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シナリオ課題1〈魅力ある男〉

シナリオの提出課題を順次掲載していきたいと思います。


ここでのシナリオは、映像作品にすることを念頭においてのシナリオとなります。


そのため、ト書き(セリフ以外の文章)が小説の地の文とは違い、映像として映るもの(人物や動作、景色、置いてあるものなど)を書き、映像として映らないもの(感情・内心・人物の思考・関係)は書いておりません。


また、提出したものをそのまま投稿します。

出題課題には本文を200字詰め原稿用紙ペラ20枚に収めるという条件があるため、ストーリーの1シーン切り抜きのような1話完結でない場合もあることございます。


上記のことを含めた上で読んでいただけると幸いです。



  〈題名〉 後悔



  〈人物〉

 白崎賢人(38) 和菓子職人

 園江若菜(17) 賢人の姪

 園江雪子(42)  若菜の母。



  〈本文〉


◯和カフェ・外観

   商店街の裏路地。立ち並ぶ古民家の一つ。

   入口付近には赤色に紅葉しかけたイロハモミジの鉢植えが置かれている。

   扉にはOPNEとかかkれたプレートが掛かっている。


◯同・中(夕)

   入ってすぐの場所に持ち帰り用のお菓子が並べられたショーケースがある。

   奥には飲食のスペースがあり、数組の客がくつろいでいる。

   店内に園江若菜(17)が入ってくる。

   若菜、レジに居る店員に向って、

若菜「賢人さんってどこにいます?」

店員「店長なら厨房の奥だよ」

   店員、厨房の方を指差す。

若菜「ありがとう」

   若菜、店員にペコリと頭を下げ、厨房へと歩いていく。


◯同・厨房(夕)

   若菜、厨房入り口の扉をゆっくりと開き、中をのぞき込む。

   奥の方で入り口に背を向けて作業をしている白崎賢人(38)。

   若菜、物音を立てないよう慎重に中へと入り、白崎の作業を少し離れた場所からじぃっと見始める。

   白崎、黙々と練りきりを作り上げていく。

   白崎、作業が一区切りついたところで若菜の方へと視線を向ける。

白崎「いいかげん、来たら挨拶ぐらいしろ」

若菜「賢人さん、久しぶり!気づいてたんだね」

白崎「あれだけじっと見られてたら誰だって気づくだろ……」

若菜「賢人さんがお菓子作ってる姿がかっこいいのが悪いんだよ」

   若菜、白崎の隣まで歩いていき、白崎 の作った和菓子をじっと見る。

若菜「やっぱり、賢人叔父さんの作るお菓子って癒やされるなぁ」

白崎「見るだけじゃなく、食べてもらわないと意味がないけどな」

若菜「わかってるよ。和菓子は忘れずに買って帰るとして……」

   若菜、白崎の顔を見て、イタズラそうな笑みを浮かべて、

若菜「賢人叔父さん、いつものとこに連れてってください!」

白崎「今日、茶道の稽古あっただろ?」

若菜「……今日は休みになったから」

   若菜、視線を泳がす。

白崎「いちいち俺を巻き込むなよ……」

若菜「そこをなんとか!連れて行ってくれなきゃ、賢人さんのせいでって書き置きして一人で……」

白崎「それ早めてくれ!」

   白崎、ため息をつき、

白崎「わかった。どうせもうそろそろ店閉めるし――」

若菜「やったー!」

白崎「そのかわり、店の片付け手伝えよ!」

若菜「うん!行ってくる!」

   若菜、小走りで厨房を出ていく。

白崎「あれは何かあったな……。ん?」

   白崎、床に落ちているグシャグシャに丸められた紙を拾い広げる。

白崎「……そういうことか」

   ピリリッと白崎の携帯がなる。着信の画面を見て、

白崎「タイミングよすぎるだろ……」

   白崎、大きくため息をつき、電話に出る。

白崎「もしもし、姉さん?若菜なら来てるけど――」

   話し終えて電話を切った白崎。大きく伸びをしてから、和菓子をいくつか包装しはじめる。


〇ファミリーレストラン・中(夜)

