一周年記念イベント開始。
イベント開始してから一周年。
遂にこの時が来たと大勢の人が待ちわびている。
ジョージはいつも通り、リンクスタートさせると二つの選択肢が表示されている。
【通常】と【一周年記念】の二つが存在しており、迷わず【一周年記念】の方を押した。
イベント内容について説明が表示される。
①ログインボーナス
期間中に一度だけログインすることで一つクリスタルをプレゼント。
②記念ダンジョン
二種類あり。片側は敵の出現はないダンジョン。もう一方は、レベル合計150から155までのの四人パーティ限定ダンジョン。クリアすると限定のアイテムが手に入ります。
③オークション
通常とは異なるアイテムなど入荷してあります。オークションの出品に関しては、今回はご遠慮下さい。普段とは異なり、クリスタルの数を期限までに投票していただき、最も多い方が成立するという形をとります。一度投票すると追加での投票は出来ませんのでご了承ください。
④全員参加クエスト
1人でも達成したら、今回参加した全てのプレイヤーにスキルクジをプレゼントします。答えを打てるプレイヤーは1人一回のみ。一番早く正解を出した方には追加特典がありますので頑張って下さい。
⑤隠しイベント
詳細は不明とさせていただきます。真っ暗な中でも恐怖心無く飛び込めるような勇気ある方の参加をお待ちしています。
また、30未満のプレイヤーの皆様は、今後レベル30に到達するまで経験値2倍とさせていただきます。上級なプレイヤーと手を組んで、レベル上げを頑張って下さい。
となっていた。
『えげつないイベントだな。』
そう言いながら、ログインボーナスのクリスタルを確認する。
現在は開始時の全員プレゼント1つと開かずの洞窟クリアの3つ、そして、今回のログインボーナスで合計5つになっていた。
まずは2人に聞いてみるか、とヒロとサツキに連絡をし、合流する、、、はずであったが。2人は既にパーティ制限のダンジョンに誘われてしまったらしい。
まぁ一人で行えるのは記念ダンジョンの敵なしな方しかないな。
そう思い、敵なしダンジョンの攻略することに決めていた。
この街は一周年記念用の特別仕様になっており、開始時には中央広場に集められている。
そこから南にはパーティ制限のダンジョン、北には敵なしのダンジョンがある。その他の店や金庫などは街の各場所にも存在している。
ジョージは北に向かって進んでいく。
パーティ制限の勧誘もあったが、レベルの割りに装備の悪さを見られることもあり、断ると引き止める者はいなかったのである。
このダンジョンの前に着くと、続々と戻ってくるプレイヤーが溢れている。
『なんだこのダンジョンは。こんなんをクリアすることなんで出来ないよ。』
『トラップ除去のアイテムをいくつ使えば良いんだよ。』
これは、情報をまとめる必要があるな。
多くのプレイヤーはトラップの位置の情報収集に追われてる見たいだ。
ジョージにはダンジョン攻略で【トラップマスター】を取得している。
ジョブ【トラップマスター】に関しては、レベルが上がるほど、詳細情報を明らかにすることが特徴であり、レベル1では何処にあるかのマーキングがされる程度であり、高レベルでは何のトラップがあるか、また除去することも可能である。
まぁ大丈夫だろうと本人は思いながら、ソロでゆっくり進んでいく。
周りからは「何考えてるんだ」とか「無謀だろ」とうっすら聞こえているが、無視して進んでいく。
入り口に入るとすぐにナイトスコープのスキルを発動させる。
また、ジョージには開かずの洞窟をクリアした時に手にした【ナイトスコープ】もある。通称フクロウの目であり、暗い所でも光無く全てを見ることが可能である。
そして更に重ねがけで【真実の眼】も発動しながら進む。
トラップマスターがあれば、トラップの場所を知ることはできるのだが、アイテムを探すことは向かないのである。
『トラップのオンパレードだな。』
入ってから30分。多くのプレイヤーに抜かれながら進んでいる。直線の道であるのだが、既に20個のトラップを発見し、避けながら確実にアイテムなどを拾いながら進んでいる。ジョージ1人しかいないのだが、先に進んでいるプレイヤーの悲鳴とあまりのトラップの多さに声を出してしまっていた。
更に進めて行くと左右に分かれ道が出現していた。
うん、左だな
ジョージはいつも通り困った時は左に進んでみたのだった。
暫く進むと壁にぶち当たっていた。
隠し扉を発見し、スイッチを押すと回転扉の様に回して中に入ることができたのだが、その目の前も壁であった。
何かないのかなと探してみるが何もない。
その時だった。
ドドドドドドド
上の方から大きな物音と激しい揺れが生じる。
そのため、扉が急に閉まってしまったのだった。
恐らく上に進んでいるプレイヤーが何かしらのトラップに引っかかってしまったのだろう。
再び開けようとするが、衝撃のためか開かなくなっていたのであった。
ついてないなぁ
そう考えながら、扉に手を掛けると急に光りを発し出していた。
よくよく見ていると文字が浮かび上がっていた。
読んで見ると
[一つ目。水の静けさや激しさの中に存在。周りは笑うだろうが真実を求めるのであれば飛び込むべき]
[二つ目。燃え盛る炎は多くのものを容赦無く襲う。しかしそれは、必要なこと。あなたが呼べば、あなたの声に応じるだろう。]
[三つ目。木を隠すのは森の中。しかし、人の目につかない事なんて無理である。真実ほど身近なものである。]
[四つ目。風に耳を傾けると多くの声が聞こえる。その声の先には、あなたの求めるところへ案内してくれるだろう。]
[全てを揃えし物。この名を叫び、捧げる。あなたには祝福が与えられる。]
コレって秘密のイベントの情報なのか?
そう思って、メニューから情報を選択し、一周年記念の項目、隠しイベントを選択すると壁の内容が全て記されていたのだった。
やはり、予想通りあの文章はヒントであった。
ジョージはダンジョンの最速を決して狙ってはいなかった。ダンジョンの全アイテムと隠しイベントのヒントを探しながら進めていたのであった。