第十話 隣人
「俺は!六番隊を指名します!」
しばらくの間、誰もが信じられなかった。
その中で両親だけは、やっぱりな。
と相槌を打っていたのだが
これまでの合格者の中で最年少であり、実力も頭脳も言うことなし。しかも、サラブレッドだ。
そんな、ザ・優等生な紫月が、あの六番隊に入るなど誰も考えていなかったのだ。
その指名された六番隊の隊長までもが、目を疑っている。
「で、動機は?」
ニヤニヤしながら大琥が聞く。
もう知ってるくせに…と、ボソッと呟いたのを大琥は見逃さなかった。
「小さいころから、憧れてました。六番隊!」
そう、六番隊は月間の実績では上位にくい込んでいる隊だ。後から知ったが零番隊は特殊部隊の為、月間ランキングには表示されないそうだ。
「まじかよ、紫月。あんだけの実力だったら零番隊も行けてたろうに…」
神楽坂や三河たちが呟いているのが見えた。
でも、やっぱり六番隊にしか興味無い!
この性格だし、六番隊ぐらいが丁度いいって両親にも言われたし。
「ええっと、僕は全然ウェルカムなんですけど…いいんですか?こんな隊で」
六番隊の隊長さんが人混みを掻き分け俺の前にやってきた。相変わらず細いなぁ。でも、ジャンプ力が凄いんだよなぁ。いけない、喋りかけられてるのに。
「は、はい。よろしくお願いします!」
「んじゃあ、僕は改めて赤島紫月くんを六番隊隊員に任命します。」
少し遅れて拍手が起こる。
俺は、ひとまず六番隊の隊長さんと部屋の隅っこに移動した。
「ほんっと、来てくれてありがとう!嬉しい!
最近は、この隊に入る人滅多にいなかったから!」
ホントに、言葉に言い表せないほど嬉しがられてた。いや、やっぱさ、憧れの人に肩叩いて真正面から喜んで貰えるなんて…夢みてーだ。
「はい!じゃあ次、有馬くん」
大琥の声が聞こえる。次は、あの時。実力試せそうって笑ってた人か。どこの隊に入るんだろう。
「君は、ええっと、二番隊から六番隊のどこかでよろしく!」
と、言う大琥の声が聞こえてきた。
「なんで、零と一は消えたんですか。やっぱり、僕の実力じゃあ不満だからか。さっきの紫月より劣ってるって言いたいですかぁ?」
大琥とその後ろにいる一番隊隊長の矢泉 海斗さんは、黙り込んでいる。そう…だったのか。
なんか申し訳なくなってくる。
「まぁ、いいですけど。俺は二番隊を希望します。」
最後、俺の方をキッと睨みつけて二番隊隊長
である光祈 陽介さんについていった。
その後は、神楽坂君は三番隊、三河君は四番隊、
星川君は、五番隊。それからはそれぞれの部隊の本部に向かった。それぞれの本部は階ごとに決まっている。ワンフロアごとになっている。と聞いたのだが、、、
「はい、じゃあココから入るよ〜。」
何故か、隊長は本部を出てすぐ横にある物置きに入ってその床の取っ手を思い切り引っ張った。
すると、ホコリとともにまるで秘密基地の入口のような通行口ができたのだ。どれだけ深いのか。そこが見えない
「じゃあ、着いてきてね」
そう言うと、中に入っていった。
ヒュォーという音ともに見えなくなってしまった
「もう、見えない。。。仕方ない。入るか」
思い切ってそこに飛び込むと、急激にものすごいスピードで落ちていった。卒業遠足で行ったジェットコースターの降りる所を体感しているようだった。よく、毎度毎度通れるな!と思いながら。
やがて、下から光が差してきた。六番隊の本部か
と思っていたら、視界が眩しくなって思わず目を閉じる。激しい衝撃による痛みと共にうっすら瞼を開けると、目の前に
田中さんが居た。
「あ!さっきの紫月だ!なんでココに居んだ?」
「ええっと、六番隊の隊員になります!よろしくお願いします」
「ええっ!お前、俺たちの隊に入んのか!
これからよろしくな!」
田中さんは親しみやすそうで仲良くなれそうだ。
歳は10くらい、離れてるけどまぁ大丈…
「おいおいおい!ここはいつからお子ちゃま保育園になったのかな?なんでこんなハンターに、とってシンセーな場所に子供が居んだよ!」
あー…ヤンキーみたいな人が出てきたー
なんか、想像通りっつーか。興味あるっつーか。
「あぁ、狂野くん。来てたんだね。
紹介しよう。六番隊の隊員になることになった、赤島紫月君だ。優秀なんだよ〜。試験の様子見せてあげよっか?」
「い、いらねーっすよ!臆田先輩!!そんな、大した奴じゃないんでしょ。コイツ。それより、例の奴どこの隊に行ったんですか?」
「いやいや、だって!筆記と能特で100点叩き出したのこの子だよ!噂の!例の!」
「こ、コイツがァ〜?」
「……」
「仲良くしような!紫月!お前マジであの攻撃どうやったら出来んだよ!」
ほっ、こっちとも仲良くなれそう…
「ちわ〜ッス」