着地成功
『投下3秒前…』
機械音が僕に投下カウントを伝える。
無意識に拳を強く握りしめる。バトルドレスに脊髄接続しているせいで分かりづらいが、ドレス内の手には汗が出ているだろう。
いや、脊髄接続しているせいでそんな身体機能は働いていないのかもしれない。軍での教育課程で習った気もしないではないが、生きる上で必要にならないだろうと思い、まともに聞いていなかったことが悔やまれる。
投下寸前でどうでもいいことで、頭の中がいっぱいになるが緊張はほぐれた。良しとしよう。
『投下』
その合図とともに飛行機の床が開く。
投下地点の座標に向けてハニガン部隊長と先輩達、そして僕の5人が空から飛び降りた。
今回の任務は、投下地点のアース・ヒューマンのバトルドレス製造工場の強襲という大きな作戦である。
火星と違い資源の豊富な地球は、戦闘兵、バトルドレスや兵器の所有量がかなり多いらしい。だが火星と違いアース・ヒューマンの敵はマーズ・ヒューマンだけではなく、同じアース・ヒューマンも敵だという。
地球は広く国も1つじゃないが、純正バトルドレスの生産技術を持つ国は少ないらしく、今作戦が大きな意味を持つらしい。
馬鹿ばかりだな、奴らは。戦う相手は少なければ少ない方がいいに決まってるのにさ。お互いで潰し合ってくれないかな。
なんてことを考えているうちに地面が迫ってきて来た。
バトルドレスのいいところは戦闘面だけじゃなく、パラシュート等を用いず飛行機から降りれることだと思う。バトルドレスの腰付近にある小型エンジンの逆噴射で減速し、地面との衝突の衝撃に耐えてくれるのだ。
だが怖いものは怖い。着地と同時にひしゃげる自分の体を考えてしまい、目を瞑る。足に大きな衝撃が走る。
うん、思っていたほどじゃないな。
目を開け部隊長の指示を思い出す。先輩達は陽動として工場の強襲をし、部隊長と僕はバトルドレス製造技術のデータの破壊を行う。
至って単純な作戦だ。まあ他の部隊が僕らと同時期に奴らの軍基地強襲をしているらしい。
「おい、何をボサっとしてんだ。さっさと動けレータス。」
部隊長の声で我に返る。
いつもは甲高く子供みたいな声の部隊長だが、このときだけは重く響くような低い声だ。
そうだ、ここは戦場だ。のんびりしているこの1分1秒が惜しい。
「はい!」
僕は力強く返事をして走り出した部隊長のあとを追いかけた。
眠い中書いたんで修正するかもしれないです… (._.)