第八話 逃走――後編――
勉強せず頑張りました(勉強しろ)
でもさすがに勉強しないとマズイので次は一日ほど遅れるかもです。
応援よろしくです!
星が綺麗だった。
この綺麗な星空を眺めていると嫌なこと全部忘れられる気がした。
……悲鳴が聞こえたときまでは。
「ぁあああああああああああ!! 助けてくれぇえええええええ」
また五部か。
気分が台無しだな。
やっぱり忘れられるわけないか。
男性が泣き叫んでこっちへ走ってきた。
そしてそのまま俺の横を通り過ぎる。
男性を追いかけていた五部が俺の目の前に来たところで思いきり殴り飛ばしてあげた。
「唯果ー、行くぞー」
後ろを振り返る。
遠くのほうで、さっきの男性のとなりで誰か走っていた。
「いやぁああああああああ!! 誰か助けてぇええええええええええ」
……あいつは後でおしおきだな。
まあでも、心配する必要はないかもしれないな。
俺は一人で移動することにした。
周りには店やマンションなどが並んでる。
誰もいない。
みんな建物の中に隠れているのかもしれない。
こんな時に外を出歩くのは俺達だけってことか。
どこか隠れるところはないか探しながら歩いていると、工場を見つけた。
誰もいなさそうだから入ってみるか。
俺は工場の中に足を踏み入れた。
足音が響くイメージがあったのだが、そうでもないみたいだ。
暗くて誰もいない工場に一人か――――さすがに少し怖い。
だって何か出てきそうじゃん。
工場から出ようとして体をくるりと回した瞬間――
カン、カン、カン、と工場内から足音が響いてきた。
……え?
心臓が破裂しそうだ。
俺はビビりながらゆっくりと振り返る。
上に誰かいる。
ああ、上は足音響くんだな。
俺はどうでもいいことを考えて、少しでも冷静になろうとしたけど無理だった。
誰だよ怖えーよ。
生きてるのか? 幽霊なのか?
俺はいつの間にかそれをガン見していた。
「まさかこんなところで会うとはな」
「お前誰だよ」
即答してやった。
マジで誰だこいつ。
赤色の髪で、猿みたいな顔をしている。
こんな変な奴見たことはない。
赤髪の男がものすごい勢いで下へ降りてくる。
カンカンカンカンカンカンと、赤髪男の足音だけが静かな工場内に響きわたる。
「貴様! ふざけやがって! ていうかいつになったら俺に名前を教えるんだ!?」
名前? なんで知らない男に名前を教えなくちゃならないんだ?
……あいつは俺を知っていて、俺はあいつを知らない。
「もしかして五部か?」
「舐めやがって。……まあいい、今すぐ決着をつけようじゃないか! どっちの隊長が強いのか」
こいつ、隊長だったのか。
赤髪は背中に隠してあったのか、おもむろに刀を取り出した。
いやいやいや、刀相手に素手で勝てるわけねーだろ。
俺は何も言わず全力で逃げ出した。
「おいこら待て!!」
赤髪がおいかけてくる。
俺は後ろを振り返ることなく、誰もいない暗くて寂しい道をただひたすら走り続けた。
どれくらい経ったんだろう。
俺はずっとこうしている。
俺はずっと突っ立ったまま――――両親の死体を見詰めていた。
なんでこうなった?
俺は一人になったのか?
「lockerと、五部のせいか……」
許さない。
許さない。
「でも、俺じゃあどうすることもできないじゃねぇかよ……っ……!」
俺は硬大ほど強くはない。
風が吹いた。
とても冷たい風が俺の頬をたたく。
無力な自分を恨み、俺は、その場から動くことができなかった。
「ハァ……ハァ…………ハァ……」
ひたすら走り続けた俺は疲れて座りこんでいた。
やつもいない。
「けっこう遠くまで来ちまったな」
どこかはわかるけど家からだいぶ離れた所だ。
てか今何時だ? 時間が分からない。
もうすぐlockerは消えるはずだけど。
俺は辺りを見渡す。
最悪な光景が広がっていた。
人がたくさん倒れていた。
みんな死んでいると一目でわかる。
お腹を切り裂かれている人、皮がない人、両足切断されている人。
最悪としか言いようがなかった。
タンタンタンタンタンと、足音が近づいてくる。
俺は急いで目の前の廃墟の建物に入る。
なんでまたこんな怖いとこに入るんだよ俺は。
自分はバカだと思った。
けどいちいち場所を決めてる時間はなかったのだからしょうがない。
俺は二階に上がる。
かなりボロボロだった。
壁は所々剥がれていて、床には穴があいている。
外からすきま風が入ってきて、う~う~とうめき声に似た音が聞こえる。
ヤバすぎだろ絶対何か出るって早く出たい。
コツコツコツと足音が聞こえる。
またかよ! こんどこそ幽霊か!?
――赤髪だった。
「お前かよ! 脅かすな」
「脅かしたつもりはない。ふざけてるのか? 遺言は許可しないから今すぐぶっ殺す」
赤髪が完全に切れていた。
俺死ぬのかもな。
俺は諦めてその場に座った。
「何をしている。早く立て。これは一応勝負なんだぞ」
「刀と素手がぶつかってどっちが負けるか考えたらわかるだろ」
俺はため息を吐く。
「もういい、つまり俺はお前より強いということなんだな? じゃあ遠慮なく殺させてもらうぞ」
ちょっと違う気もするが、まあいい。
どのみち死ぬのだから――――
赤髪が刀を振り上げる。
俺はゆっくり目を閉じた……。
しばらく経ってもまだ切られてなかった。
どういうことだ?
目を開けてみると、なぜか赤髪が刀を投げ捨てていた。
「え……? なに? どういうこと?」
こっちのセリフだよ……。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
赤髪は俺に何回も謝って、走り去っていった。
さっきまで赤髪が目の前に立っていたせいで見えなかったが、そこにはある人物がいた。
やっぱりか……。
予想が外れていれはよかったのにと、俺は思った。
「さんきゅー。助かったよ――――カナン様」
そこに立っていたのは
――――――――――唯果だった。




