の事情を説明してくれた。
「あなたは運悪く、トラックに轢かれて死んでしまったの。そして、私はあなたの様に天寿を全うできず死んでしまった若者へ、もう一度チャンスを与える仕事をしているの」
僕は女神様をじと~と見た。運悪く? あのトラック、フロントボディに〇女神って書いてあったよね? それに乗務員の帽子には〇女神って、絶対、これ、この女神様の仕業だよね? 運悪くじゃなくて、絶対、これ女神様の計画的犯行だよね?
「あの、あのトラック、女神様の配下じゃないかと思うんですけど」
「ええっ! なんでわかったの? 完璧な犯行だったのに!」
簡単に認めちゃったよ。この女神様。…
「もう、いいですから、この先を教えてください」
「あら、随分と物分かりのいい子ね。物分かりが悪い子だったら…」
物分かり悪いとどうなるの? 怖いよ!!!
「じゃあ、説明するわね。私達女神とか神様って、不老不死で、それはそれはもう暇で暇で、それで、人の人生を狂わせたり、世界の均衡を崩したりして楽しむしか生きる術がないの」
迷惑な神だな!? ていうか発言が悪魔サイド!!
「それで、僕はどうなるんですか?」
「あなたには別の世界に転生してもらうわ。特別にチート能力も付けてあげる」
来た~! チートありの転生だ。この時、僕は異世界、いわゆる剣と魔法のファンタジー世界に転生すると思った。僕もアニメ位見た事あるから、少し、そういう知識はあった。どうせ死んでしまったんだから、せめて異世界で楽しく無双しよう。そんな安易な考えを思ってしまったのだ。
「どんなチート能力をもらえるのですか?」
「先ずは希望を言って。それに合わせて、私が転生先の状態にあわせて調整するわ。流石に転生先の文明を破壊してしまったり、その世界の人類を征服してしまう様な能力は与えられないの。でも、転生先で大活躍できる様な能力は保証するわよ」
僕は思案した。僕はちょっと考えた。強い剣をもらったり、凄いチート能力をもらうより、自分の趣味を生かそう。僕はちょうど、美少女擬人化兵器のゲームにはまっていたんだ。それで、美少女擬人化兵器を召喚する召喚士になれないか聞いてみた。すると、意外と簡単にOKが出た。
「じゃあ、ちょっとまってね。召喚士ね。でも召喚するのが美少女擬人化兵器ってのが、初めて聞くわ。初めてだから、念入りに調整するわね」
「お願いします」
女神様はそういうと、体感で一時間位かけて僕のチート能力を調整した。
「できたわよ、貴方のチート能力。それに、あなたの転生先も決めたわよ。あなたが困らない様にいい感じの座標にしておいたから、安心して! 前にいきなり大魔王の前に転移させたら、瞬殺された子がいてね。私、学習能力高いから!」
いや、大丈夫か? この女神様? 転生人をいきなり大魔王の前に転移とか、あまりにも雑だろ。僕は段々心配になってきた。
「あの、大丈夫かどうか、詳しく聞いてもいいですか?」
「それは駄目。過剰に次の世界の知識は教えられないの。その知識事態がチート能力になってしまうから、我慢してね。その代わりに私が後8時間おしゃべりに付き合ってあげるわ」
女神様って、暇? いや、暇って公言してたか? それにしても8時間って? 僕はやや不思議に思った。普通だと直ぐに転生するしかないような気がした。いくら暇でも、何故そんな事をするのか? だって、暇なら、僕と同じ様な新たな転生人を引き込めばいいだけなのだ。
僕にこの女神の魂胆がわかったのは、それから8時間後だった。どうでもいい女神様の愚痴を散々聞いて、突然、女神様の目に狂気の光が宿った様な気がした。
「あん! 私、も、もう限界!?」
「ええっ? どうしたんですか?」
何が限界? 何言ってんの、この女神様? でも僕はようやくわかった。この女神様、10時間もトイレ行ってないんだ。女神様はぷるぷるとまるで生まれたての小鹿のように震え始めた、ギリギリを楽しんでいる様な感じだ。僕は嫌な予感がした。
「ああ、もよおしてから、もう10時間も我慢を! この膀胱の圧迫感で壊れてしまいそうな感覚と、力まないと漏れ出してしまいそうな尿意は…ごほうびです!」
いや、最初から尿意があったのだなんて、計画的過ぎる!
「…ちょっと待って! 尿意って?」
「ん、もう、むり、れす…」
「女神様、トイレ、早くトイレ!」
「あ、あん、お腹が圧迫しゃれてぇ、しゅ、しゅごい…」
「だから、急いで、トイレへ!」
「んぁああああああ、らめれす! もう漏らしちゃいますよぉぉ!」
な、何なのこの女神様?
「んんっ! お腹の中が、もう、全部、押し出されちゃいます…もう、ぁぁ……駄目」
そういうと、女神様の膀胱は限界に達した様だ。長時間我慢した事で体に力が入らなくなっていき、なんとかギリギリのところで保たれていた堰が、一機に決壊した。一度決壊してしまえばそこから漏れ出す水の勢いは止まらず、当然途中で抑える気力などとっくにない女神様は、そこ場でダムの中の水を全て出し切った。
「ん、ああ、もう大丈夫れすよ。もう、すべて終わりましたから…」
確かに全部終わった様な感覚だ。それはこの女神様の大切な何かが終わってしまった様な気がした。
女神様の言葉を聞いて恐る恐る女神様の下半身の方に目を向けると、そこは大洪水となっていた。下半身から漏れ出した液体は服を、そして床をも全てを濡らし、今もなお浸食を続けている。そして全てを出し切った女神様は、何かをやり遂げた様な清々しい顔になっていた。
「…女神様…大丈夫ですか?」
「いえ、大、丈夫れす。ただその、体に、力が入らないので、しばらく待ってもらえるかしら…」
「……」
こうして、全く無駄というか、見たくないものを見せられた僕は、ようやく回復した女神様によって、転生させられた。
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