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locker  作者: いつわ
五章
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第六十一話    第一王国

 廊下が騒がしい。そう思った数瞬後、扉が勢いよく開いた。

 そこに立っていたのは、銀色に輝く鋼鉄の鎧を身に纏っている部隊長だった。

「王様、城門前にいる少年と少女が、王様に会いたいと言っているのですが」

「王族ではないのか?」

「少女は第四王国の王女だと言っており、少年は部隊長だそうです」

「……今更何の用だ」

 少年と少女の言っていることが本当なのかどうかは分からない。もしも本当なのだとしたら、少女の方はなにかしら能力を持っているはずだ。もちろん封じられているせいで確かめようはないが。

 落ち着いて深呼吸をする。

「いいだろう。連れてこい」

「はっ」

 部隊長が扉を閉めた。

 しばらくしたら少年少女を連れてくるだろう。

 あの日以来、誰もこの城に近付かなくなった。他の王国の人間がこの王国に来ることもなくなってしまった。

 あの日……。

 私は息子を捨てた。もちろんそんなことは望んでいなかった。

 神のせいなのだ。

 神の言うことには逆らえない。

 逆らった場合、この王国はどうなるのか。

 考えたくもない。

「……これで良かったんだ」

「……」

 隣の玉座に座っている女王は何も言わず私を見ていた。何のことを言っているのか分からないのだろう。

 私はただ扉を眺めていた。










 俺と唯果はなんとか城に入れてもらい、廊下を歩いていた。

 部隊兵が前に三人、後ろに三人歩いている。

 誰一人声を出さない。複数の足音だけが城内の廊下に響き渡る。

 王と話す内容を考えている内に、大きな扉の前まで来ていた。

 おそらくここにいるのだろう。

 兵が扉を開ける。

 玉座の間だった。そしてその一番奥に王と女王が座っていた。

 数歩前へ出ると、兵が扉を閉めた。

 玉座の間にいるのは王と女王、俺と唯果だけだった。

 第四王国より少し広いが、中は大して変わらない。そのおかげか、緊張が少しほぐれる。

「はじめまして。第四王国部隊長のヴォルグです」

 こんなあいさつでいいのか不安だったが、王族に対してどのような挨拶をすればいいかなど、記憶を失っている俺なんかが分かるはずがなかった。

 初めて自分の本名を口にしたせいかかなり違和感がある。

 続いて唯果も挨拶をした。

 お互いに挨拶が終わってすぐ、王は言った。

「で、何の用かな?」

「聞きたいことがあって来ました」

 迷わず答える。

「……聞こう」

 王は眉をひそめたが、頷いてくれた。

 俺は単刀直入に言う。

「なぜ王子を捨てたんですか?」

 教えてくれるはずがないと思っていたが、どうしても聞かずにはいられなかった。

「どうしてそれを聞く?」

 王の表情は変わらない。隣に座っている女王は一言も発することなく、ただ俺を見ていた。

 一応予想通りの返答だ。

「自分がどこの王国の王子なのか分からないんです」

「どういうことだ? お前は部隊長なのだろう?」

 王は怪訝な顔をする。

 俺は自分についてすべてを王に話した。

 話している途中で、王の表情が徐々に驚きへと変わっていくのが分かった。

「……つまり、あなたはこの王国の王子なのではないかと思っているのですね?」

 話が終わった後、女王が初めて口を開いた。とても美しいと思えるような声だった。

「はい」

 それを聞いた女王は、ふふっと笑う。そして言った。

「では、今の話が本当かどうか、確かめてみましょうか?」

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