第十四話 火星へ
本当にすみません。なかなか考えるのに時間がかかるようになってきました。
次は日曜日に投稿します。
「とりあえずお風呂入ろうよ!」
あのあと副と別れ、俺と唯果は家に帰った。
副もうちの家に住まないかと誘ったが、なぜか断られた。
「二度も言わせるな。お前とは入らん」
唯果は自分の着替えを持って俺を脱衣所へ連れて行く。
「いや、一度目だけどー」
そうだったな。
家を出る前、あいつとあんな会話をしていたのかと思うとゾッとした。
なんであいつは唯果のことや国の事情を知ってたんだ?
まるで本物の唯果みたいだった。
「あの女の人は多分王女だよ。能力は火星では封じられてると思う。あれはコピーだね。人の頭の中とか容姿をコピーすることで相手の記憶を探ったり、人を騙すことができるとても危険な能力」
唯果はいつの間にか真剣な顔をしていた。
俺が何を考えていたのか分かったのか。
続けて言った。
「第五王国の王女かなー。ちょっと前に五部来てたし。火星から地球に来ることは誰でもできるんだけど、地球から火星に帰る場合は王族の能力がいる。つまり、一緒にその国の王女も地球に来た。大規模なlockerが終わった後、帰る前に王女はたいちょ―を殺す機会を窺い、行動に移した」
なるほどな、と俺は思った。
しかし、跳んで帰るというのが本当ならどうやってあれだけの人数抱えるんだ?
いや、何か乗り物に乗せてそれごと持ち上げて跳ぶのか?
火星人ってキチガイだな……そりゃそうか。
「なるほどな。色々教えてくれてサンキュー」
唯果は、うん、と言って脱衣所から出て行った。
俺は服を脱ぎ、浴室に入る。
王女には気を付けなきゃな。
そして俺は当たり前のように浴室の内側から鍵をかけた。
ガチャン、と音がした瞬間、足音が聞こえてくる。
「しまった! 待ってたいちょー!!」
……もちろんこいつにも。
ズズズズ……。
朝、起きると唯果がいつものようにカップラーメンを食べていた。
「おはよう」
「……」
無視された。
テーブルには俺のカップラーメンが置いてあり、見てみるとお湯が入っていてフタがなかった。
もちろんのびていた。
俺はため息を吐く。
昨日一緒に風呂入れなかったことでまだ拗ねてるのか?
……って、これはやりすぎだろ!
「なに拗ねてんだよ」
「……」
ズズズズ……。
唯果がラーメンを啜る音だけが聞こえる。
「おい」
唯果の肩に手を置く。
払われた。
「もういいもん」
「なにがだよ。よくわからんが、小さい頃ならまだしもこの年で一緒に風呂入るのは普通にアウトだろ」
「妹となら別にいいでしょ」
「いやお前違うから。妹違うから。妹でもアウトだから」
「違わねーよアウトじゃねーよ」
なんか怖いんだけど。
「てかなんで妹設定にしたんだよ。しかも血が繋がってないって――」
「その方がたいちょーと一緒にいる時間が多いから得だし、長く一緒に住むことでたいちょーはわたしのこと」
「好きにならねーから」
「なんでだよふざけんなよ」
「だんだん口が悪くなってんぞおい」
ほんと変な奴だなこいつ。
しばらくして唯果は俺ののびきったカップラーメンを見て、悪いと思ったのか新しく作ろうとした。
「のびてるけどいいよこれで。せっかく作ってくれたんだし」
唯果は、あっそ、と言って俯いた。
俺達は副と合流して、火星へ行くことになった。
空は晴れていて、今日はとても暖かい。
アスファルトの上に寝転がっても寝れそうなくらい天気が良い。
「よーし、行きますよー、しっかり掴まっててくださいよー」
俺は唯果の右腕を、副は左腕を掴む。
唯果はそれを確認すると、足を曲げて――――
俺は絶叫していた。
ありえないスピードで跳んでいる。
音速以上じゃないのかこれ!?
音速とか知らんけど。
でもこの調子だと30分くらいで着きそうだ。
音速とは比べ物にならない。
宇宙に出て、辺りは静かで、誰も何も喋ろうとしなかった。
喋らないというよりか、喋れなかった。口が開けられない。
俺は、この先何が待っているのか想像もつかず、ただ目を瞑っていた。




