第二十六話 五部と二部と四部
夏休みに入ればもっと早く投稿できると思ったのに。
……宿題が。
だ、誰だよ……。
梓……なのか?
どこからどうみても普通の人間には見えなかった。
何かオーラが見える、とかはないけど目に見えない何かがここまで伝わってくる。
宇宙人……とか?
もしかしてlockerを出現させたのって!? 俺はそこまで考えてすぐに否定した。
梓がそんなことするはずがない。
「ワタシの、せい」
梓が俺を見る。目の色が緑色になっていた。
な、なにがだ? ていうか、なんでこんなことになった?
今、この真っ暗な公園には俺と梓しかいない。
「ワタシの…………せい」
俺が何かやらかしたに違いない。
謝ったほうがよさそうだな。
「あ、梓? 俺が何か悪いこと言ったなら謝るから。と、とりあえず落ち着け、な?」
俺は唇が震えながらも、聞こえるような声で言った。
そのとき梓は、
「ワタシが殺した」
とても悲しそうな顔で俺を見ていた。
カサカサと、すぐ横から草を掻き分ける音が聞こえた。
俺が顔を横へ向けるよりも速くそれらは動いた。
「今だ!」
それらの格好には見覚えがあった。
鎧を着ていて、武器を持っていない格闘家。刀を持っているやつもいる。俺の親を斬り殺したのは多分こいつらだ。
五部。
こいつらが何者なのか未だに分からないが、近くにいれば殺されるという事だけは分かる。
八人いた。
そいつらは凄まじい速さで梓に襲いかかった。
対して梓は、襲いかかってくる集団を一瞥しただけ――――のように見えた。
何が起こったのか分からなかった。
梓が血塗れになっていた。
いや、それが返り血だということは誰が見てもわかる。
五部が全員動かなくなるまで一秒もかかったのでしょうか。
吐き気を催すほどの醜い死体。
辺りが一瞬で静かになる。
なにがなんだかわからない。
こいつらは人間じゃないと思った。
梓は俺に聞こえない声で何かを呟いたあと、どこかへ走って行ってしまった。
……一人になった。
何が楽しくて一人でこんなところに佇んでいなければならないのか。
もちろん俺のとるべき行動はただ一つ。
梓を、追う。
「誰だ?」
見た目は20代後半くらいか。
髪は少し長めの茶色で、整った顔をしている。
「私は第二王国部隊長のキルトといいます。急ですが、少しお話がしたいのでこちらまで来ていただけないでしょうか?」
そこにはlockerがある。二部隊長が何を考えているのかは分からないが、俺は女王から教えてもらった方法を思い出す。
『いいか? そのlockerの中のどこかに装置があるはずだ。それを壊せば二度と出現することはない。タイミングは、一度lockerに入って条件を満たしたあとだ。次出現するのには時間がかかるはず。その間にできるかが勝負だ』
俺は黙って歩きだした。後ろで唯果が声をかけてきたけど気にしない。
ヴォン、という音を聞いた瞬間頭の中に条件が流れ込んでくる。
「どうですか? この条件」
「最悪だな」
条件一、
どちらかが死ぬまで戦う。
条件二、
第四王国の王女を殺す。
どちらか一つでも条件を満たすことができれば一時的に消える。
どっちの条件を選ぶかなんて考えるまでもないな。
俺は静かに構えた。
「やる気満々ですねぇ。では、始めましょうか」
手加減するつもりはない。
すぐに終わらせてやる。




