故郷へ
GWが近づいてくる
5月になったら
小旅行をする
昔住んでいたあの辺りへ
訪ねるアテはないけれど
老いたる貴女の付き添いがてら
潮の香りを嗅ぎにいこう
ティーンエイジを
丸々過ごした
緑と海の見える土地
暴走する若者の爆音さえも懐かしい
……いや、爆音は要らないが
卒業してから
一度だけ覗いた
小学校の校庭は
もっと小さく感じるかと思ったら
そうでもなかった
ただ
記憶より少し違うようで
ひたりたい思い出も
そうはなく
戻ることのない
時は流れ去って
カケラが胸に刺さるでもなく
子どもの声が耳に響くでもなく
お世話になった先生の顔も
今では思い出せず
昔 住んでいた家からの
登下校の道も
すっかり変わっていて
田んぼには家が建っていた
すべてが変わっていくのが
当たり前だと思っていた
変わるものと
変わらなかったものと
両方を胸に抱いて
故郷の土を踏もう
よい意味で変わりたい
そんな気持ちを
あの山は
あの海は
受け止めてくれるだろうか
あの懐かしい故郷は