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locker  作者: いつわ
三章
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第三十五話    未来の家族

遅くなってしまいすみませんでした。

キャラ作りが難しいと最近思い始めました。(今更)

 何を言っているんだ?

 死ぬ気がなかったらこんな面倒なことしていない。

 ていうか、さっきから梓何か怒ってない?

「まず、本気で死のうと思ってる人はそんなに元気はないよ」

「そんなこ――」

「それと、本当に誰にも邪魔をされずに死にたかったら、ちゃんと学校に休みの連絡を入れるはずだよ。無断欠席して、硬大くんからのメールを無視なんてしたら、心配して誰か来るに決まってる。あと、家のチャイムが鳴っても無視しないでドアを開けた。つまり」

「…………」

 何も言えなかった。

 でも、この先を言われたら俺はこれからどうすればいいんだろう。

 何か言わないと。何か言い返さないと。

 そんなことを考えれば考えるほど言葉が出てこない。

 そして、梓は言った。

「光翼は、誰かに構って欲しかっただけ」

 それは、今まで考えないようにしてきたことだった。

 そんなことはないと心の中で否定し続けていた。

 今でも思う……いや、ただそう思いたいだけなのかもしれない。

「でも、"家族"がいないとダメになってしまうのは本当だ。このままじゃ俺、誰一人信じることが出来ないまま生きて、誰一人信じることが出来ないまま死んでしまう」

 だから俺は、誰かに助けて欲しかった。他人を信じることが出来ないのに。

 だからこんな方法(・ ・ ・ ・ ・)でしか助けを求めることが出来なかった。

 直接助けを求めれば何を言われるかわかったものじゃない。怖かったんだ。

「いや、今死んでも一緒だから」

 確かに、友達とふざけて、笑って、楽しく生きていくのも悪くはないかもしれない。

 でも……。

「光翼は、自分がどんなに臆病でも、自分がどんなに酷いことをしても、いつまでも大切に思ってくれる"家族"という存在がいないと困るんだよね?」

「困るというか、無理。家族いないと無理」

 家族がいない世界で生きてくなんて想像しただけで死にたくなってくる。死ねないけど。

 それに友達もいるし。困ったものだなぁ。

 ていうか俺はいつまで椅子の上に乗っているんだ。

 俺が椅子から降りようと片足を離したとき、梓が思い切ったように言った。

「だったら作ればいいじゃん、"家族"」

 ドンッと音がした。俺はバランスを崩して背中から床に落ちた。

 そこへ梓が心配そうに声を掛ける。

「ちょっとどうしたの? 大丈夫?」

 片足浮いてる状態のときに訳の分からないことを言われれば誰だってバランスを崩す。

 んでこの子今なんて言った?

 家族を作るってどういうこと? 俺まだ学生なんだけど。

「いてて……。どういうことだよ」

「言葉の通りだよ。光翼は私のこと好きなんだよね?」

「……う、うん」

「なんかさっきから私に振られる前提で話を進めてたけど、まだ返事してないよ?」

 ん? どういうこと?

 いや、だって振られることくらいわかってたし。ポジティブになったって良い方向に事が進むわけじゃない。

「ごめんなさいって言いたいのか。いいよ、言って言って」

「好き」

 ………………ん? どういうこと?

 イエスかノーの二択のはずなのに別の返事が返ってきた。

 ん? 待てよ。好きって、俺のことが?

「私と付き合ってください!!!!!」

「うるさっ!!」

 かなり緊張していたのか、梓が馬鹿でかい声で言った。

「……今、うるさっ、って言った……?」

「いやいやいや言ってないです空豆ですごめんなさい!」

「空豆じゃなくて空耳だし、謝っちゃってるし……。それより、私が言いたいことはわかった?」

 言いたいこと? 付き合って欲しいってこと? 

 ……いや、まさか?

 けど、ここは分からないフリをしておこう。思ったことを口にして取り返しのつかないことになってしまっては困る。

 ここでもネガティブ思考に走る俺がいた。

「わからない。何?」

「光翼って馬鹿だよね。家族になろうってことだよ、かーぞーくー! なんで女の子にプロポーズさせてるの? ダメじゃん」

 馬鹿なのはどっちだろう。

 でも、もちろん嫌ではなかった。

「馬鹿はお前だろ。まだ俺達学生だぞ? 結婚なんてできるわけないだろ」

「今すぐなんて言ってないよ。いつか結婚しよってこと。そしたら光翼は悲しい思いをしなくて済むでしょ?」

「ま、まぁそうかもしれないけど、付き合い始めて十秒で結婚を考え始める馬鹿は俺達だけだよな」

「そうかもね……くすくす」

 

 しばらく、穏やかで幸せな時間が流れた。

 俺は彼女のおかげで少しは救われたかもしれない。

 そして一つ、目標ができた。

 これから、俺を救ってくれたこの少女を守っていこう、と。

 少しは人を信じてみてもいいのかもしれない。

 俺はそう、思った。

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