   白崎と若菜、向かい合って座っている。

   テーブルの上には、ジュースやコーヒー、ケーキなどが置かれている。

   若菜、ケーキをほおばる。

白崎「お前って、本当に甘い物好きだよな」

若菜「うん! 甘い物の中で一番好きなのは賢人さんの作った和菓子だけどね~」

白崎「そりゃどーも」

若菜「むぅ……。伝わってる感じがしない」

白崎「ケーキほおばりながら言われてもな」若菜「それとこれとは別じゃん……」

   若菜、ジュースを手に取りグイッと飲む。

若菜「そういえば……。どうして和菓子を作ろうと思ったの?」

白崎「ん……。自分の意思で興味もてたのが和菓子だったから……かな」

若菜「自分の意思で……?」

白崎「あぁ。まぁ……なんだ、昔の俺はちょっと変わってたんだ」

   白崎、コーヒーを飲む。

白崎「毎日必死になって稽古して、与えられて示された道の上を歩いて……」

   白崎、天井を見上げる。

白崎「俺ってなんなんだろ…って。その勢いにまかせて家出したんだよ」

   白崎、苦笑しながら、若菜に視線をうつす。

白崎「で、いろいろあって、和菓子作ろう!みたいな感じだ」

若菜「――なっ!?肝心なところ省かないでよ!」

白崎「話すほどの事じゃねぇよ。それに……」

若菜「それに?」

   若菜、白崎の目をじっと見る。

白崎「お前は明確にやりたいことがあるんだろ?」

   気まずそうに視線を逸らす若菜。


〇同・外(夜)

   白崎と若菜、お店から出てきて車へと向かう。


〇白崎の車

   車に乗り、満足そうに笑顔を浮かべている若菜。

   白崎、後部座席から紙袋を取り、若菜へ渡してから車を発進させる。

   若菜、紙袋の中を確認する。

若菜「これ、今日作ってたやつだ!」

   若菜、紙袋から和菓子を1つ取り出してながめる。

白崎「落としても知らないぞ……」

若菜「それはやだ!」

   若菜、大人しく紙袋に戻そうとして、動きを止める。

若菜「これ……なんだろ?」

   和菓子を紙袋に戻し、シワの入って、小さく折りたたまれている紙を取り出して広げる。

   紙に書かている文字を見て黙り込む。少ししてから、伺うように白崎へと視線を向ける。

若菜「気づいてたんだ……?」

白崎「姉さんから電話もあったからな」

   若菜、顔を曇らせ、

若菜「……お母さん、なんて言ってた?」

白崎「俺のとこに来てるかの確認だけ」

若菜「そっか……」

   広げた紙に書かれた進路志望という文字をじっと見つめる若菜。

   白崎、ちらりと若菜の様子をみる。

   若菜、俯き目を閉じる。少ししてから顔を上げ白崎を見て、

若菜「今日は賢人叔父さん家に泊まらせて!」

白崎「だめだ」

若菜「今日だけ!明日には絶対帰るから」

白崎「明日、学校だろ……」

若菜「むぅー……。じゃあ、もう少しだけでも寄り道してから帰りたい」

   白崎、若菜に呆れた視線を贈る。

白崎「話せるうちに話しとけ。先延ばしにしても解決しない」

若菜「賢人叔父さんには言われたくない。賢人叔父さんだって……」

白崎「だからこそだ」

若菜「……」

白崎「相手の本心が聞けるのも、ぶつかれるのも、お互いに生きてる間だけだからな」

   白崎、自身にも言い聞かすように、

白崎「後悔してからじゃどうにもならないこともある……」

   若菜、白崎の顔を改めてじっと見る。

若菜「……後悔してるの?」

白崎「あぁ」

若菜「……おじいちゃんのことも?」

白崎、悲しげに、

白崎「……ずっと後悔し続けるだろうな」

   若菜、進路志望の紙に視線を落とす。

   車内には、車の走行音だけが静かに響いている。

白崎「若菜、お前自身が後悔しない道を選べよ……」

   若菜の家の近くで車が止まる。

   白崎、そ園江家の玄関前で俯きぎみに立っている園江雪子(42)を指指す。

   若菜、白崎が指指す方を見て、はっと息を飲み、車を降りようとする。

   ふと、車のドアに伸ばした手を引っ込め下を向く。

   白崎、若菜の頭に手をぽふっと置く。

   少しの沈黙の後、若菜は顔を上げ、白崎を見て、

若菜「賢人叔父さん、今日はありがとう!」

   白崎、頷く。

   若菜、急いで車を降り、雪子の方へと走っていく。

   白崎、若菜と雪子が家の中に入るのを見届けてから、車を発進させる。



―Fine―


最後まで読んでくださりありがとう御座います。


シナリオ課題1つ目は〈魅力ある男〉です。

書く際に意識する点としては、「登場人物にどのように魅力をもたせるのか」だったのですが、意図して魅力を持たすというのはなかなかに難しかったです……。



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