後日談編
魔王マアゾ討伐の報と新たな魔王出現の報は瞬く間に人間界を駆け巡った。
何の変哲もない木造の一戸建て住宅の自室で携帯のニュースにてそれを知った裸族のセリナは、クレイジーファッショニストのアリスとその事について話し合い、アリスが防具の意を兼ねた服屋でも開こうかと提案すると、お前の糞以下のセンスしかない服を着るのはダニやホコリくらいだと蔑んだ。
屋上に筋肉ムキムキの趣味の悪い銅像が建つ高層ビルの最上階にて、秘書から世間話し感覚でそれを聞かされたマフィアの石動狂子は新たなビジネスの予感にほくそ笑む。
駅近の4LDKオートロック付きで日当たりも良好で治安も良く防音も完璧ながらなぜか家賃は1万円の曰く付き物件に住む神田ゾンビ子は求人雑誌でそれを知った為にアンデッド部隊のアルバイトの電話をかけ面接の約束を取り付ける。
祭部百合子はごく普通の一戸建て住宅にて寝転んでラジオを聴きながら、新たな魔王出現の報には大した興味も示さずサクランボのへたを口内で結んでは無為にマヅンガーZを量産し続ける。
ところ構わず筋トレを続ける砂月ハガネは強敵出現の予感に喜び打ち振るえながら懸垂を繰り返す。
自宅の神社にて何気無しに占いを行った巫女の鳴上義仙は不吉極まりない占い結果を、面倒そうなので見なかった事にした。
たまたまピザ屋でバイトしていた時期に、ラストダンジョンへのピザの配達に行くハメになった垣添太一は、道中モンスターに襲われた為に自宅で大人しく療養生活を送りながら、半ば形だけの介護を続ける母や姉のちょっかいに有り難みを感じつつも苛立ちを募らせる。
日曜日の学校内、旧美術室にて同級生の切咲裂病の恋愛相談と魔王出現の報の両方を流しながら、桜峰小太郎は創作活動を続ける。
大の動物好きである蒸篠ナツメは動物好きが高じて野性に帰りサバンナを裸足で駆け巡る。
美少女女騎士は大概の場合はリョナられる。ならばどうする?なっちまえば良いじゃん。熊に。と言ってゴリマッチョの豪傑とかしたエーロイノ・キャセルはリョナる側となって野太い野獣の笑い声を挙げながら魔王の討伐に乗り出した。
天辺ハゲ両サイドアフロヘアーの男マッソーは、地球の危機を知り、遠い銀河の果てから宇宙空間を裸で泳いで母星を目指す。
そして
漆黒の木々が乱立する漆黒の密林、通称【ダークネスジャングル】にて、漆黒の闇騎士バハムート=ヘル・ヘヴンは、星々の瞬く夜空の中でも一際あやしく輝く凶星が堕ち、新たに大きな星が立ち昇るのを確認すると、意味ありげに呟いた。
「馬鹿な…早すぎる……まさか…予言は本当だったのか……?ならば、俺の取るべき行動はひとつ……」
徐に立ち上がり、新星の輝く方角へ走る。
「待っていろ……!今度こそ、ケリを付けてやる!」
俺達の戦いはこれからだッ!!!