第二十八話 友達
本当にすみません。
いや、かなり遅くなりました。
今、自動車学校の合宿に参加していまして、書く時間がほとんどありませんでした。
終わったらいつものペースで書いていこうと思っています。すみません。
いない。
梓を探してからどれくらい経ったんだろう。
もちろん、追いつくどころかついて行くことすらできない。
梓は人間じゃない。
正直驚いた……でも。
私はさっきの公園に戻ってきていた。
そこには五部の死体が転がっている。私に殺された人達だ。
私は避けることもなく気にせずその上を歩く。
足を一歩踏み出すたびにグチャグチャと、嫌な音がなる。
生まれたときからこういう運命だったのかもしれない。
あの種族の人間の娘なのだから。
しばらくすると、誰かが公園に入ってきた。
あれは…………。
「唯果、帰るぞ」
この男が言っていたことはよく分からないが、用心するに越したことはない。
「うん」
唯果は悲しそうな顔をしていた。俺が人を殺したからだろう。
仕方がなかったとはいえ、人としてやってはいけないことには変わりない。
俺達はお互い無言で帰路についた。
公園に戻ってみるとそこには梓がいた。
少しずつ、ゆっくりと近付く。
梓は俺を睨んでいた。あれが本当の梓? いや、そんなはずはない。本当の梓はいつも優しそうな顔をしている。
俺はゆっくりと歩き、梓に近付く。
「それ以上近付かないで」
梓は、俺を睨んだまま言った。
俺は一度足を止めたが、また歩き出す。
そのまま歩き出さずにはいられなかった。
それが気に入らなかったのか、梓が叫んだ。
「こっち来るなァ!!!」
梓は、すぐ後ろにあるベンチを持ち上げて俺に向かって投げる。
当たらなかった。
俺は避けてない。わざと外したのだろう。
威嚇をしたつもりだろうけど、俺の足を止めることはできない。
「来るなァアア!!!!! 次は当てるよ!」
次は石を拾って思いきり投げてきた。
ヒュン、と音が聞こえた。何も見えなかった。
きっと今のも威嚇だろうと思ったそのとき、左腕から何かが流れてるのを感じた。
視線をゆっくりと左腕に移す。
……血が流れていた。
速すぎて分からなかったが、石は俺の左腕を貫通していた。
「ぐっ……」
それを理解した直後に激痛を感じた。のたうち回りたかった…………けど、残念ながらそんな暇はない。
俺は左腕の激痛に耐えながら歩く。
理由なんて一つしかない。
梓を止められるのは俺しかいないからだ。
なんで? なんで光翼はそんな状態になっても近付いて来るの?
私は狂ってしまったのかもう一度石を拾い、今度は光翼の右腕めがけて全力で投げた。
グチッ、という音が聞こえた。
「ぁああ!!」
光翼は痛みで叫びながらも、止まることなくこっちへ歩いて来る。
「来ないでよォ! ワタシのせいなの!! ワタシが光翼の両親を殺したのォオ!!!」
……来ないで。
光翼との距離はもう10mもない。
「ワタシは人を殺した! 光翼に怪我を負わせた最低な人間!! だからもうそんな顔してこっち来ないで!!!」
それに対して光翼は小さい声で答える。
「無理に決まってんだろ」
光翼は笑っていた。
優しそうな顔で。
両親を死に追いやり、自分に怪我を負わせた最低な火星人に向かって……笑っていた。
「……な……んで」
そして光翼は私を抱きしめた。腕が痛いはずなのにそれを堪えて。
その瞬間、私の中から何かが抜けていった。
「お!? 色は緑だけどいつもの梓に戻った!」
「な、なん……でぇ」
「なんでって、だって梓がずっと……泣いてたから」
なんでこの男はこんなにも馬鹿なんだろう。
「泣いてなんかないし、涙だって」
「そういう意味じゃねぇよ」
そう言って光翼は、ポカッと私の頭を軽く叩いた。
「それに、俺の親が死んだのは梓のせいじゃねぇ。五部だ。梓が何者で、梓に何があったのかなんて知らないし、無理に知ろうとも思わない。けど、俺の親のことで梓が罪悪感を抱く必要なんてどこにもない」
やっぱり。
私は思った。
……やっぱり私はこの男が好きだ、と。
「なんでそんなになってまで私を……」
でも、
「当たり前だろ。俺達は友達なんだから」
私はわずかな違和感を覚えた。




