表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
locker  作者: いつわ
五章
60/77

第六十話    初ジャンプ

「ということだからあまり気にするなぁー」

 朝のホームルーム。担任はだるそうに話を終わらせた。

 昨日の放送事件は、校内の女子生徒のいたずらとして片付けられ、あまり大事にならずに済んだ。もちろん犯人を知る人はいない。

 俺と梓、唯果を除いて。

 昨日、唯果に叶未の正体について話すと、『うん、知ってたよー』と当たり前のように言われた。王族だということは分かっていたらしいが、まさか第二王国の王女だとは思っていなかったらしい。

「んじゃ、一限目は現文だから寝ないで頑張れよ~」

 そう言って担任は軽く手を振り、教室を出て行った。

 よし、寝不足だし寝よう。そう決意して俺は机に突っ伏した。

 すぐに周りの音が消え、意識は深い闇に呑まれていった。









 昼休みになり、俺は鞄からコンビニ弁当を取り出す。

 そしていつものように叶未がツインテールを揺らしながら笑顔で歩いてくる。

「あ、レミおはよう!」

 俺の前で座っている梓が叶未に挨拶をする。

 俺はそのとき初めて、この女は馬鹿なのかと少し思ってしまった。

 叶未は顔を引きつらせて挨拶を返す。

「梓~、その呼び方はダメだよお」

 そしてその仲の良さそうなやりとりを見ていた光翼は頭の上にハテナを浮かべる。どういうことなのか、と俺に目で訴えてきたが、俺は苦笑することしかできない。

「ただのあだ名だよ、ただのあだ名。それならいいでしょ?」

「しょうがないなあ」

 と、二人は話を終わらせ、叶未は椅子に座った。しばらく静かになり、光翼が口を開いた。

「え、えーとー。そうだなー何から聞こうかなー。じゃあまず、れみって何?」

 最初にその質問をするとは思わなかった。

「ただのあだ名だよ。特に意味はない」

 質問に対して梓は適当に答えた。

「そ、そうか。じゃあ俺もそう呼ぼ――――」

「光翼くんは今のままでお願いします」

 光翼の言葉を遮るように叶未は言った。

 光翼は一度黙り込むが、すぐにまた口を開く。

「今の二人すごく仲良いよね! 何かあったの?」

「別に。趣味が合っただけだよ」

「そ、そうか」

 梓の明らかに適当な返事に、光翼は追求を諦める。女にしか分からないことなのだろうか、とでも思っているのだろう。まあ実際そうではないし、俺も知っているのだが。

 光翼は苦笑して弁当を食べ始めた。

 そしていつものように時間が過ぎていった。









 土曜日になり、俺と唯果は朝から地球を出ていた。火星にある第一王国に行くためだ。

 宇宙から地球を眺める。俺はもう唯果には掴まらず、自分で跳んでいた。

 俺はもしかしてと思い、出発する前に唯果に跳び方を聞いたのだ。

『跳ぶときは膝を45度に曲げて、力を溜めるの。力を溜めると言っても、王族にしかない強いやつねー。で、その力を思いきり放出するように跳ぶー!』

 教わった通りにやってみると、意外にあっさりと跳べた。

 自分の力で宇宙に跳んでいる。これではっきり分かった。俺はどこかの王国の王子なのだと。

 しかしどうしてか、それだけではない気がする。

 視線を地球から唯果に変える。俺はこの少女を守らなければならない。なぜそう思うのか、考えるまでもない。血は繋がっていなくても唯果は俺の妹のような存在だ。

 そのとき、頭痛が襲ってきた。軽く眩暈もする。

 ――――この命にかえてもカナン(・ ・ ・)をマモ(・ ・ ・)ラなク(・ ・ ・)テは(・ ・)

 しばらくして頭痛が治まり、眩暈もなくなった。

 ……俺、今何考えてたんだっけ?

 数秒前のことのはずなのに、何も思い出せず、気付いたら火星が目の前まで迫っていた。

 まあいい。とにかく今は第一王国のことだけ考えよう。

 そして俺と唯果は火星の第一王国に着地した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