始まりの町
ヒロとサツキと合流し、早速フレンド登録を行う。
フレンドリストを確認すると、名前の他にレベルとジョブが表示されている。
ヒロ
Level23
job:竜殺しLevel2
サツキ
Level21
job:ブリーダーLevel4
本当に色々なジョブがあるんだな。
そう思いながら感心していると、ヒロとサツキが叫び出す。
『収集家なんて初めて聞いたぞ。』
『もしかして、ユニークジョブ??』
よくわからないが、珍しいジョブらしい。
『ジョージ、ステータスみても良い?』
ヒロとサツキは凄く確認したいみたいだから、遠慮なく見せる。
・・・・・・・・・
このステータス低くないか?
レベル1で装備が初期だからではない。HPが100というのは異様なのである。ゲームスタート時に来るこの町から出たところの道にいるゴブリンの攻撃でもダメージを結構受けるため、集団で襲われたら神殿送りである。
神殿に送られると経験値は下がることはないが所持アイテムがランダムで紛失してしまうため、クリスタルランキング上位を狙うなら、金庫に預けて置く必要がある。金庫は各地にあるため、どこでも取得することができるが引き出すにはお金が発生する。
初めて参加した人でも大概は初期装備のままでもアイテムを買ってれば次の町にたどり着くことが可能である。しかし、ジョージのこのステータスでは次の町に行くのは厳しいとしか言わざるを得ないのである。
装備を買い換えるにも、現在の所持金ではほとんど買うことが出来ない。回復アイテムのポーションで10個程度である。
ヒロもサツキも初期装備時でのHPでは2000以上はあったので、より違和感を感じていたのである。
非戦闘系のジョブの影響なのかもしれないが、ユニークジョブであれば、比較する相手もいないのでジョージとしては自分の好きに進めることができて好都合である。
ヒロやサツキもこの後どうしたら良いのか悩んでいる顔を浮かべている。
『しばらくはこの町でレベルあげとかのんびりやって行こうと思う。』
この町【始まりの町】には神殿、ショップ、宿も一応備わっている。唯一ないのが金庫と依頼である。
しかし、敵のレベルも低く、イベントとかの影響を受けない場所でもあるため、中々留まろうとするプレイヤーは存在しない。
『ジョージ、それで良いのか?協力すれば隣の街までは行けるとは思うけど。』
ヒロがそう答えると
『ヒロも知っているだろ、俺は一つずつやって行かないと気が進まないんだから。』
『そうだな。それなら仕方ないな。じゃあサツキと一緒に他のダンジョンに行ってくるわ。ジョージ、注意はしておくけど、フレンド登録をする相手には慎重にな。』
???
ジョージは言っている意味が分からなかった。
『ジョージのジョブはユニーク何だから、恐らくフレンドリストに登録をしたい奴は沢山いるんだよ。だからあまりジョブを明かすこともオススメ出来ないんだよね。私のジョブは戦闘の様子みればばれてしまうんだけどね。だから私達もジョージのジョブについては誰にも言うつもりはないから安心してね。』
そう言いながら笑いながらサツキがフォローする。
確かに固有ジョブがないとクリア出来ない位の難易度の場所もあるんであれば、フレンドリストには異なるジョブを持っているフレンドが望ましい。ユニークであろうがなかろうが、それが当然である。
ユニークジョブかどうかは実際はネットで書き込みがあるものかどうか。複数の目撃証言があるかだけで、真偽は謎のものも多い。
ジョブの取得条件もあるが、気がついていたらあったとの報告も多いため、不透明なものも多いのである。
『何かあったら連絡するから。』
そう言いながら、2人に手を振った。
まずは色々聞いて回って見るか。
近くの店などのNPCに聞き込みを開始する。
最初に寄った所は案内所である。NPCだから気軽に聞き込みを行えた。
次の町に関しては、サラエという町までは一本道で5kmの所にあるという。他の町があるかとの質問に対して行く手段があるかを尋ねると現状としてはないとの返答であった。
収集家のジョブについては、アイテムBOXの数が多いこと、ドロップ率が良いこと出そうである。
スキルについては、戦闘系のスキルでなければ、町でも使用することができること。真実の眼に関しては、真実を見ることができるとのことであった。
次に寄った武器屋を覗いて見るが、どれも現在の所持金では買うことができなかった。装備の道具に関しては、ジョブによる固定が強いられるものでなければ、自由である。
弓使いであれば、弓以外を持つことは出来ない。
神殿で話を聞くと、何もアイテムBOXになければ、何も減ることはないとのこと。お金が足りなくて金庫からおろせないことはなさそうである。
飯屋では、食べることでHPの回復ができること。宿でも寝れば回復する。ポーションと比べると回復の効率は悪いが、味覚も分かるため、好き好きである。また、毒治しなどに関しては薬屋で手に入る。
まずはスキルの確認をしようかな。
そう思い、町の外に出る。
完全に一本道が目の前に広がり、少し進むと目の前にゴブリンが1匹いた。
こっちの認識はしていないらしく、後ろから不意打ちを行った。現在の装備は投擲可能な短剣。対象を意識するとサークルが表示する。そこに向けて投げるモーションをするだけである。
ゴブリンはそれでも倒しきれず、こちらに攻撃するために近寄ってきた。
俺の攻撃では簡単に倒せないのか。そう思い、再び構える。今度は打撃をしようとするがゴブリンの移動速度も早いため、短剣が当たるまでに攻撃を食らってしまう。
痛いというわけではないが、衝撃を感じた。
が、敵と接触してる時に短剣を突きつけて倒した。
HPが僅かであるが減っていた。一撃でこの程度であれば、数匹では蹂躙決定である。
ハッとなって周りを見渡すと他の敵の存在は見られなかった。
右上のサーチ画面には建物や道の表示があるが、敵の認識まではされてないらしい。
アイテムBOXには新たな追加は見られず、金は10G手に入れることができた。
敵一体でこれでは次に進むなんてまだ早すぎだな。
今度はスキルの確認だな。
スキルの発動には、画面で選ぶか、音声認識で行けるみたい。
右上に時間で5分のカウントダウン表記が始まった。
・・・・
何も変わりがない。
そう思いながら、敵を探す。
残り時間2分のところでモッフという花の形をしたモンスターに遭遇したが、何も変わらなかった。
そして戻ろうとした時に、赤く光っているのが目に入った。
その場所に行くとアイテムが落ちていた。
このスキルはフィールドのドロップを探すことのできるスキルではあるらしい。
一度町に戻り、アイテムを確認するとビリビリソウと書いてあった。
まだMPが余っていたため使い切るために再度スキルを使いながら町を歩く。すると奇妙な風景が見えていた。
今まで見えてなかった裏道があった。試しに近づいてみると確かに進むことができるらしい。
裏道の両側の店の人に聞き込みをする。さっき聞いた時にはそのような返答らしい言葉はなかった。
『そこの裏道ってどこに繋がっているんですか?』
そう聞くと
『それは開かずの洞窟に繋がっているんだよ。』
と答えた。
スキルの時間が切れたが、隣に聞くとそんな場所は知らないという。
これもスキルの発動が、条件か。
いや、待てよ・・・・
そう思いながら、その場に倒れこむ。
こうして、スキルの使い方を理解した所でMPが尽きて動けなくなっていたのであった。