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クレイジーシスターズ  作者: バナナ焼き
12/29

垣添家編

皆さんこんにちは、マフィア編①にて登場しました、垣添太一です。


部屋の掃除をしたいのに、母親が退いてくれません。

こんな時どうするべきでしょうか。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「母さん、掃除するから退いてくんない?」


片手に毛ばたきを持った男。

垣添太一は、テレビを見ながらソファに座っている、金髪でショートヘアの後ろ姿の女性へと話しかける。


「嫌だ」


即答でそれを断る女性の名は、

垣添美姫かきぞえ みき

垣添太一の母親だ。


「そう言わずにさぁ〜」


太一の呼びかけに、美姫は露骨に面倒くさそうな声で答える。


「い〜や〜だ!それよりコンビニでビール買って来てくんない?」


『くっ、この女、、、』


美姫の態度に太一はイラつきながらも、諭すように話しかける。


「すぐ済むから退いてくれって、な?5分で終わらせるから」


「じゃあどかしてくれ」


「は?」


「ここからどかしてくれ、面倒くさすぎて一歩も動く気になれないんだわ」


美姫は振り返りながらそう言った。


「なんでだよ!外出てるときの100分の1でいいからしっかりしてくれよ!」


美姫は外では、精密機器のように几帳面でしっかりしているが、家の中ではそれとはまるっきり間逆だ。


グゥタラで面倒くさがりで家事もほとんど太一に任せっきりだ。


垣添家には、太一と美姫の他に、父親と、太一より年上の3人の姉がいるのだが、父親と太一に人権は無い。


父親か太一が勝手にテレビのチャンネル一つ変えようものなら、筋肉バスターをかけられる始末。


完全に尻に敷かれており、家事のほとんどは父親か太一がやっており、現在は父親が長期出張中なので、太一が家事全般をこなしている。


救いはないんですか!?

と言いたくなる状況だが、一応、食事は美姫が三食とも作っている。

しかも美姫の料理の腕はプロ級だ。

その為、美姫はどれだけ家でゴロゴロしようが、最低限の体裁は保っている。

仮に文句を言われたとしても、「私はやることやってるだろ!」と強弁で押し通す事も可能なのだ。

無論、美姫が食事を作るのはその為であって、美姫の料理を作る姿は太一と父親から見たところ、さながら映画版のジャイヤンであり、飴と鞭を使いこなすことにより、美姫と、その美姫につく姉妹たちは垣添家のほぼ全権を手中に納めているのであった。

やっぱり救いは無いね。


しかし、太一は、筋肉バスターをかけられる覚悟で美姫に反抗する。


「いいから退けよ!掃除が進まねぇんだよ!」


太一の言葉に、美姫はニヤつきながら言葉を返す。


「あー、お前さては、童顔でスタイル抜群の母さんの事を意識してるな?だから触れないんだろ〜?」


性格はともかく、確かに美姫は美人だ。


顔は愛らしい少女のようでありながら、色香を備えた大人の女性にも見える。

体は黄金比ともいえる艶めかしく健康的な肢体であり、その美しさは外を歩けば数分おきにナンパされるほどで、ご近所では女神とさえ呼ばれている。


しかし、そんな美姫に対する太一のイメージは、ただの面倒くさい人であり、先ほど美姫の言った言葉は太一からするとえ?こいつ何言ってんだ?的な感じの言葉である。


「お前は何を言ってるんだ?」


太一の言葉を聞き、美姫は、サイズと形を両立した自分の胸へと手をやりそれを揺らす。

「ほらほら〜、欲情しないか?触ってもいいんだぞ?」


『くそ、なんでソファから立ち上がる動作一つできないんだよ、腹立つし、何より意味がわからん、いっそのこと一発ぶん殴ってやろうか、、、、』


太一は拳を握りしめ、それを怒りで震わせるが、ふっ、と、脱力し、握った拳を解く。


『いや、やめておこう、、、多分、返り討ちにされる、、、、ここはおとなしく従うしかないか、、、』


「分かったよ、どかせばいいんだろ、どかせば」


「なっ!?やっぱり私の体に欲情してるんだな!?いやらしい!」


『あー無視だ無視』


「よし、いくぞ、、、ふんっ!」


太一が後ろから美姫の両脇に腕を入れ、力いっぱい持ち上げようとするが、美姫はその場から全くと言っていいほど動かない。


「重っ!?くそ重、、、ビクともせん、、、」


「失礼だな、私は平均体重余裕で切ってるぞ」


「いやでもマジで重い、、、」


「ほら、気絶してる人は重いって言うじゃん?あれと同じで、完全に脱力してるから重いんだとおもうよ」


「だらけすぎだよ!!」


いくら注意したところで美姫が聞くはずも無い。

太一は歯を食いしばり、尚も全力で持ち上げようとするが

「ぬぅぅ〜!駄目だ上がらん!つーか、ソファの背もたれ部分が微妙に邪魔で余計に力が入らん」


その状態のまま、10分が経過したが、結局、太一は美姫をソファから動かす事は叶わなかった。



「ゼェー、、ハァー、、、、、もういいよ、掃除は別の日にするよ、、、」


「諦めるのか?」


「はいはい参りました、この勝負、母さんの勝ちですよ」


「そうか」


そう言って美姫はソファから立ち上がる。


今まで散々言っても聞かなかったのに、一体どういうつもりだ?と太一が不思議に思っていると、、、、

「残念だったな!!私は甘やかさない教育主義だ!!」


美姫の後ろ回し蹴りが太一の顔面に突き刺さる。


『何この理不尽』


完。


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