第十一話 卵
「あれ?そこの弱そーなの。誰?」
身長190センチはあるだろうか。ガタイのいい30代前半の男が話しかけてくる。本部は隠れ家のバー(?)みたいな雰囲気のところだった。赤レンガが敷き詰められ、なんか、バーカウンターみたいなのもある。未成年にとっちゃあ、関係ないけど。そういえば、六番隊の隊員って、15人くらい居たっけ?ってことはもっとキャラ濃い人がいるのか〜。
「あ、赤島…紫月ですっ…」
あぁ、近くで見ると迫力が凄い。
押し負けてしまいそうだ。っていうか、なんであの人が、隊長じゃないんだ?強そうなのに?
「おい。。新人。今、隊長になんか失礼なこと思っただろ。」
「え、いや、、何…も」
やっべー、バレたか!
「まぁ、いい。そろそろ大会も始まるしな。」
「な、何の大会ですか?」
「六番隊の隊長と副隊長を決める大会だ。」
そんなのが、あったのか。つまり、もしかして
臆田さんが噂のSSランクのハンター…?
「お前も、参加しろ。もしかすと、もしかするかも知れないしな!実力を見定めるいい機会だろ」
「あの…本当に出ないといけないんですか?」
「あぁ、だって!お前Sランクハンターだろ!
出場権はSランク以上だ。
ほら、公式のホームページにも載ってる。」
やべぇ、信じられない。まだ、入ったばっかの俺が副隊長格のSランク!?信じられない。
っていうか、こんなことがあっていいのか。
本部のトップは何考えてんだ!ったく、、、
って!トップはあの親父じゃねぇか!
何考えてやがる!
まぁ、後でじっくり話をつけよう。
でも、これもいい機会だ!……と信じたい。
「はい。出場させてもらいます。」
「はいはい。期待してるぞ。
あ、ちなみに。出場権持ってんのお前と俺と隊長だけだから。よろしく〜」
そう言って、どこかへ出かけていった。
なんなんだ。あの人。横を見ると、、さっきまでいたはずの隊長さんが居ない!と思えば、部屋の隅っこに居た。
「そうだよねぇ、僕はまだちゃんとしてないし舐められても仕方ないよねぇ。あぁ、誰かにこの席を譲りたい…」
何やら、さっきの話を聞かれていたようだった。
「あ、すいません。いや、その……舐めてたとかじゃなくてっ、まだ実力が分かんないからっていう意味であって…」
なんとか弁解したい。この人を敵に回すとろくなことが起きない。
「あぁ、うんん。分かったよぉ。次のっ、ぐすっ、たいかぁい。頑張ろね」
ホントに大丈夫か。この人。こういう人を情緒不安定っていうのだろうか。
「あぁ、そうそう。これ、渡すの忘れてたね。
隊服とケープ。カッコイイでしょ!
あとね、実はこれもあるんだ。ヘアバンド。
深紅でカッコイイでしょ。君の赤茶色の髪に映えるとおもった。紫月君はまだ中学生だし、学校でも使えると思って。今着てごらんよ!ほらほらー」
されるがままに着替えさせられた。黒青の隊服はSサイズでピッタリ。ケープも俺のサイズに合わせてくれていた。それに、この深紅のヘアバンドも。この隊のハンターになれたんだって感じがする。
「ホントに、似合ってるねぇ。」
「お前!なんでも似合うなぁ」
田中さんにも言ってもらった。
ちなみに、ハンターは寮と家とで選べるらしい。俺は迷わずに寮を選択。
田中さんたちは驚いてたけど。
ほとんどの人が寮らしい。ハンター本部だから、セキリュティーも万全。この隊は、自由行動できるし、学校終わらしてから直接帰ってくりゃいいや。あぁ〜、これで今日から俺もハンターか。