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locker  作者: いつわ
三章
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33/77

第三十三話    隠してきた思い

最近、投稿が遅くなっていますが、一週間以内には必ず投稿しようと頑張っております。もちろん4日に一度がベストですが……。

 いや、それはきっと気のせいだ。

「……そっか。じゃあ死になよ」

 ……え? 今なんて言った?

 いや、もちろん聞こえたけど、梓がそんなこと言うとは思ってなかった。

 まあ、邪魔はしないみたいだからいいんだけど。

 そうだ、首吊りのやり方を聞いてみるか。頭の良い梓なら分かるかもしれない。

「そうする。実はさっき、首吊り自殺しようと思ってたんだけど、やり方が分からなくて困ってたんだ。梓はやり方知ってるか?」

 梓は大きく溜め息を吐いた。

 仕方ないだろ。調べても分かんなかったんだから。

 俺はそんなことを思いながら、梓の言うことに耳を傾けた。

「今から言う道具を持ってきて。教えてあげる」

 


 どこでそんな知識を身に付けたのか、梓は手慣れた様子で、首吊りのための準備をしていた。

 俺はただ、それを見ているだけだった。



「はい、完成」

 出来たらしい。

 ずっと見ていたけど、思っていたよりかは難しくなさそうだった。

「ありがとう。なんか慣れてる感じだったけど、作ったことあるのか?」

 聞いてはいけないことだったのか、梓は黙ったが、しばらくして口を開いた。

「私も首吊りをしようとしたときがあったの。小学生の頃にね……。どうしてか分かるでしょ? 私は弱いから、誰も近寄らず、悪口を言われるだけでも堪えられなかった」

 そうだった。

 梓にも辛い過去があったんだ。

 それでも自殺はしなかった。

 ということは、梓にとって死にたくないと思えるほどの何かがあったんだろう。

 もちろんそんなことは俺にも分からない。

 自殺を考えていたことすら知らなかったんだから。

 

 返す言葉がなかった。

「そういえば、なんで光翼は最近私を避けてるの?」

 突然の問いに俺は驚いた。

 やっぱり気付かれてた。

 どうする?

 まあ、どうせ死ぬんだし言っておいてもいいか。

 俺はそんな軽い気持ちで本当のことを話した。

「俺は何年も前から梓のことが好きだった。でも俺って小さい頃からずっと臆病だったから、気持ちを伝えることができなかった。断られたらどうしようとか、嫌われたりしないだろうかとか、色々ネガティブな想像が頭の中をグルグル回ってて嫌だったんだ」

 俺は異常だ。

 今まで言えなかった気持ちを軽く言ってしまえるほどに。

 ……そして梓はなぜか顔が真っ赤だった。

「へ、へぇー。光翼は私のことが好きだったんだー。……もしかして、気持ち悪いキャラに変えたのも何か関係しているの?」

 それも気付かれてたのか。

 いや、そうか。急にキャラなんて変えたら誰でも気付くか。

「気持ち悪いキャラで接したら、梓に嫌われてスッキリすると思ったんだよ。もちろん嫌われるのは嫌だけど、嫌われることによって諦めがついて、梓のことが好きだという気持ちが無くなると思った」

 今の俺はいつも(・ ・ ・)の俺じゃない。

 偽りのキャラで塗り固めて隠してきた本物の俺だ。

 もう本当の気持ちを隠すつもりはない。

「それなのに、見た限りでは梓は俺を嫌いになっていなかった。だから距離をとろうとしたんだ。これ以上好きになって、苦しい思いをしたくなかったんだ。……まあ、そういうこと。今までありがとうな」

 言いたいことは全部言った。

 俺にはもう、思い残すことは何もない。

 

 俺は、上からぶら下がっている首吊りの縄に向かって手を伸ばした。


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