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指輪が重くて  作者: もも


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7/9

番外編 1

すみません、最終話の内容に付け加えたくなり書き足しました。読んでいただければ幸いです。

 二人からアプローチを受けると思い構えていたオリビアは、今まで通りのやり取りが続き肩透かしをくらったような気がしていた。自分ばかりもやもやとしているのが癪に障りサラに愚痴を零した。


「ねえあの二人はいつ口説いてくると思う?あんなに覚悟していてくださいなんて言ってたのに今までと何にも変わらないのよ」


「急に態度を変えるとお嬢様が混乱されるといけないからではないでしょうか」


「自分から口説かないの?なんていうのは、はしたないでしょう。私ばかり期待しているようで嫌なの」


「お嬢様はどちらがお好きなんですか?」


「恋愛感情はないわ。でも二人共裏切らないという信頼はあるの。それってとても大切だと思うのよねえ。もう恋をするのは怖いからお父様の決めた方にするつもりだったの。でも候補が二人も出来たから困っているの」


「だからとっととアプローチをしやがれってことですね」


「言い方。まあそうなんだけど」

と言うとオリビアは困ったように笑った。





 やれやれと思ったサラは屋敷の図書館から恋愛小説を数冊借りて二人の候補者に渡した。サミュエルはともかくノアはその手の知識は皆無だろうと思ったからだ。

「あっという間に一年なんて過ぎるのよ。お嬢様を幸せにしたいと思っているなら早く行動しないと後悔するわよ」

という言葉を添えて。


サミュエルはにやっとしノアはびっくりしたような顔をして受け取った。


三日程経った頃


「あの…、サラさん…お嬢様を起こす役を譲ってくれませんか?」

真っ赤な顔をしたノアが話しかけてきた。


「何で起こす役?そこは無理だけど食堂に行かれるときのエスコート役は代わってあげる。その時に花をプレゼントするといいと思うわ」


勇気は尊重するが自分が渡した小説はどうやら過激な物だったのではないかとサラは反省した。お嬢様が真っ赤になってそのまま卒倒する姿が目に浮かんだ。


「明日からやりますのでよろしくお願いします」


「うん、頑張って」


サミュエルは放っといて大丈夫だがノアにアドバイスは必要かもしれないと思ったサラは心が弾むのを感じた。決して面白がっているわけではない。でも恋愛小説の様な事が目の前で起ころうとしているのだ。観客になれるいいチャンスだ。サラは密かにノアを応援することを決めた。





 翌朝サラに身支度をされ扉の外に出たオリビアは花を持って立っているノアを見て驚いた。


「おはようございます、お嬢様。これを受け取ってください。今日から食堂までエスコートさせていただきます」


そう言って差し出されたのは小さな薔薇のブーケだった。


「まあ、いい香り。ありがとう。嬉しいわ。自分で作ってくれたのね。今日からノアが朝のエスコートをしてくれるの?では行きましょうか。サラこれを飾っておいてくれる?」

花束を結んであるのが紐なのが初々しくて好感が持てた。

執事服のお仕着せを着たノアは腕を差し出した。



ノアとお嬢様が連れ立って食堂に入っていく姿を見て焦ったのはサミュエルだった。慌てて近寄り


「おはようございます、今日のドレスもよくお似合いですね」

と褒めた。


「おはよう、褒めてくれてありがとう。さあ皆で食事にしましょう」

にっこり笑う顔は天使のようだ。領地では一人で食べるのが嫌だというお嬢様の為に手の空いている使用人は一緒に食べていいことになっていた。

旦那様や奥様が帰ってこられると家族団らんを楽しまれる。


「ご馳走様、今日の予定は?」


食後のお茶を飲みながらオリビアが尋ねた。


「執務の後は孤児院への訪問でございますね。クッキーを沢山焼かせておりますのでご安心ください」

サラがすまし顔で淡々と答えていた。後ろに控えるサミュエルとノアは食事をさっと終えていた。


「絵本や紙、鉛筆も買ってある?」


「はい、大丈夫でございます。お嬢様の読み聞かせは大人気ですからね。自分で読みたいと言い出してくれたのは良いことですね」


「そうなのよね、基本的な計算や読み書きが出来ると孤児院を出てから役に立つもの。学校みたいな施設が作れないかお父様に相談してみるわ」


「そうなれば色々な職業に就いてくれ領地が潤いますね。孤児の中には騎士になりたい子供もいるのですよ」

すかさず話に加わったのはサミュエルだ。


「まあ、素敵だわ。鍛えてあげてね、サミュエル」


「お任せください」と微笑む顔は頼れる執事だった。





午後のお茶の後の散歩の時にサミュエルは街へ出かけることを提案した。勿論本人はデートの誘いのつもりだった。


「街で人気のカフェが出来たそうです。行ってみませんか?」


「いいわよ。そう言えば湖畔の苺のパフェ屋とかステーキハウスの運営具合はどうなってるのかしら?」


「順調に売り上げを伸ばしております。ボートはいいアイデアでしたね。近くにホテルを建てたいと地元から陳情が来ておりますがいかがしましょうか」


「景観を損なわないかしら」


「馬車で一時間ほどかかる所であれば問題はないかと思われます。また行ってみましょう。で、カフェには行ってくださるのですか?」


「勿論よ、いつ行くの?」


「明後日なら私の休みとお嬢様の休みが合います。なのでそれでお願いします」


 周りではデートの誘いが仕事の話になりかけてひやひやした使用人達の視線が緩いものに変わっていた。

婚約者候補が二人になったことは屋敷中が知っていることだった。選ばれなくてもお嬢様の傍を離れないことも周知されていた。





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